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ダンジョンの名前

今回少し短いです

 プロジェクト開始前日。


 いつものようにみんなそろって朝食をとるが、今日はみんないつもと様子が違う。

 それは元気の塊であるメーサの口数の少なさであったり、姿勢よく食べるスーラが落ち着きなく周囲に気を配ったり、口数が少ないヤードがさらに寡黙になったり、普段と変わらない無表情のムースが朝食の卵焼きを焦がすなどの姿からよくわかる。


 「みんな緊張してる?」

 「まぁな、さすがに今さらジタバタしても仕方ないとは思ってはいるんだけど、どうしてもこれからのことを考えるとな……」


 ヤードの言葉からみんなの不安な気持ちがよく現れている。


 「マしゅターは不安じゃないの?」

 「不安だよ。

 でももうここまで来たらジタバタしても仕方ないって気持ちもあるからね」


 そう、やれることはやった。

 ならばあとは腰を落ち着けて待つだけしかできることは無いのだ。


 「さすがマスター、私もその姿を見習いたいと思います」

 「そうでござるな。某も気が逸っておったでござる。

 これではいざ明日を迎えても、満足に戦えないでござるからな」


 DDMの俺が落ち着いているのを見て、他のみんなも落ち着きを取り戻していく。


 そして朝食が終わり、メールを確認する。




 『皆さまプロジェクト開始直前の今いかがお過ごしでしょうか?

 あなたのお傍にアクノマ商会のカーニバル・クラウンです。


 現在活動中のDDMの人数は987人となっております。

 プロジェクト開始前に13名ものDDMが亡くなったことは非常に残念です。

 そしてここまで残った方に褒賞として500DP贈呈します。

 さてDDMの皆さま、プロジェクト開始前に一つ重大なことをしていただきます。

 それは、あなたのダンジョンに名前を付けていただくことです。


 名前はお好きなようにつけてもらってかましません。

 あなたの決めた名前がこの世界に浸透します。


 これを見ている暇を持て余した神々に、

 敵意を持って侵入してくる者たちに、

 憧れを持って召喚される魔界に住む者たちに、


 あなたの造ったダンジョンの名を刻みつけて下さい。




 それでは明日からの活躍を期待しております。

 アクノマ商会 カーニバル・クラウン



 追記

 名前を決めたら、ダンジョンの入り口となる扉に触れながら、その名前を言って下さい。

 それで名前が登録されます。』






 名前か~、それは考えてなかった。

 しっかし、さすがクラウン相変わらず悪魔らしいいい性格をしている。


 今来たメールを読むだけで、きっと落ちていた気持ちが今一度蘇るだろう。

 世界に名前を刻みこめだと、何とも胸を熱くさせてくれるじゃないか。




 「ねぇ、なんかダンジョンの名前に希望とかある?」


 ネーミングセンスがないことはよくわかっているので、仲間に聞いてみる。


 「ここはマスターの名前をそのまま付けるのはどうでしょう?

 偉大なるマスターの名前を誰もが口にする。なんて素晴らしいのでしょう」


 いやそれは無い。

 自分の名前とか恥ずかしすぎる。


 「う~ん、メーサはねエサ場なんていいと思うの。

 マしゅターが造ったここに攻めてくる奴らなんて、グッチャグッチャにして眷族達のエサにしてやるの」


 うん、メーサ笑顔で怖いこと言うのは止めてくれ。

 そんな名前を付けたら、初っ端から怒った人達に狙われる可能性があるから無しだ。


 「某は、簡単に密林でいいと思うでござるが」


 簡単なのはいいけど、多分今後密林エリア以外のエリアも増えていくから駄目だ。

 まぁ、騙すためにあえてそう名付けるのも悪い手では無いと思うけど。


 「悪いが、俺は特に希望は無いぜ。

 ここは主のダンジョンだ、意見を聞くのはいいが最後は主の直感で決めるのが一番だろうよ」


 ヤードはそう言って俺にゆだねる。

 仲間たちの意見を聞いて、いろいろ考えて最後に一番しっくりくる名前を絞り込む。


 「この名前にしようと思うけどいいかな?」


 仲間達に最後確認をとる


 「マスターが決めたのですから、私に異論はありません」

 「良いの!すっごく良いの!!」

 「良き名でございます」

 「悪くねぇな。主の性格がよく出てるじゃないか」


 みな賛成の様だから俺はこの名前に決める。


 そして最後にもう一度ダンジョンを確認する。


 大丈夫だ。

 やれることはやった。

 あとは自分を信じて、仲間を信じて行動すればきっと上手く行く。



 俺はダンジョンの扉に触れ、高らかに名前を告げる。


 「俺のダンジョンジョン名は『ウワバミ』!

 これが俺のダンジョン名だ!!」


 ウワバミとは大蛇の事。

 細長い通路が多い俺のダンジョンはまるで大蛇のような姿をしていし、俺のダンジョンには蛇達の姿を多い。

 また大酒飲みのこともウワバミという。

 飲んでも飲んでも飽き足らない、そんな姿を俺のダンジョンは表している。




 名前を付けたとたん、ダンジョンが世界に受け入れられた気がした。

 その証拠に外の世界と入り口が繋がる。



 プロジェクトがいよいよ始まる。






 DDM:神無月黒

 DLV:1

 称 号:【理屈だけでは到達できず、本能だけでも到達できない、二つ揃って初めて見えてくる極致に至った者】 【従者からの忠誠】

 DP :3460P

 従 者:ムース(ホムンクルス)

 臣 下:ヤード(ゴブリン)

     メーサ(ホムンクルス)

     スーラ(コボルト)



 その他情報

 ダンジョンエリア:密林、湿地、森林

 魔獣:スラりん(スライム)、ホッピングスネーク、ウットカゲ、ポイズンスネーク、アナコンダイ、ビッグスパイダー、マッドアリゲーター、ウインドウルフ、シャドーウルフ



最後までお読みいただきありがとうございます。

評価やブックマーク、感想など頂けると嬉しいです。


第三回なろうコン大賞に挑戦します。

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

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