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【本編完結】神様のうっかりで転生時のチートスキルと装備をもらい損ねたけど、魔力だけは無駄にあるので無理せずにやっていきたいです【修正版】  作者: きちのん
第三章

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61 女の子になった。ついでに猫耳も生えた・5

 自分の部屋に戻ると、丁度ピアリもベッドに入るところだったみたいだ。

 私も自分のベッドに潜り込もうとしたら、突然声を掛けられる。


「ねえ、今夜は一緒に寝ていいかな?」


 彼の言葉に心臓が跳ね上がってしまった。

 いきなり何を言い出すのだろう。


 でも別に嫌じゃない。一緒に寝てもいいかなと思ったけど、ふと思い直す。

 やっぱり、こういうのは良くないと思うのですよ。


 今は思考も女の子寄りになってしまっているので、普段と同じ判断ができているかどうかは分からない。

 とにかく、雰囲気に流されてはいけないと思った。


「あのさ、ピアリは何故私と一緒に寝たいの?」


 まさかこんな事を聞かれるとは思わなかったのだろう。

 絶句してしまったみたいだ。


 しばらくしてから、ゆっくりと口を開いた。


「……キミの事が好きだからって理由じゃダメ、かな?」


 その返事は卑怯だよ。

 普段の私は男の子である。その私に対しても同じ事が言えるのだろうか。

 仮に同じ事を言われても、困ってしまうのだけど。



「やっぱり、私の体が目当てだから?」


 自分でも意地悪な聞き方だと思う。

 男の子だった時は、そりゃ女の子の体に興味があったと思うよ。


 でも……なんだろう。

 ピアリには、そういう目で私の事を見てほしくなかった。

 異性として興味が無い?

 それは自分でも分からない。


 多分、友達でいてほしいのだと思う。

 それにここで異性として接してしまったら、私が元に戻った時に今まで通りに接する事ができるのか不安だ。


「それは違うよ! 体目当てじゃない!!」


 彼は強く否定する。

 良かった。少し安心した。

 だけど、不安が全て無くなった訳じゃない。


「最初にも言ったけどさ、キミの事が好きだから」


 申し訳ないけど、心のどこかで信用しきれていない。

 好きだと言われてもよく分からないし、体目当てじゃないと言うのに、なんで一緒に寝たいのだろう。

 やっぱり、おかしいよね。


 部屋にしばらく沈黙の空気が流れ、どの位の時間が経ったのだろうか。

 ピアリが再び口を開いた。



「……ごめん。少し嘘をついたよ」


 やっぱり。

 でも下手に嘘をつかれるよりは、素直に言ってくれた方が嬉しい。


「あのね、本当はキミの魔力が目的だったんだ」


 ……なんですと。


 私の魔力だって?

 急に魔力を吸い取られた時の事を思い出してしまった。


 そうだよ、唇を奪われて魔力まで奪われてしまったのだった!

 おのれピアリめ、許すまじ!!


「キスをしてしまった時の事だけど、どうしても我慢できなくなってしまって……」


「それは分かったけど、なんで私にキスをした時に魔力を吸ったの?」


 その質問をした途端、ピアリが緊張で強張こわばったのが分かった。


「どうしても……キミの魔力が欲しかったんだ」


「理由を教えてくれる?」


「ごめん……今は話せない。いつか必ず伝えるから。虫の良い話だと思うけど……お願いだよ」


 ピアリが苦しそうに答える。目を固く閉じて震えているのが分かった。

 理由はどうあれ、ピアリが苦しんでいるのを見たら私も苦しくなる。


「うん……分かった。話せる時が来たら教えてね。約束だから」


 私の言葉にピアリが驚いたように目を見開き、そのまま泣き崩れてしまった。

 そこで泣かないでよう。こっちも困るのだけど。


「ほら、男の子なんだから泣かないで!」


「うん……。でも最近は『男のくせに』とか『女のくせに』って言ってはいけないんだよ……」


 人がせっかく慰めてるのに雰囲気ブチ壊しだよ!!

 もうなんなの!? 新手の嫌がらせ!?


