20 別れ
マリエールは国王に上位デーモンに子どもを返すべきだと言った。国王は反対したがロビンがマリエールに賛同した。
20 別れ
マリエールは上位デーモンの子どもを可愛いがった。実の姉妹以上に関わった。外出はマリエールが一緒なら認められるので様々なところに一緒に行った。何処に連れていっても喜んだ。マリエールはその時まで彼女は此処にいるのが幸せなのだと本当に信じていた。そんな筈ないのに。彼女は人質だ。マリエールは判っていたのに敢えて目を背け、彼女との時間を楽しんだ。本当の幸せだと信じた。しかし、嗚咽しながら母親に縋り付いた姿、涙を流しながら必死に笑顔を作った姿を見てそれが間違いである事を知った。彼女は我慢してきたのだ。自分が人質になって上位デーモンと人間の信頼関係を築くために犠牲になったのだ。
今マリエールはロビンと共に国王陛下の前にいる。マリエールは
「国王陛下、上位デーモンに子どもを返してください。既に上位デーモンは人間のために尽くしてくれました。これ以上人質は必要ありません。却って上位デーモンの不信感を招くだけです。あの母娘を引き離しておく事に私は耐えられません。」
マリエールは思いのたけを国王にぶつけた。国王は、
「あの子どもは、上位デーモンが人間の味方をする事を誓う明かしなのだ。返した途端、反旗を翻しても不思議ではない。マリエールに責任が取れるのか。」
マリエールは、
「そうなったなら、私が上位デーモンを殲滅します。」
国王は、
「そんな簡単にいくわけがないであろう。あのグレターデーモンと同格の者だぞ。」
マリエールは、
「私が殲滅します。」
と繰り返した。困った顔をして国王はロビンを見た。ロビンは呆れ顔をして、
「マリエールは我が国の英雄です。魔獣殲滅の魔法を放てる唯一の存在です。その彼女の言葉を無視して彼女のやる気を削いだら国家の損失です。それに上位デーモンは我々に協力的です。必要以上に人質を据え置く事はお互いのためになりません。唯一上位デーモンを殲滅出来るマリエールが責任を取ると言うのです。信じても良いのではないでしょうか。」
暫く考え込んだ国王は、
「判った。」
と言った。
上位デーモンを呼んで子どもを引き渡した。涙を流して喜ぶ子どもにまたマリエールの涙腺は切れた。上位デーモンは、
「この度のお礼に、ロビンとマリエールに魔界へ行く能力を与えよう。魔界の王への紹介状も渡そう。私の許可証も渡そう。グレターデーモンと出会う機会もあるかも知れない。健闘を祈る。」
約束通り紹介状と許可証を渡して上位デーモンと子どもは消えた。
国王とロビンとマリエールは魔界に行く事を検討した。行くのはどちらか一人である事、人界に残る者は上位デーモンの召喚装置を所持する事、魔界に行くのは一週間以内とする事などを決めた。魔界に行く時は再度3人で会う事にした。
ロビンとマリエールは2人で話した。マリエールは、
「自分でいい出したのに身勝手だとは判っているけど、あの子と別れるのは寂しいものね。」
ロビンは黙ってマリエールを抱きしめ「そうだな。」と呟いた。
上位デーモンは子どもを受け取るとロビンとマリエールに魔界へ行く能力を与えた。マリエールはロビンに子どもがいなくなる寂しさを伝えた。




