未来へ
あれから三ヶ月が経った。
俺は二日前に中学校を卒業し、今日は元担任の松元先生と会っていた。
「よっす! 松元ちゃん、待った?」
「待ってねーよ。今日は何を買いに行くんだよ?」
「今日は響に卒業祝いで何か買おうかと思って」
目を逸らしながら言うと、先生はニヤニヤし始めた。
「へー、夏がねぇ~」
「何ニヤニヤしてんだよ~?!」
「別に~。んで、夏じゃ分かんないから俺を頼ったと?」
「そうだよ? 悪いかよ」
照れながら言うと、先生は笑った。
「いや、全然良いよ。で、何を買う感じで?」
それから二人で色々な店を回り、飯を食べ、気付けば夕方になっていた。
「色々とあんがとな、先生」
そう言うと、先生は苦笑する。
「俺はもう夏の担任じゃねーよ」
俺は首を横に振った。
「ううん。松元ちゃんは俺を信じてくれた」
「俺に大人の背中を見せてくれた唯一の先生だよ」
照れながらそう言うと、先生も少し照れくさそうに笑った。
「よせよ~。俺も照れるわ」
「んじゃ、また何かあったら俺を頼れよ?」
「またな、夏」
「うん、また」
そう言って俺たちは別れた。
俺は家へ向かった。
家に帰ると、玄関を開けた瞬間だった。
「なーちゃん?! どこ行ってたの?! もしかして女?! なの?」
響がすごい勢いで詰め寄ってくる。
「違うよ~。松元ちゃんと買い物だよ~」
そう答えると、響は頬をぷくっと膨らませた。
「また?」
「はあ~、毎回先生と出掛けててさ~」
「たまには僕とか構ってくれても?」
完全に拗ねている。
俺は苦笑しながら袋を差し出した。
「ん?」
響は不思議そうな顔をする。
「実はさ、これ前に響が欲しがってたやつ」
そう言ってネックレスを渡した。
一瞬固まった後、響の顔がぱっと明るくなる。
「ありがと!! なーちゃん大好き!!」
「はいはい、笑」
「俺もだよ」
そんな風に二人でじゃれ合っていると、テレビから声が聞こえてきた。
どうやら何でも屋の特集をやっているらしい。
それを見ながら、俺はふと思った。
「何でも屋やろうかな?」
そう呟くと、響が笑う。
「も~、急にどうしたの? 笑」
そして優しく続けた。
「けど、なーちゃんだったら出来るよ。きっと」
俺は窓の外を見る。
春の風が静かに吹いていた。
中学生活は終わった。
辛いこともあった。
苦しいこともあった。
けど、それだけじゃなかった。
俺を信じてくれた人がいた。
支えてくれた人がいた。
そして今も、隣には大切な人がいる。
だからきっと、これから先も大丈夫だ。
俺たちの物語はまだ終わらない。
これは終わりじゃない。
未来へ続く、新しい始まりだ。
完




