12日 らん、とん、ろん
……音楽聞こえる。
何の音楽やろ。歌も流れてるけど、全然歌詞の意味分からん。っていうか日本語やないと思う。多分。
想像してみ。
今夜やねん。真っ暗やねん。月明かりあるやろって、今日めっちゃ雨降ってて雲かかってんねん。月明かり届けへん。
……こんだけざぁざぁ言ってて音楽聞こえるって。めっちゃ大音量やん。どこの家や、近所迷惑やろ。
「かごめかごめの降霊術。ハァイレイちゃん。気分どーお?」
「自分、何してんのん」
「暇してるー。ってのは嘘で、ただいまシルさんは絶賛お仕事中ー。うん、まあ絶賛はしてないけどね。ちょっと賛くらい。そんでレイちゃん、気分はどうよ?」
「何の気分?」
「良いとか、悪いとか、特に何も起こらないとか」
「最後の。なんで? どしたんさ、突然」
「だーからお仕事なの」
「何の?」
「monitoring」
「モニタリング? 何を?」
「うそん、意味わかる? 分かっちゃう?」
とりあ、自分がうちのコト馬鹿にしてたってことはよっく分かったわ! ……うん、ま、テレビ知識やけど。何かどっかの家で見てはった。モニタリングってあれやんな、えーと、何かよくわからんけど、見る奴。
「うーん、もっと勉強しとけばよかったなぁ。よし、反省終わり。今言ったことは気にしない方向でよろしく。じゃあねー」
え、もう行っちゃうのん? 何しに来たんあの子。来て、質問して、タブレット叩いてっただけやで。もうちょい喋ろーやぁー。
……ほら、さっきよりも音楽が不気味さ増してきてん。なんでこの雨の中ハッキリ音聞こえるわけ。音源どうなってんの。スピーカー壊れましたかー? リモコンもしくは音量調節するためのサムシング壊れましたかー? あと曲調な。誰や作曲者。聞いてるだけでちょっと気分落ち込んでくんねんけど。ちょっと心汚されてくる気がするんやけど。病んじゃうわうち。包丁持って笑い出しそうやわ。うん、さすがにせぇへんけどな?
ってくらい、必死に何か考えてへんとゾンビになりそう、うち。
……聞こえるところに居るからあかんのやん! 離れろや!
気付いたから自分に突っ込んどこ。よしゃ、中学くらいまで行ったら大丈夫ちゃう? それなりに遠いで。ここからやったら、歩いて大体三十分くらい! 飛んで走ったら結構すぐ。
そこまで行ったら大丈夫かなーって思ててんけど、そんな甘なかったわ。おかしいなぁ。なんでまだ聞こえるんやろうなぁ。ちょっとうち笑うていい? 声高らかに嗤うていい?
「ははははははははは」
……先客居ったわ。すでに高笑いしてはった。
「何しとん、ダイ爺」
「はっ? はっ!」
「いい加減笑うのやめろし」
「ちげーよ、『はっとなった』の『はっ!』だ」
「わかりにくいやん。もっとほかの音無いん?」
「ばぁ」
「いないいないばぁはせんでえぇねん。どつくぞ」
「俺のみぞおちに入ってる拳は何だ? お前はすでに殴っている」
「やられ取る側が言うても何もカッコよ無いわ!」
「痛い」
素直でよろし。全然そう見えへんのがむかつくけどな。
「どうしたよ?」
「自分こそどうしてんな」
「いやー、何なんだろうな。俺もわかんねぇやっ!」
めっちゃさわやかな笑み浮かべてはるけども。やってたこと結構怖かったからな。雨降る夜、校舎のてっぺんで高笑いとか、かなり怖いぞ。うちドン引きしてたからな。
「……なぁレイ」
「ん?」
「なんかさ、寒くね?」
……さー。雪女さんいらっしゃってんのちゃう?




