14話 突如現れた不死鳥
【『tears』についてきた民兵たちは昨夜の戦いでかなりの体力を消耗していた。出発まで迫っている中まだ起き上がれないものから、完全に戦意喪失してるものまでいた。そしていくつかの提案が上がった。】
「ここから先は何1つ情報がない。 簡単に命落としてしまう場面も増えてくるはず。それにこれほどの人数を連れてはいけない。だから自分たちで残るかついてくるか決めてほしい。」
「俺は残って滋賀を守る。」
「私も。」
「俺もだ。」
大半が残る決意をした。
「わかった。みんな滋賀を守って。私たちは絶対この戦いに勝つから。」
「だから…」
私は「tears」の旗を、昨夜戦った戦場に突き立てた。
「だから。「tears」に勝利を願って。」
耳がキーンとなるぐらいの歓声が響いた。
その傍らでアイリとカイトが話していた。
「あんたも残りなカイト。滋賀のみんなをここで守るんだ。」
「姉ちゃん…。わかった。姉ちゃんに教わった銃で俺もここで戦う。」
「うん。あんたならやれるさ。「tears」のみんなもついてるからね。」
「姉ちゃん死ぬなよ絶対に。」
「あんたを残しては死なない。絶対にこの戦いに勝利するから。」
「わかった。」
そしてセイジがやってきた。
「おいティナ。」
「どうしたの?」
「組織の連中が民兵のために用意した軍用車両が大量
あったんだ。これを使えば一気に進めそうだがどうする?」
「うん。使わせてもらおう。」
「わかった。運転できるものを何人か集めてこよう。」
「よろしく。」
「ここにきてやっと乗り物で移動できるのか。」
「ええ。ずっとここまで歩いて来たからね。移動だけで体力をかなり削られていたから助かった。」
「その分目立つけどな。」
「この際構わない。なるべく体力は温存して戦いの時のために残しておきたい。」
軍用車両が次々と運ばれてきた。
大体10台ほどあった。
「武器もついてるな。これならかなりの戦力になるかもしれん。」
「よし準備できたものから車両に乗り込め。」
みんな武器を取り荷台に乗り込んだ。
「三重までどれくらいかかりそう?」
「道を封鎖されてなければ1時間ちょっと。まぁそんなうまく突破させてくれるわけないとして2、3時間は見といた方がいい。」
「じゃあ いくぞ。」
150人弱の民兵を連れ『tears』は三重へ向け出発した。
一方、三重の四日市で敵側の動きがあった。
「エイタがティナによってやられたらしいな。」
「民兵を何十万と使ったがほぼ壊滅。挙句の果てには滋賀を制圧され民兵は『tears』側についた。」
「やってくれたな。だが決してエイタが弱かったわけではなくやつらの方がその上をいってたって訳だ。」
「…。俺がここ三重であいつらをすべて殲滅してやるよ。」
「お前の能力が一番活きそうだなこの四日市は。じゃあ後は任せて大丈夫か?俺たちは愛知へ向かう。」
「ああ。やつらを倒したら俺もすぐ追うよ。 ここは任せてくれ。」
「おう。 それじゃあな。」
(エイタなんかに任せたのが失敗だった。まぁいい。俺がやつらをここで仕留められたら俺は右腕として使ってもらえる。)
「報告します」
「なんだ?」
「どうやら既に四日市内に反対派組織の連中が乗り込んでいるとの報告がありました。」
「『tears』ではないやつらか?」
「はい。恐らく関東の方の組織かと思われます。」
(反対派組織の連中か…。話には聞いていたが本当にいたとはな。)
「わかった。民兵を出来る限り戦場に送り出せ。合流されたらめんどくさいことになる。」
「直ちに準備します。」
「この工場内に引き込めれば俺の勝利は決まったようなものだ。いくら能力を持った『tears』でもな。」
『tears』は甲賀あたりまで来ていた。
「ここまでまったく敵という敵がいないな。逆に怖い。」
「滋賀の民兵はあの時ほとんど駆り出されていた。ここらへんの敵陣も竜王に仕向けられてたはずだ。 それに見ろ。 あそこの小学校を。」
「あれは…。『tears』の文字?」
「滋賀を制圧したからかみんなこっち側についたってことだ。ついたというよりは開放されたが正しいかもな。行き場を失った民衆、民兵はもう『tears』を1つの国として捉えている。」
「これにより『tears』は全国から狙われる対象にもなったはずだ。 分かりやすく言えばテロリストだ。」
「何と言われようと構わない。国がやってることの方がよっぽどテロ行為だ。私のやり方が正義ってことをわからせてやる。」
「ああ。俺も同感だ。だからこそ1日も早く東京へ行き国を牛耳ってる操る能力を持った野郎を引きずりだそう。」
「ミナ、車酔いとか大丈夫?」
「ちょっとだけ気分が悪いけど大丈夫。もし戦いなんてなかったらこのへんも凄くきれいなんだろうなぁ。」
「そうだね。少し前まではみんな普通に生活していた。それをたった一瞬でぶち壊したのがこの戦争。また昔見たいな日常を取り戻すために戦う。でも死んでしまったらもう取り戻すことも叶わない。だから私がみんなの笑顔をもう一度取り戻すため戦う。」
「わたしたちだよ。ティナ。」
「うん。ごめん。私たちで取り戻そう。」
楽しい会話を一瞬で奪った。
パン!
