24日 あと、7日
「……それ、何の曲だよ」
「ハロウィンの曲ー。不気味で、楽しそうで、すっごく『ぽい』でしょう?」
「……ああ。でもなんで俺のパソ使ってるわけ?」
「だって、私のノートパソコンちゃんが働きたくないってー」
「立ち上げんのがめんどくせぇだけだろお前」
「分かってるならいいじゃない」
アパート来たら、いきなり兄妹喧嘩始まった。そんで終わった。……えらい平和的な兄妹喧嘩やな。姉ちゃんの方はもうずっとにこにこしとったぞ。
「ったく。めんどくせぇからって。兄ちゃんかっての」
「あれ?」
「え? ヤンちゃん、どしたん?」
「あのお兄さん……私に歩き方教えてくれた人に、似てるね。御本人かと思っちゃった」
あー、言われてみりゃ似てるけども。
「そんなちゃう?」
「あっ、あはは、ほら、ちらって見ただけだったら似てるなって人、意外と多くない?」
「あー……んー……せやな、アケヤマさんとダイ爺とか」
「え?」
「ほら、神社の神主さんと、中学のバスケ馬鹿」
「そうかなぁ……」
「アケヤマさんが眼鏡拭いてる時と、ダイ爺がちょっと真剣な顔してるとき。意外と似てたで」
「へぇ~っ。……なんだか、すごくレアな部分だね」
「そか?」
うん、せやな。何やねん眼鏡拭いてる時て。ダイ爺の真剣な顔て。シュート前くらいやろ。
「聞いたか」
「うん、今度見てみようか~」
「いや、誰かにカメラ持たせとこうぜ」
自分らこっちの話聞いてたんかい!
「あ、おじゃましてます……」
「ああ、おじゃまされてます」
「ま~す」
「……レイはちょっとカメラ壊されそうで不安だな」
「何の話やねん!」
っていうか、壊されそうとか酷ッ! あんまりやろ! ひどいわ!
「バグさん得意そうじゃない?」
「名前的には壊れてるけどな。ああ、いんじゃね?」
名前壊れてるとか言うたんなや! バグ? あれか、パソコンとかのアレか! ようわからんけど、壊れた時バグったとか言うもんな!
「バグさん……?」
「知り合いの幽霊のおじ様よ。写真家だったんだって」
「今もカメラ持ってるよな。首からデジカメ、肩から……何か知らないけど、何かのカメラ」
「あと胸元にもう一個、ね」
「意外と重装備だよな、あの人」
「カメラしか持ってないのにねぇ」
へーえ。そんな特徴的な人をうちは今まで知らんかったんか。マジか。
「ねえ、レイちゃん。私たちもいつかその人に会ったら見せてもらおうよ」
「せやな!」
ま、話しかけられるかどうかは別として。
「あ、曲終わった」
「あら残念~。ちゃんと聞けなかった」
「Uドゥーガなんだから、いくらでも聞けるだろ」
「じゃあリピートして?」
「はいはい」
あ、そこは拒否せんのやな。素直にインターネット開いて、何か円描く矢印のボタンをカチ。
「うわぁああああん‼‼」
「うぉおお、何だよ、レイニーか? どうした」
え、え、え、なに? 窓突き抜けて、お兄ちゃんの胸元に飛び込もうとして、急ブレーキ書けた後に姉ちゃんに突進してったこの子……。あ、雨降り小僧。……ひょっとしてお前、女好きか。
「ここここっ」
「こけこっこー?」
「怖いの居た!」
見事にスルーされたわ。誰か突っ込んでよん。
「黒いの! 骨! 黒い! まっ黒! ボロボロ!」
分からん分からん。
とりあえず、アレか、そこの不気味な動画に出て来るやつのどれかか?




