252.空間も時間もない
”死の女神の間”に関する情報は錯そうしていた。現在、青銅の塔と呼ばれるところに彼女が指導していた超国家的組織の本部があり、そこに執務室と居室が女神の像の中にあり、それらのうち居室部分が”死の女神の間”と呼ばれていた。
その居室の中に入れるのは側近の中でも限られたもので、実際に入って後世に様子を伝えた資料に乏しかった。そのことが様々な想像を書き立てる根源となったため、いまでは本当はどんなところなのかがわからなかった。
通説では質素で装飾に乏しいあまり印象に残らないといわれていたが、彼女を究極の悪とする創作物では、この世界で出来る可能な限りの贅を尽くした部屋か、醜悪でグロテスクな部屋と表現されていた。
特に後者の場合には、彼女によって死に追いやられた人々の亡骸から作られた家具が置かれていたなどとしていた。
しかし実際の”死の女神に間”は無限に続く虚無のような白い空間で時間の経過さえも分からなくなってしまいそうな場所だった。そのためアサミもタクヤも暗くはないけど真っ白な無限地獄にでも閉じ込められたかのような気分になっていた。
「アサミ、俺がメイファンさんに見せてもらった過去に”死の女神の間”に入った冒険者の話によれば、この白い闇を行っていたら唐突に”死の女神”の亡骸に遭遇したそうだ。だから、こうして行っていると出くわすかもしれないな。ところでアサミ・・・」
「なによ、一体?」
「実はその・・・君が本当に”死の女神”が転生したのなら何かを感じないかと思ってきいたんだけど・・・」
「そうねえ・・・何も感じないわよ。確かになんかのアニメだったら前世の記憶がよみがえって、なんて事になるのかもしれないけど。そんなこと、ないわね」
「そうか・・・」
それから二人は無言のまま空間も時間もない白い闇を彷徨っていた。それが一体どれくらいの時間なのかすらわからななくなっていた。