「伏せろ!」
待ち伏せしていた車が影から出てきた。
「くそっ!仲間が撃たれた!」
「あれは滋賀の民兵…?いや組織のやつらだ!」
車を走らせながら銃で応戦した。
「ちっ!装甲車か。弾を弾かれる。」
「タイヤを撃ったらどうだ?」
「いや、だめだ。装甲車はパンクしても走らせることができる。」
「このまま高速に乗る。しっかり捕まってろ。」
「ティナ、銃が効かないなら能力を使ったらどう?」
「っていってもこのスピードで立ち上がるのは…」
「そうだ。アイリのスナイパーの弾丸を私の能力で強化したらガラスを貫けないかな?」
「試す価値はありそう。だけどこんだけ揺れてたんじゃ長くは止めてられない。風の抵抗でそれてしまう。」
「発射と同時に力を弾に込める。2秒…いえ1秒あれば大丈夫。」
「わかった。じゃあいくよ。」
ティナはアイリの銃口に向けナイフを構えた。
ナイフにオーラが纏った。
「照準を運転席側に…よし捉えた。」
パン!
すかさずナイフで弾丸の後ろを弾く。
ガラスを破ったが半分埋まった程度だった。
「やはり固いな。」
「アイリ同じ位置を狙って。」
「そうか。押し込むのか。」
パン!
またナイフで弾く。
「しまった。位置をずらしてしまった。」
「あれは流れる…。」
するとカラスが銃弾を足で掴み方向を戻した。
ガラスに突き刺さった弾丸は押し込まれ貫いた。
ガラスに血が飛んだ。
運転していた組織の頭部を撃ちぬいた。
「ハヤトありがとう。」
「礼なら俺の相棒に言ってくれ。」
「おかげで倒せた。助かったよ。」
私はカラスの頭を撫でた。
車装甲車は運転手を失い壁に激突し大破した。
「残り3台か。」
すると装甲車はミサイルの発射準備をした。
「まじかよ。あんなのぶち込まれたら流石にやべぇぞ。」
「ちっ何か策はないか…。」
そしてミサイルが発射された。
「くそ、飛んできた!」
「ティナさん!ここは俺たちが!」
後方にいた仲間の車両がミサイルの飛んでくる方向にハンドルをきった。
ティナたちを乗せた車両を2台の車両が後方にくっつけるように囲んだ。
「やめろ!!」
私は叫んだ。
『絶対に勝利してください。そして後は頼みます。』
【『tears』に栄光あれ!】
身代わりとなり爆破した。
こういう展開になることを想定していたのかその車両には爆薬を多く積んでいた。
道が大破し、後ろにいた組織の装甲車もすべて巻き込まれていった。
「ティナ危ない!落ち着け!」
2台の車両が犠牲となった。
(決して無駄死にではないことはわかっている。それでもさっきまで笑っていて一緒に何かを成し遂げようと誓い合った仲間が目の前で死んでいくのは耐えられなかった。)
(なにより私たちを守り、犠牲になったことが一番苦しかった。)
「ティナあいつらは自ら望んでついてきて、覚悟を示したんだ。称賛してやろう。」
「そうだね。取り乱してごめん。」
「この高速を抜けるといよいよ三重だが、待ち伏せされている可能性もある。さっきみたいに狙撃される可能性もあるから腰を低くしておけ。」
「ええ。」
高速なのに乗り捨てられた車が散らばっていて通行に難儀していた。
「これなら普通の道を走ってるのと変わらないな。」
「トラックが道を封鎖してやがる。」
「よし俺の出番だな。」
「そうかダイキの物を持ち上げる力があったな。」
「ふん!」
10トンはあるであろうトラックを持ち上げ端に寄せた。
「すげえ力だ。だがおかしいな。」
「おかしいってなにがだ?」
「いやなんでここ一帯にばかり車が渋滞しているのか気になってな。」
「確かに気になるな。」
「トラックをどけててわかったんだがわざと通行を妨げてるって感じがする。」
「そういえば不自然な配置だな。」
「このまま高速に乗っていても埒が明かない。ここで高速を降りよう。」
「組織に追われていて気づかなったけど、私たちは三重に入ってたんだ。」
「観光できていたら最高の町だ。そんな場所で戦いをするなんて思いもしなかった。」
「素通りできたらそれはそれでいいけど流石に向こうがそうはさせてくれない。」
もうここからでもわかる。かなりの敵が待ち構えているのを。
「さてと、挨拶がてら暴れるか。」
「レン。もしかしたら反対派の人間もいるかもしれない。ちゃんとそこは見極めて。向こうが攻撃してくるまではなるべく攻撃しない。」
「わかってる。組織のやつらはとりあえず片っ端から倒してやる。よし武器を降ろして戦闘準備だ。」
「武器を荷台から降ろせ!」
「ティナどういう作戦で行く?」
私は携帯で地図を出した。
「…。海沿いを目指して進もうと思う。なんとか川越町につければ愛知にいけるはず。」
「荷台に乗ってたらばれるけど運転手だけならこの車は元々、政府の車両だから攻撃されることはないと思うんだ。」
「だからセイジたちは車で川越町まで行って。」
「わかった。俺と残りのメンバーは車で行くとしよう。川越町でまた合流しよう。」
そういうとセイジと民兵数人と別れた。
その直後サイレン音が鳴った。
「なんだ?」
パン! パン!
