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【本編完結】神様のうっかりで転生時のチートスキルと装備をもらい損ねたけど、魔力だけは無駄にあるので無理せずにやっていきたいです【修正版】  作者: きちのん
第二章

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39 もう毛抜きで痛い思いをしながら抜かなくて済むよ!!

 校長室から解放された後、レイズ達と別れた俺は朝食を食べていなかったのを思い出し、ブランチと洒落込もうと食堂に向かった。

 途中でヨシエさんにもらったレシピノートを持ってきていないのに気付いたが、今度にでも厨房の人に渡せばいいか。


 食堂で焼き魚定食を食べていたら、ピアリ達がやってきたのが見えた。

 取り敢えず手を振って呼んでみる。


 なんだか、みんなの姿がいつもと違うと思ったら、それぞれが新制服を着ていた。

 ロワりんはかなり手を入れたセーラー服姿で、短いスカートの裾からフリルのペチコートが見えている。

 メルさまはお嬢様らしく、きちんとブレザーを着こなしていた。

 ピアリはセーラーワンピース姿があざとかった。


 ……いや、似合うんだけどさ。

 スカートの中の下着は、どうなってるのか聞きたいような、聞きたくないような。

 そんでもって、ミっちゃんは相変わらずのジャージ姿だった。


 そのミっちゃんが席に着くなり聞いてくる。


「校外実習はどうだった?」


「凄まじくシャレにならなかったです」


 真顔で答える俺をロワりんが茶化した。


「またまた~。そんな事を言いながら結構楽しんだんでしょ?」


 あれが楽しめる状況なら、本気で頭おかしいよ。


「いやいや! マジで死人が出かねない状況だったんですからね!」


「ところで、わたくしの回復薬はお役に立ちましたか?」


 メルさまが少し不安げな表情で問い掛けてきた。


「めちゃくちゃ役立ちましたよ。ありがとうございます。もらえてなかったら、どうなっていた事やら……」


 あの怪我人続出の光景は、今思い出しても身震いする。

 そんな俺を見てピアリが疑問を口にした。


「今年の校外実習って、そんなにハードだったの?」


 俺はみんなに魔物の群れに襲われた事や、デザロの暴言等をかいつまんで説明した。



「なんだよそれ! 確実に殺しにかかってるレベルじゃないか!!」


 ロワりんが憤って大声を出す。

 あまり大きな声を出さないようにね。みんな注目してるから。


「うーん、それはおかしいね。ボク達の時はそこまでじゃなかったよ」


 ピアリの口ぶりからだと、やはり去年も何かあったんだな。

 その証拠にミっちゃんとメルさまが眉をしかめている。


「しかし、あの男も懲りない奴だな」


「もっと徹底的にやれば良かったですの」


 デザロの事かな?


「それとなく耳にしたんだけどさ、デザロは去年の校外実習の時、反発した生徒に襲われたって聞いたけど、もしかして……?」


 俺の質問にロワりんが『心外だ』とでも言いたげな表情をする。


「襲われたって、そんな言い方をされてたの? あのね、去年も今回程じゃないけど、危ない罠がいくつもあって、他の班で怪我人が出たから私達で文句を言ったんだよ☆」


 続いて不満げな態度を隠そうともしないミっちゃんが続ける。


「そうしたら、あの男はなんと言ったと思う? 『弱者は不要だ』とか偉そうな口を叩きやがったのだ。その上、私達に手を上げようとしたのだぞ。……もちろん、正当防衛はさせてもらったけどな」


 それって、絶対に過剰防衛になっていたと思うのですよ。

 そんな俺の微妙な反応を楽しむかのように、メルさまが微笑む。


「あの時は胸がスッとしましたの。ミっちゃんさんがボコボコにしてしまい、『生徒より弱い講師など必要ない!』なんて、仰るんですもの」


 うわぁ。めちゃくちゃその光景が想像できるわー。

 というか、ボコボコにしちゃダメだろうに……。

 そして、とどめとばかりにピアリがとんでもない爆弾発言をする。


「でもさ、メルさまも持っていた薬で、デザロの頭髪の毛根を殺しちゃってたよね」


 犯人はメルさまかよ!!

 おかげでヅラの件で笑ってしまって、めちゃくちゃ睨まれたんだぞ。


「ピアっちさん、ひどいですの! 元はと言えば、あの薬はロワりんさんが作った物でしたのに」


 お、今度はロワりんに責任転嫁ですかい。

 当のロワりんは恥ずかしそうに頭をかいている。

 いやいや、褒められてませんからね?


「あはは。見様見真似で回復薬を作ってみたらね、何故か永久脱毛剤ができちゃったんだよ。危ないから封印したけどね☆」


 それ笑い事じゃないだろ。

 頭部を怪我した人に使ったら大惨事だよ。

 現にデザロが大惨事になってるけどさ。


 それにしても、脱毛剤か……。


「……ちょっと思ったんだけどさ。その脱毛剤って、使いどころを間違わなければ需要があるんじゃないの? 例えばムダ毛の処理とか──」


 言い終えないうちに、四人が目の色を変えて俺に迫る。

 ちょっと、みんな近いって! いきなりなんなの!?


「流石リョウヤ君! 目の付けどころが違うよ!!」


 ……お、おう。ピアリもムダ毛のお手入れが気になるのかな。


「セッキー天才だね☆ もう毛抜きで痛い思いをしながら抜かなくて済むよ!!」


 ロワりんさん、毛抜きでお手入れしてるんですね。


「私は獣人だから、普通のヒト族よりムダ毛が気になる部分もあったんだけど、その悩みも解消されるのか!」


 ミっちゃんって毛深いのか。外見からじゃ分からないけど、尻尾のふさふさ具合は素晴らしいと思うのですよ。


「本当にセッキーさんの発想の転換には驚かされますの。わたくしも他人には言えない部分のムダ毛に悩んでいまして……」


 メルさまの他人には言えないムダ毛って、どこですかね!?

