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これは俺の仕事だよ

残酷な描写があります注意してください

 話は少し遡る。

 これは男に質問し終わった後の出来事。


 「ギャーーーーーーー!!!!!!!」


 狭い室内に男の絶叫が響き渡る。

 そのうるさいぐらいの絶叫を俺は耳を塞ぐ事無く受け入れる。


 「うるさい奴じゃ、そう喚き散らすな。

 主殿が命の保証はしておるのじゃが、あまり五月蠅くすると手が滑るぞ」


 クモが苛立ち交じりにそう言いながら、男の片方の眼球を抉り獲る。

 獲られた眼窩からは涙のように血が流れていく。

 そして残った片方の目に涙を浮かべながら、男は俺の方を見てくる。


 「や、約束が違う……」

 「いや約束は守ってるよ。

 俺はお前と「命だけは助ける」って約束をした。

 だから命だけは助ける。

 それ以上の命があるうちは自由にさせてもらう」


 すがりつくような眼に対して、俺は冷徹に告げる。


 「そういう訳じゃ。

 これ以上五月蠅く鳴かれも困るからのう、その舌と歯は早々に無くすと使用かのう」


 クモは男の口を無理やり開かせ、舌を掴むとそのまま引き千切る。


 「~~~~~~~!!!!!」


 悲鳴も上げられず喉から声無き叫びを上げる。


 「舌の次は歯じゃな」


 口を無理やり開かせた状態のまま、素手で一本一本歯を摘み無理やり刳り抜いていく。

 一本抜かれるたびに白目を剥き気絶するが、気絶した次の瞬間には新たな歯を抜かれる痛みで目を覚ます。


 「これで全部じゃのう。

 ワニよそっちはどうじゃ?」


 歯を全て抜き終えたクモが足元にいるワニに問いかける。


 「俺の方も順調だ。

 味はいまいちだが、腹の足しにはなるな」


 足元で男の両足を食べていたワニがそう答える。

 少しずつ少しずつ削るように足を食べ続け、今では男の足は腿までしかない。


 この時すでに男の意識はあまりの激痛と恐怖で正常では無かった。

 だが、このまま終わりではない。


 「おい、よく聞け」


 俺は焦点が合わず涎を垂らすと男の顔を掴み、無理やり俺と視線を合わせる。

 それでもまだ男の焦点ブレ、俺と目線が合わない。


 「主殿が呼んでいるであろうが、ちゃんと聞けい!」


 クモが腕に足を突き刺す痛みで、男にわずかな正気が戻り俺と視線があう。


 「ここはウワバミ。

 全てを飲み込む俺の住み家だ。

 無断で人の家に踏み込むんだ、どんな目に合っても文句は言わせないよ」


 そう言って笑いかける。


 俺の笑顔を見て男の体が震え出し、ボロボロになった口を開きつぶやく。


 「ひゃ、ヒャふま……」

 「否定はしないよ」


 そう言ってから俺は男の残った目に指を突き刺した。


 柔らかな感触が指に感じる。

 その感触に顔をしかめたくなったが歯を食いしばり我慢する。

 血と肉の温もりを感じた指を眼球の奥まで突き入れると、そのまま眼球を掴むようにして引き抜く。

 あとに残ったのは暗い何もない眼窩と、俺の手にこびりついた肉と血と眼球のみ。


 俺は最後に男を一別した後、クモとワニに命令をする。


 「新しい侵入者が入って来てる。

 気付かれないようにこっそり侵入者付近までこの男を運べ、そして意識を覚まさして侵入者がいる方を教えてやれ」

 「よいのですか逃がして?」

 「……約束だからな、命だけは助けるさ」


 二人には一礼すると男を担いでダンジョンに向かっていった。

 これで多分男は命だけは助かるだろう。

 だが、現状まともに生きはいけないと思っている。

 おそらく遠からず死ぬとは思うが、それは俺の関係ない事だ。

 俺は約束を守った。






 誰もいなくなった室内で、誰もいなくなったことで俺の緊張の糸が切れその場に四つん這いになり胃の中のものを吐きだしてしまう。


 わかっていた事だ。

 こうなるとわかっていて覚悟を決めてやったはずだ。


 だがそれでも俺の精神は耐えられずこうして胃の中のものを吐きだしてしまう。


 無理やり冷淡の振りして淡々と男に拷問をした。

 男の顔が歪むたびに逃げ出したくなった。

 悲鳴を上げるたびに拳を強く握り堪えた。

 謝りそうになるのを歯を食いしばり止めた。


 全てはダンジョンに住む仲間のため。




 「大丈夫ですかマスター」


 一通り吐いたあと、部屋に入って来たムースが水とタオルを渡してくる。

 俺は水で口をゆすぎ、唾液と汗と涙で汚れた顔を拭き気持ちを切り替える。


 「マスターがこうして無理になさらなくても、私達がしましたのに」


 いくら汚れた顔を拭いても、真っ青で疲れきった顔は変わらなかったようだ。

 ムースが俺の顔色を見てそう進言してくれる。

 多分ムースの言う通り、俺が言えば皆やってくれただろう。


 だがそれじゃ駄目なのだ。


 「心配してくれてありがとう。

 大丈夫、俺は平気だよ」


 こんな汚れ仕事をみんなに押し付けるわけにはいかない。

 必要だと思ったからした。

 ならばその責任も俺が取らなければいけない。


 体調を崩したとしても、

 心に傷を負ったとしても、

 今後もこんなことがあるとしても。


 俺は必要となればまたするだろう。


 だから「平気だよ」と言って無理してでも笑って見せる。

 俺の顔を見てムースは静かに頭を下げる。


 何も言わずとも俺の気持ちをくんでくれる。

 こんな素敵な子達を守りたいから俺は頑張るのだ。







 薄暗い部屋を出てみんなのいる大部屋に向かう。

 大部屋に入ると心配そうな顔した皆が俺を待っていた。

 そんなみんなを見て俺は嬉しくなる。


 「主よ、言われた通りの物を男の鞄に入れて下りたぞ」

 「ありがとう」


 ヤードには拷問をおこなっている間に頼みごとをしていたのだ。


 「しかしいいのか、あんなものを持って行かせて。

 あれ結構DPかかったんじゃないか?」

 「確かに結構DPかかったけど、今後の事を考えると安いもんだよ」


 宝石や装飾刀など高かったが、それも必要と思えば仕方が無い。


 「どうやら近くにほかにもダンジョンがあるらしくてね、まだまだ攻略の目処が立たず知名度も向こうの方が高い。

 こっちも名を売らないと、人が来ないことになりそうだからね」


 つまりあれは餌だ。


 「あれだけ価値のあるものだ。

 自然に情報が広まるだろう」


 そして情報に釣られて欲に目が眩んだものたちが集まってくるという言うことだ。


 「これから忙しくなるよ」


 そう言ってからモニターに目を向ける。

 モニターではちょうど男が短刀で命を絶たれる場面が映っていた。

 命を絶たれる前に男の口が殺してくれと言ってるのがわかった。

 それを見て俺は小さくつぶやく。


 「俺達が生きるために必要な事だったから謝らないし、後悔もしない。

 ただ、俺は絶対に忘れない」


 いまだに血と肉の感触の残る手を強く握りしめ、自分が殺したであろう相手を目に焼き付けた。



最後までお読みいただきありがとうございます。

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