こちらに銃弾が撃ち込まれた。
「伏せろ!」
「トオルあいつらは敵か?」
「ちょっと待て。」
『tearsの連中はいたか?』
『いや、気のせいだったらしい。やつらは変な力を使うらしい。気を付けろよ。』
『ここでやつらを殺してユウマさんに報告すれば手柄になる。なんとしてもやるぞ。それにフェニックスのやつらも早く潰さねぇと日増しに数が増えてやがる。』
男たちは通り過ぎて行った。
「ああ。あれは敵だ。それからユウマって言うのがここ三重の支配者らしい。フェニックスっていう名前もあがったこれはなにかよくわからん。」
「ここの支配者はユウマ…。そしてフェニックス。どっちも敵かもしれないから用心した方がいいかもね。」
「どこにいるのかはわからんからな、とりあえずそいつらを倒す必要も出てきた。」
「もっと情報がいる。今はそいつらを倒そう。」
「ああ。待っていても仕方がない。攻めるぞ。」
『tears』の民兵たちは戦場へと乗り込んだ。
「tearsだ!tearsが攻めてきたぞ!撃て!」
「向こうがその気ならこっちもやってやる。」
「ヒマリはなるべく後方に。アイリも後方から援護をお願い。」
「よし任せろ。」
「トオルは常に情報を探って。イオリは敵の通信機を連絡される前に破壊。後はみんな任意で動いて。」
「了解。」
「じゃあいくよ。」
ティナたちは一斉に敵陣である三重の町に入り込んだ。
銃声が町中で鳴り響く。
だがひとつ違うことがあった。
国に従う民兵、組織と戦っているのは私たち『tears』だけではなかった。
「お前たち『tears』か?」
「ええ。あなたたちは?」
「俺たちもあんたたちと同じ理由で戦っている。国に逆らう組織だ。」
「国に逆らう組織? 民兵ではなくて?」
「ああ。元々は国に仕える組織のメンバーが国のやり方に納得いかないってことで脱退して結成したんだ。今ではかなりの数がこの組織に属している。」
(まさか組織が国を裏切って新たな組織を結成していた…?)
「組織の名前は?」
「フェニックスだ。」
(…。)
「京都でも滋賀でもフェニックスという名前は聞いたことがない。とても数が多い組織とは思えないけど。」
「ほとんどが関東に集中しているから知らなくても当然だ。」
「じゃあなんであなたは私たちの事を知っているの?」
「何十万という勢力を落とした能力使い。それだけでも驚きだが、お前ティナだろ?」
「悪い意味でお前のことを知らない奴はもうこの国にはいない。」
「そんなことわかっている。国に対し宣戦布告をしたんだ。だから今こうして戦っている。」
「だけど俺たちフェニックスにはいい意味でティナと『tears』」の名前は通っている。目的は同じだからな。」
「それで?組まないかって言いたいの?」
「それは俺の一存では決められない。リーダーは愛知にいる。『tears』と合流するため俺たちの部隊は京都に向かう途中だった。そこで三重の組織たちと鉢合わせって訳だ。」
パン!パン!
