裏切りのキス、そして海へ...............
優子は、仕事が終わる。グーグルマップで、場所を確認。ものすごい奥の路地裏小さく立っている白い建物が見えた。
小さい看板に書いてある「KJ」そして
黒板で「今日のおすすめメニューはあさりの酒蒸しパスタ
パスタは小麦から丁寧に作りました。
毎日、暑い日と寒い日が続きますが、お身体お気を付けくださいね」と手書き丁寧に書かれた看板があった。
優子は、翔太が一生懸命店をやっているのが伝わった。
ドアを開けて店に入る。翔太が一人でグラスを磨いていた。
翔太「いらっしゃい。おお。優子ちゃん。久しぶりー。この間をどうも。」
優子「......ど.........どうも...............。」
寝れない場所で路地裏なのもあり緊張していた。部屋も薄暗い。
翔太はグラスを磨くのをやめ、カウンター台の裏から、出てきて節客を始める。
翔太「カウンター座る?それともテーブル?」
店内は誰もいない、席は選びたい放題。
優子「カウンターにしようかな」
誰かに話したいと思った。この鬱積した気持ちを。翔太に案内され座る。
翔太「どうぞ。これメニュー」翔太に目メニューを渡される。
開いて、さっきの看板を思い出した。そして聞いてみる。
優子「アサリの酒蒸しパスタ。おすすめなの?」
翔太「ああ。そこの市場でとれたてのアサリを買ってきて作るんだ。」
笑顔で話す翔太。その笑顔はどこか包容力を感じさせた。
優子「あの看板...............。」
優子は、外の入り口を見た。翔太は恥ずかしそうに頭を掻く。
翔太「ああ。見てくれたんだ。いつもお客さんがわかりやすいように手書きで書いてるんだよね。
自分がこれに一番こだわりました。この料理を食べて欲しいですっていうは特にさ...............」
何かを夢見る少年のような顔に、なんだか優子は魅了されていた。
翔太「妻はよく言うんだ。お店売りあが上がってないなら閉業したほうが居んじゃないって、今は、おしゃれなバーよりファミレスの時代だとかいうけど、僕は、イタリアンを海外にまで行って学んで一から勉強して、お店で修業までして、いつかはお店やりたいって言ってやっと開いた店なんだ。僕の夢がいっぱい詰まった店だから続けたい。」
少年のように澄み渡ってまっすぐな眼だった。
優子「そうなんだ。じゃあ。それをひとつ。」
注文をうけると、奥の厨房に入り、料理を作る、オリーブオイルとバターのいい香りがする。
皿に盛りつけられて、料理を運んできた。
翔太「どうぞ。そして、これ、おまけ」付け合わせとして、小さいカップケーキまでつけてくれた。優子は胸が締め付けられた。優子の体に顔が近づいてくる。優子は衝動性に身体がかられる。
優子「翔太さん...............」
優子は、お皿をテーブルに乗せた左手を引っ張った。そして、唇と唇を重ねる。
翔太「..........っ...............!!」
キスをしていた。薄暗い、バーでの環境が、その情景をさらに幻想的にさせた。
翔太はすっと、身を引いた。優子は少し顔が赤くなって俯いていた。
翔太「...............ありがと...............」
翔太はつぶやく、優子はちょっとクスッと笑った。
優子「何それ」
翔太も思わず笑う翔太「いや...............なんか。君の気持ち...............伝わったから。」
優子は目の前のパスタを食べる。お会計を済ませ店に出ようとする。
翔太「優子ちゃん」
優子は呼び止められた。振り向いていう。
翔太「これから時間ある?海行かない?」
優子が時計を見た陽太郎がそろそろ帰って来る時間だ。帰らないと、スマホを見たらLINEのバナーが、陽太郎「今日は、遅くなるからご飯いらないよ。」それをみて優子は決意した。
優子「うん。行こうかな。」
翔太は、店のシャッターを閉めて閉店にする。バイクを持ってきて、エンジンをかける。
ヘルメットを優子に渡す。
翔太「ほら...............」ヘルメットを優子はかぶり、後ろに乗る。
バイクで二人は海に向かった。