15日 落ち着け
「せ、や、か、ら‼ めっちゃ怖かってんて! 金棒やで⁉ 鬼の持ち物やで⁉」
「おお、よしよし。よっぽど怖かったんだな」
「せやからそう言うてるやん」
爺ちゃん、うちが旅行行ってる間にボケた? いや、うちがあんまりしつこく同んなじ話し続けるからかしれんけど。
いや、だってな? コウチ家の家の台所にたどり着いても、ひょっとしたらあの鬼さんみたいなお兄さん追っかけて来るかもとか考えちゃって落ち着けへんかってんもん。ずっと隠れ場所探しててんもん。夜なってから、向かいのアパートに帰ってきたお兄ちゃん&姉ちゃんに話聞いてもらってやな……。めっちゃ親身になって聞いてくれたで。いい人らや。
で、よく考えたら神社が一番安心やん! ってことで爺ちゃんの所来たんよ。そんで、またアパートの兄妹さんに話した内容をリピート。爺ちゃんはめっちゃ真剣な顔して聞いてた。
「この街にいる間は大丈夫だ」
でも、何、その自信。
そのまま頭ぽんぽんしてくれて大分落ち着いたんやけどさー……。はぁ。
……………………ええ匂いする。焼肉系の。どこや!
「美味しい」
「でしょ」
そこかぁあああ‼ と、乗り込んで行きたい所やけど、ちょっと無理かなー。複数名いらっしゃるっぽいし。聞き覚えのある声とかいっても油断できひんしな。まさかの兄弟とかシャレならん。うちの知り合いに、坂の急な山中で焼肉する奴は居らん。
「前食べた事あったでしょ。7つの時かな?」
「うん。まさかここで食べれるとは思わなかった。肉は焼いても美味しい」
「ふふーん、串焼ならぬ角焼きだもん」
「うん」
……二人か。で、どっちも知ってたな。キーヴァとー……、
「ね、アンタもいる? 肉ならまだあるよー」
「誰やったっけ」
思い出せん。外国人みたいな顔した美人。すっごい美人。手に持ってるのは、曲がった白い棒、ととい白かった棒。
「うーん……名前聞いてなかったし、教えてもなかったもんなぁ……」
「レイだよ。女」
「ふんふん。助け舟ありがと。知り合い?」
「うん。何回か会った」
お、チーニルも居ったんやな。焚き火のそばで肉に食らいついとる。
「そかそか。あたしはシヴィル。愛称はシルだから、それいいよ。甥っ子共々よろしくー」
自己紹介ゆるっ。まあそんなもんか、うん。
「キーヴァの叔母さんやのに、えらい若いなぁ」
「まーね。兄が遊び人だから。近々来る予定なんで、会ったらよろしくー」
お兄さんて言うと、キーヴァのお父さんか。見てみたいわぁ、めっちゃ見てみたいわぁ!
「ま、よろしくついでに食べなよ。あたしらだけじゃあ食べ切れないんだ」
やった、角焼肉やん。ごちになりまーす。
……ん、あんま怖なくなった。




