10日 ケンパッパの輪
「けーんけーんけーんぱっ」
「あーっ、石のマス踏んだ!」
「はぅあっ⁉ やっちゃったー。うぅ」
ケンパ? なんで地面にカカシの絵描いてあんの? どういうルール? 石入ってるマス入ったらあかんの?
いや、それより前に突っ込むべきところはやな、十代も後半の女性方がなんでケンパしてはんのってところよな。しかも着物と巫女服やで。エンドウさんとマシロさん。異世界情緒、いや、異時代情緒か? うん、何かそんなん漂わせすぎやろ。ここだけ何か別世界やわ。
ちなみに、ケンパのカカシの絵は、笠が二つに割ってあって、その下に顔。胴体と腕なんか、その下で三つの箱が横並びになって、最後に足は縦に箱三つ。……え、腕のところどうやって飛べばえぇのんこれ。足三本も無いで?
「次私ねー。ほいっと」
ふむ、石投げて? 足の箱三つ並んでるうちの、真ん中に落ちた。
「けんっ、けんっ」
あぁ、うん、石が落ちてるところは踏んだらあかんってことで合ってんねんな。腕、胴体、腕、の順に横並びなってる箱の真ん中、胴体のところにも落ちてるけど……。
「けんっけんっけんっ」
『けん』ばっかやな! 右腕行って、左腕行って、顔行って?
「ぱぁっ!」
はい、笠は『ぱ』なんやな。そこで終わりか。
「っぱっ」
え、ひっくり返んの⁉ ぴょんっと跳んで、くるんと半回転。着物の袖がふわってなってめっちゃ可愛かった。
「けんっけん、けんーっけんっ! でーきたー! ほらっ、ミキちゃんもう一回やってみよー」
「う、うんっ!」
あ、エンドウさんの名前ってミキって言うんやー。知らんかった。
「けんっけんっ」
「あ、そこ踏んだらダメだよー」
「難しい……っ!」
うそやん。ケンパ侮りがたし。
「あ~っ、居たぁ、マシロちゃ~ん」
……フードの人もういらんって。怖い人ばっかやもん。もうフード恐怖症なりそうやでうち。シルはまだマシやけどさぁ、鬼さんとかさぁ、キーヴァとかさぁ、何かもう雰囲気怖いねん、この町に来るフードの人。晴れた日の昼間っからフードすっぽり被ってる人。
「わぁい、ヒアちゃん! 来たのー?」
マシロさんとギューしてはる。わー、ふぉりげなー。ふぉーりん……ラブでは無いよな。えー、外国風でえぇわ。うん、日本語なっちゃったけど気にせんといて。
「うん、さっき呼ばれて来た~! もうすぐだね、今度は私も暴れちゃう~」
あんさぁ、腰に付けたベルトにぶら下がってるその細い奴、刀やろ? あ、間違えた。剣や。剣な。両方に刃がある奴。うん、それを腰にぶら下げながら『暴れちゃう~』とか言わんといて。ただでさえ怖いねんから。
「ヒアちゃんもやろっ、ケンケン!」
「けんけんぱ?」
「そうそう、石が入ってるところは踏んじゃだめだよ? ……ミキちゃんどうしたのー」
エンドウさん、マシロさんの後ろにめっちゃ隠れてはる。ちょろっと顔出してるの可愛いけど。うん、可愛いわ。うふふふふ。変態ちゃうで。
「こ~んに~ちは~。えっと、マシロちゃんの友達で~す。ヒアって呼んでくれたらいいよ!」
「こ、こんにちは……エンドウミキです」
「短い間だけど、よろしくね~」
「う、うんっ!」
……何やろう、この、引っ込み思案な子供が初めて友達作る瞬間を見たかのような変な気持。よかったな、エンドウさん。




