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食べるの!?

 プロジェクト開始まであと5日。


 いつものようにみんなで朝食をとるために大部屋に行く。


 「昨日マスターが新鮮な肉を用意していただいたおかげで、今日は朝から豪華にしました」


 そう言ってムースが机の上にステーキやらハンバーグやらを大量に乗せていく。

 朝からそんな重いものは食べられないと言おうとしたが、周りを見ればヤードもスーラも、目をキラキラと輝かして食卓に並ぶ料理を見つめ、メーサにいたっては口から涎がたれかけている。

 そんな目をした彼等に食べられないとは言えない……。


 しかし、先ほどムースが新鮮な肉を用意って言ったが、俺は昨日食材を出した記憶はないのだが。

 そう考えたとき、脳裏に嫌な予感が浮かぶ。


 「ムース、もしかしてこの肉って……」

 「はい、カウフロッグの肉ですよ」


 俺の嫌な予感をムースは笑顔で肯定する。


 「いやいやいやいや、食べないよ。

 えっ、カウフロッグって魔獣のために用意したんだよ?」


 全力で首を横に振り、食べないと宣言すると全員が目を丸くして、


 「「「「食べない(の)(のですか)(だと)!?」」」」


 盛大に驚かれた。


 彼等にとってはカウフロッグの肉は普通に食べるらしいのだが、どうも生きてる姿を実際に見てしまった俺は食べる気が起こらない。

 特にあの食卓に乗っている丸焦げのカウフッログとかは特にだ。

 俺はムースに頼んで普通の料理を別つくってもらった。






 食事が終わると、メールの確認をする。

 背後から「やっぱりカウフロッグの肉は噛んだときの弾力がいいな」「そうですね。あの柔らかいようでしっかりとした歯応えはなんとも言えません」「丸焼きが一番おいしいの!」などの感想が聞こえたが、俺は聞かなかなかったことにする。

 …………別にそんな感想を聞いて、少し食べてみたいとか思ったわけではないのだ。




 『神無月黒様、アクノマ商会からの賞与が来ています


 【屠殺場】:ダンジョン内部に屠殺場を造る

       賞与200DP

 【拷問者】:ダンジョン内で拷問を行う

       賞与200DP

 【無慈悲なる無邪気】:ダンジョン内で慈悲のない行動を無邪気に行う

       賞与500DP


 神様方から褒美が来ています


 【蛇に睨まれた蛙達】:蛇神オロチから500DP授与されます

 【子孫繁栄の推奨者】:性交の神セクスから200DP授与されます』




 なんか今回得た賞与は嬉しくない。

 俺は別に屠殺場や拷問者などという目的で造ったわけではないのだが、傍から見たらそう見えてしまうのだろうか?

 まぁ嬉しくないとはいえDPが増えることに関しては素直に喜ぼう。



 それから、俺は仲間達に指示を出す。


 「それじゃ今日はそれぞれダンジョン内で動いて環境をしっかり体に覚え込ませて、地の利を生かすって言うのも戦う上で重要になって来るからね」


 どの位置が奇襲に適しているか?どこにいれば動きやすいか?地面の硬さはどうだ?足は盗られないか?逃げ道は?など実際に体感しないとわからないことは多い。


 「メーサとスーさんは眷族達と一緒に、ヤードは一度ダンジョンを全部見てもらって気付いたことやアドバイスできることがあったら伝えてあげて」

 「ハーイ!」

 「是」

 「わかった」


 三人はそれぞれ返事を返すと早速ダンジョンに向かっていった。

 ちなみにスーさんとはスーラのことだ。

 スーラの性格が硬く、あんな事情もあったのでもっと気楽にしてもらえればと思い、気軽にあだ名で呼ぶことにしてスーさんと呼んでいる。

 スーさんを始めてあだ名で呼んだとき、ムースとメーサが無言で自分達もあだ名で呼んでという視線を送ってきたがいろいろ大変そうなので気付かない振りをした。


 「マスター私は一体何をすればよろしいでしょうか?」


 残ったムースがそう尋ねてくる。


 「午前中は家事をしていていいよ。

 ただ午後は少し手伝ってもらうと思う」

 「わかりました。

 マスターはこの後いかがなされますか?」

 「俺は昨日言っていたことを実行していくよ。

 しばらくはここにいるから、何かあれば声を掛けて」


 ムースは「わかりました」と頭を下げて、自分の仕事を始める。

 全員が動き始めたのを確認して、俺も動き出す。


 「さて、やるか」


 首を一度鳴らし気合を入れてから、考えを形にするためにダンジョンを造り変えていく。















 「マスター昼食の準備が出来ましたが、いかがいたしますか?」


 背後から急に声をかけられ思わず驚いてしまう。


 「えっ、昼食?さっき朝食食べたばかりじゃ」

 「いえ、もう昼を回っております」


 どうやら集中しすぎたせいで、時間が経つのが早かったようだ。


 「ごめんね気付かなかったよ。

 みんなもすぐ呼ぶから、昼食にしよう」


 そう言ってみんなに届くように念じながら口を開く。


 「みんな昼食にするから、一度帰って来て」


 ここにいない者に声をかけると、脳内にそれぞれの返事が聞こえてくる。

 これはDDMのスキル『通話』だ。

 離れている相手とも会話が出来るスキルで、人数も距離も関係ないという便利なスキルだ。

 ただし会話が出来る相手は忠臣か従者契約をDDMと直接交わした者に限定される。



 通話をした後しばらくして、メーサとスーさんが帰ってくる。


 「二人ともどんな感じ」

 「メーサの方は順調なの!

 みんな昨日お腹いっぱい食べたから元気一杯で行動してくれたの」

 「某の方はもう少し訓練が必要でございます。

 やはり狭い通路で戦うことを考えますと、逃げるタイミングなど仲間との連携が必要不可欠ですので」

 「わかった。まだ時間はあるから納得いくまで訓練していいよ」

 「是」


 二人の状況を聞いていると最後にヤードが帰ってくる。


 「主、ダンジョンの入り口付近が他とは少し変わっていたが何かしたのか?」

 「うん少しね」


 まだまだ入り口付近だけ造り変えただけだが、このままダンジョン内全て少しずつ作り変えていくつもりだ。


 「俺にはどうしてあんな風にしたのかわからないが、アレは意味があるのか?」

 「意味はもちろんあるよ。

 でもあんな風にした意味が出るのはもう少ししてからかな」


 まだ造りかけだから効果はないだろうが、上手く行けば十分な意味を持つ。


 黒の悪戯を仕掛けた子供みたいな顔を見て、ヤードはやれやれと言った顔になる。


 「まぁなんにせよ、まだ造りかけなら完成するまで楽しみにしとくよ」


 それからみんなで昼食を食べながらそれぞれの午前中の様子を詳しく聞く。

 ヤードからはゴンラとスラりんの様子も聞いた。

 どうやらゴンラはスラりん先輩と二人で猛特訓をしているようだ。

 (腕試しも兼ねてゴンラはヤードに戦いを挑んだそうだが、10秒も持たずに敗れたそうだ。

 それを見たスラりんもヤードに戦いを挑み、1分以上持ちなおかつ最後にはヤードに攻撃をかすらせさえしたそうで、それを見たゴンラが泣きながら走っていったそうだ)


 「……大丈夫なのかゴンラは?」

 「平気だろう、ゴンラだしな」


 すでにダンジョン内に置いてのゴンラの扱いがどんな感じなのか決まっていた。


 昼食が終わるとまた各自の仕事に戻っていく。



 プロジェクト開始まであと5日。

 着実に俺のダンジョンは形になって来ている。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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