253.浮遊する結界
メイファンの得意分野は呪詛などの精神攻撃を用いる魔導士を相手にすることだった。だから格闘戦は苦手で大勢の兵隊人形と対戦することは出来なかった。数体を緒戦で活動停止に出来てもすぐ行動不能になるのは目に見えていた。
だからメイファンはしたことといえば、かくれんぼをしている子供のように隠れている事だった。でも隠れているだけでは事態が打開しないので、なんとしても上司に連絡しようとした。しかし当然であるがここは人が住む陸地から遠く離れた忌の海のど真ん中、全く通じることはなかった。
「ここって軌道衛星の死角なのかしらん? わたしが持ってきた通話板では全く通じないわ。こんな調子ならメルキュア最期の救難信号もギルドの誰かがキャッチしたのか疑問に思えてきたわ。ってすると・・・誰も助けに来ないってことなの?」
そんな絶望感に襲われていたメイファンであるが、ひとつ疑問があった。そもそもなんで青銅の塔にこんな軍勢がやってきたのだろうか? しかもアサミとタクヤがいるときに? そう考えると一つだけ確かだった。二人の行動は漏れているのはないのだろうか。
わざわざダミーの魔導士パーティーをいくつも各地に派遣しているのに、ピンポイントでやってきたのだから。
「そういえば、”筆頭統領の夜食番”の一人が言っていたわね。アサミとタクヤと行動するのはリスクが高いから気を付けるようにと。それってこういう事だったんだわ!」
そう思って姿勢を変えた時目の前には不気味な兵隊人形に囲まれていた。まさに袋のネズミだった。この状況なら相手が投降するように言ってくるはずだけど、全員が武器を振りかぶっていた。そいつらはメイファンを殺そうとしていた!
いちかばちかメイファンは飛び出して何体かの兵隊人形を蹴り飛ばして逃走し始めた。しかしここは青銅の塔の狭いフロア、逃げる場所はなかった。またも兵隊人形に取り囲まれた時、突如メイファンの前に白い霧が現れた。それはこの塔の浮遊結界で、兵隊人形どもを取り込んでいった。