「あのね、ボク本当にキミの事が好きだったんだと思う。男同士だったから言い出せなかったけど、キミが女の子になった姿を見てから、どうしても我慢できなくて。……ごめんね」


 いきなりガチの告白されてしまった。

 これは私にどうしろというのか。


「……男の時の私でも好きなの?」


 少し意地悪な質問をした。

 私が男だった時は、少なくともピアリに恋愛感情なんて持たなかった。


「男とか女とか関係ないよ。キミという存在が好きだったのだと思う」


 うへえ、性別の壁を乗り越えてくるタイプかー!

 これは結構重い話だなぁ……。

 でも、ピアリの気持ちは嬉しいと思った。


「分かった。今夜だけ恋人になってあげるから」


 とんでもない事を口走ってしまった気がするけど、男に二言は無い。

 って、今の私は女だったよ。


 ピアリが私の事を抱きしめて『ありがとう』とつぶやいた。

 そして、また泣いていた。

 この泣き虫屋さんめ!


 抱きしめられた私は、いつの間にか睡魔に襲われていたのだった。




  ◆◆◆




 気が付いたら俺は何もない神様空間にいた。

 ちなみに神様空間とは、勝手に俺が名付けた空間である。


「……リョウヤ君。一体、何をやってるの? ぶっちゃけ、今日の君にはドン引きしたのだけど」


 神様が俺の事を憐れんだ目で見てくる。

 はて? 俺は何かやらかしたのだろうか。

 頑張って記憶の糸を手繰り寄せてみる。


 …………。


 まさか、あれを全て見られていたのか……!?

 自分の行動を今更思い返すとヤバい。激しくヤバい。


 急に恥ずかしくなってきた。

 いや、恥ずかしいってレベルじゃない!!


 なんなの!? あの如何にも『私は女の子です!』みたいな思考と行動は!!


「うわわわぁー!!」


 俺は恥ずかしさのあまり、両手で顔を覆いゴロゴロと転がり回った。

 目が覚めたら夢オチって事になりませんかね?


「ばっちり見ていたから、夢オチなんて無いよ。しかし、女の子の身体になるぐらいで心まで変わっちゃうなんて、面白いよね〜」


 神様が俺の一縷いちるの望みを断った。

 明日から、みんなにどんな顔をして会えばいいんだろう。


「それに、あんな無防備にまがい物の子に自分の身をゆだねちゃうなんて、正直信じられないよ」


 俺、あの後にピアリに何をされたのだろう?

 考えると怖くなってきた。


 ……ちょっと待て。まがい物?

 神様の言葉に引っ掛かりを感じた。


「神様、まがい物って、ピアリの事ですか!? そもそも、まがい物ってなんですか?」


「……僕、そんな事は言ってないよ。気のせいじゃないかなぁ」


 明らかに『しまった』という顔をしていた。これは絶対に何かを知っているはずだ。


「それよりも明日の事を心配した方がいいよ。それじゃあね──」


 あ! くそっ。今回も逃げられてしまった。




  ◆◆◆




 ……目が覚めた。もう夜が明けたみたいだな。


 隣ではピアリが穏やかな寝息を立てている。

 やはり夢オチにはならなかったか。俺は暗い気持ちで上半身を起こした。

 なんか妙に冷えるなー。


 気付いたら全裸だった。


 枕元には、きちんと畳まれた女物のパジャマと下着が置いてある。

 無論、脱いだ記憶は無い。

 途端に冷や汗がダラダラ垂れてくる。


「おい! 起きろピアリ! お前、俺に何をしたんだ!?」


 俺は幸せそうな寝顔のピアリを揺さぶった。


「ん〜? 朝からそんなに求めないでよ〜」


 寝ぼけて抱き着いてくるピアリを引き剥がし、頬っぺたを両手で引っ張る。


「起きろ! 寝ぼけるな!」


「いたい、いたい! って、あれ? リョウヤ君? おはよう。無事に元の姿に戻れたんだね」


「そんな事はどうでもいい。昨日の夜中、俺に何をしたんだ? 正直に答えてくれ」


「えっ!? それは……ごめんね。ボク顔を洗ってくるね!」


 そう言うと、ピアリはそそくさとベッドから出て行ってしまった。


「ちょっと待ってくれ! 本当に何をしたんだよぉ!!」


 早朝に俺の叫び声だけが響き渡るのであった。

セキこ編・完

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― 新着の感想 ―
罰でとかじゃなくいきなり実験や面白半分でこんなことさせられたら普通に今までの関係値あっても関係絶つわこいつら さすがに無いわ
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