 凄い気になるんですけど!


 ……そもそもだけど、ムダ毛の手入れに悩んでいたのに、脱毛剤の有用性に気付かないなんてなあ。

 案外、みんなしっかりしてるようでポンコツなのだろうか。


 それはともかく、デザロの件を機に色々と問題を起こした彼女達は、次々と講義を出禁状態にされてしまったとの事だった。

 全てが自業自得とまでは言えないので、少し気の毒である。



 そんな会話を繰り広げていると、いつの間にか校外実習で助けたり、治療してあげた生徒達が集まってきて、次々にお礼を言われてしまった。

 いきなりだったので戸惑ってしまう。


 実際に魔物を倒していたのはレイズ達だし、怪我人の手当は主にテルノが担当していた。

 それに回復薬は、メルさまから貰った物だ。

 俺はそう答えたのだが、狼耳の獣人の男子が俺の背中をバンバンと叩いてこう言った。


「いや、お前も十分活躍していただろ。お前達の班の誰か一人でも欠けていたら、俺達を助けられていなかったはずだ」


 そうなのかなぁ。いまいち俺が活躍した実感は無いのだけど。

 どう答えていいか分からない俺を見て、ピアリ達はもっと誇っていいんだよ、と言ってくれた。

 俺も素直に喜んでいいのかな……。



  ◆◆◆



 校外実習から数日が経った休み明けの午後、俺達はメンバールームに集まっていた。

 無事に公式パーティとしての認可も下りたことから、正式な活動を始める事になったのだ。

 ちなみにみんなで改装したメンバールームは、既に生活感が漂っている。


 最初からロワりん達が泊まり込んでいたので、そこかしこにお菓子の食べカスとか散らかってるわ、脱ぎ散らかした服はあるし、洗濯物は窓際で干されていたり。

 せめて下着類は見えないところに干してくれよ……。目のやり場に困ってしまう。

 流石にこれは、リリナさんに注意されて片付けさせられていたけど。


 それ以前に、リリナさんと部屋で二人きりで過ごしていたのだが、彼女といい雰囲気になっていたところにロワりん達が押し掛けてきて、邪魔されてしまった。 なので恨み言のひとつも言いたくなるのだ。


 俺達の前に立ったセーラーワンピースの制服姿が可愛らしいアンこ先輩が、ペコリとお辞儀をする。


「それではみなさん。改めてよろしくお願いします」


 みんながパチパチと拍手する。


「先輩、今日はどんな活動をするんですかね?」


「はい。今日は探索の目星を付けている古代遺跡を説明しますね」


 先輩が壁に地図を貼ろうとするけど、小柄なので四苦八苦している。

 ああもう、苦労する姿も可愛いなあ……。

 ずっと見ている訳にはいかないので、すぐに俺とピアリで手伝う。


「お手伝いありがとうございますね。それで、現在この二ヶ所の遺跡が候補地として残っております」


 先輩が指し示す王国領内の地図を見ると、あちこちにバツ印がしてあって、二ヶ所に丸印があった。

 バツ印は既に調査済みって事なのかな。


「王都から、ほど近いここを先に調査したいと考えています」


 近いと言っても、俺の出身の村の方なので馬車で四、五日ぐらいかかりそうだな。

 逆にもう一つの方が気になる。場所的には、ほぼ隣国との国境沿いだ。


「先輩、もうひとつはどんな場所なのですかね?」


「……もうひとつの場所ですが、竜牙の谷の遺跡です」


 先輩がそう言うと、他のみんなが息を飲んだ。

 はて? そんなに有名な場所なのか?

 まったく聞いた事が無いのだけど。


 俺の反応とは対照的に、ロワりんとメルさまが疑問の声を上げた。


「ちょっと! アンこ先輩、流石にそれは難しいんじゃないの!?」


「確かにそれは少々無理がある気がいたしますの」


「はい……。だから、もう一方が当たりの遺跡だったらいいなと思いまして……」


 先輩の声が尻つぼみになっていく。



「リリナさん、竜牙の谷ってどんな場所なんですかね?」


 俺は顧問として同席するリリナさんに竜牙の谷について聞いてみた。


「竜牙の谷は、古竜の末裔とも呼ばれる一族が住む場所なの。一応は王国の領内だけど、彼らはこの国に属す気は無いから、実質的に治外法権の場所ね」


 隣国との国境にも近い場所なので、おいそれと調査に行ける所では無いそうだ。

 取り敢えずは、もう片方の遺跡を探索する準備を整える方向で話は終わった。


 それとは別にもうひとつ報告があり、それは校内の全パーティーに公布される仕事の依頼の話だった。

 聞いてみると、学生向けに定期的に冒険者ギルドから依頼される仕事らしい。


 冒険者ギルドでは不人気の簡単な害獣退治から、護衛任務とは名ばかりの荷物持ち、生産職向けの繁忙期の工房でのヘルプ要員、研究職向けは学府の教授の助手や役所の書類整理等の依頼だ。

 どうも冒険者ギルドでは、いつも掲示板に残ってしまう類の依頼だそうだ。


 それはともかく、依頼の成功報酬がパーティーの利益となる。

 少しでも学費の足しにしたい学生達には、うってつけの仕事なのだろう。

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