「ちっ。とりあえず話は後。今はここの連中を片付けないと。」
「そうだな。俺の名前はリクだ。後で海沿いの灯台で合流だ。そこでまた会おう。」
「ティナ大丈夫か?!今のやつはだれだ?」
「フェニックスという組織らしい。」
「あれがフェニックス?仲間なのか?」
「まだわからないけど目的は一緒らしい。」
「そうか。この数だ。仲間は多い方がいい。」
「ええ。そうね。後で海岸の灯台で合流することになっている。今は協力して民兵と組織を倒そう。」
「ああ。」
三重の町は数時間 銃声とサイレンが鳴り響いていた。
-そして『tears』と『フェニックス』が協力して戦っていた頃。
「報告します。『tears』四日市内に侵入し、戦闘中とのことです。」
「ということは合流したということか。『フェニックス』の数は把握出来てるのか?」
「いえ、ですが三重に侵入した数は2000人弱だと思われます。」
「『tears』は?」
「200人と聞いていましたが、甲賀あたりで組織の襲撃で何名か離脱したとの報告を受けております。」
「だったらもうほとんど残っていないな。」
「よし『tears』と『フェニックス』のやつらはここ工場内に誘き出し全員爆死させてやる。」
「というとあれを使うのですか…?」
「そうだ。『フェニックス』のやつらはどうとでもなるが『tears』のやつらははっきり言って底が見えない連中ばかりだ。それに舐めてかかって死んだのがエイタだ。それにティナ。あいつは俺の手で殺してやる。」
「承知しました。また進展があれば報告します。」
「エイタ、お前の仇は俺が取ってやるからな。」
「俺のこの能力で恐怖に包まれたまま殺してやる。」
ティナたち『tears』は海沿いを目指し進行していた。町は滋賀での戦い以上に激戦化としていた。
「ヒマリ治療を頼む。」
「わかった。」
「数が多すぎてなかなか前に進めないでいた。」
「ミナ。能力を開放しよう。」
「そうね。このままではキリがない。」
ティナとミナは能力を使った。
レン、俺たちも後に続こう。
「わかった。」
滋賀での戦い同様にティナたちは一掃した。
「なんだ?!急に動きが変わったぞ!」
「あれが能力か…。だめだ。殺される。」
それを『フェニックス』のメンバーも見ていた。
「つ、強い…。あれが『tears』か。リーダーが言っていた通りあいつらなら…国のトップに届くかもしれない!」
「よし俺たちも後に続くぞ!」
一直線の道に配置された組織、民兵たちは次々に炎に包まれ、切り刻まれ、銃弾を浴びた。まるで台風、津波、地震が突然一気に襲ったかのような衝撃だった。
「生きた核兵器みたいなやつらだ。近づいたら殺される…。」
「て、撤退だ!」
「こちら23番部隊応援…を」
「させるかよ。」
ビビビビ…バン!
イオリの能力で無線機が次々に壊れた。
「電波障害か?!」
「こっちも壊れた!」
「この野郎!よくもやりやがったな!」
「お前の相手は俺だ。」
ダイキが落ちていた瓦礫を振り回し吹き飛ばした。
「なんて怪力だ…」
「これが『tears』か…」
「た、助けてくれ…」
火だるまになった組織の男が後方へと逃げようとした。
「逃がさない。あんたたちは同じように助けてと言った反対者たちを無残にも殺した。自分だけが助かろうと思うな。」
男は後ろから切り刻まれ絶命した。
「ティナこいつらはもう戦えない。放っておいて先へ進むぞ。」
「わかった。あんたたちも『フェニックス』よね?」
「あ、ああ。そうだ。」
「こいつらの処分はあんたたちに任せた。引き込むなり始末するなり好きにすればいい。」
「わかった。ここは我々に任せてくれ。」
「ティナ…。希望の女『tears』の主導者。これほどまでに強いとは。」
ティナたちは灯台まで走った。
そして灯台まであと少し。 前には組織、民兵たちが取り囲むが手も足も出ない状況でいた。
アイリたち狙撃兵はティナたちが目的の場所までたどり着けるよう後方から援護射撃していた。
その周りには『フェニックス』のメンバーたちも同様にティナたちのルート確保のためサポートしていた。
まさに『tears』と『フェニックス』の共同戦線 。
「あと少し。あと少しで目的地に着く。みんな頑張って。」
「ああ。」
「ええ。」
「俺たちも共に行く。」
「フェニックス?ありがとう。このまま突っ切るから援護して。」
「了解。」
(こんなにあっけなく終わる訳がない。まだ何か大きなことを仕掛けてくるそんな胸騒ぎがする。でも今は灯台に向かうことだけを考えよう。何故ならまだここを支配してるやつの姿を見ていないからだ。)
【ティナたち『tears』は三重に到着した。そこで出会った『フェニックス』という同じ目的を持った組織だった。そこで出会った男『リク』と灯台で待ち合わせをしたティナたちは向かっていた。そして工場の影に潜む黒い影。ユウマという男が企んでいる事とは一体…。】




