第18話前編 最後のゲームと消えたあの人
しばらくついて行くと、瑠衣子の部屋に着いた。
「みんな元気だしなよ!ついにラスボスとのご対面なんだよ!」
はしゃいでる瑠衣子を横目に、私たちは何も言うことが出来なかった。
「りさ…」
どんな時も笑顔で、私たち全員を元気にさせてくれていた里紗はもういない。
「もう!みんなそんなにりさ、りさって!分かった分かった。会わせてあげるよ!これが、全ての能力を手に入れた、世界最強の、『服部 里紗』だ!」
目の前の扉から1人の少女が歩いてくる。その少女の名前は服部 里紗。でも、私たちの知っている里紗ではなかった。顔は絶望で埋め尽くされ、全身から殺気が溢れてきている。
「じゃあ、全員揃ったところだし、最後のゲームを始めよっか!」
「最後の…ゲーム?」
「ルールは簡単。最強になったりさちゃんと、しずちゃん達3人のチームで殺しあってもらいます!勝った方を現実世界に解放したいと思いまーす!」
里紗と、殺し合う…。そんなことできない。でも…目の前の里紗だったものは、私たちを殺すという殺気で溢れていた。
「しずさん…。悔しいですし、悲しいですが、やるしかなさそうですよ…」
「…わかってる。でも、私に里紗を殺すことなんか…」
私たちが迷っていると、里紗だった少女はこちらを目掛けて襲いかかってきた。
「しずさん!」
「私には…りさを殺すことは出来ない…」
「しずさん!」
横から呼びかけられていた気がする。でも今は、そんなことよりも、里紗の事で頭がいっぱいだった。
…ふと、目の前に視線をやると、里紗だった少女が持っている刃物が目の前にまで迫っていた。まずい、これじゃあ…刺され……
グサッ…
「う゛っ…」
もう聞き慣れてしまった、人間の体に刃物が刺さる音、刺された痛みから出てくる鈍い声。
目の前には、私を庇って里紗だった少女に刺された心さんが立っていた…
「こころさん!」
「こころさん…どうして…」
里紗だった少女が刃物を抜くと、心さんは目の前に倒れ込む。刺された腹部からは血が出てきて、床を赤色に埋めつくしていた。
「しずさん…。最後のお願いを…していいですか…?」
「嫌だよこころさん!最後だなんて…」
「私は…あなたと会ってから…毎日が幸せでした…」
「なぁ、こころ。なんでお前は俺たちに着いてきてくれるんだ?」
「えー。そんなのしずちゃんが大好きだからよ!」
「…そうか。」
「うん!私はみねちゃんを守るために色々してきたけど、段々と目的から遠ざかってる気がして来ててね…でも、しずちゃん達と共に行動するようになってからは、自分の行動を誇れるようになってきてたの。もちろんやってることは殺人だし、そこまでいいことではないのだけれど、今の私は、あなたに救われたのよ。」
「…照れくさいな。」
「ふふふ」
「昔のしずちゃんも…今のしずちゃんも…なんでもできる強い子なのよ…」
「こころさん…」
「だからね…あの子を倒して…」
「でも、」
「あの子はもう…りさちゃんじゃないのよ…しずちゃん…なら……でき…る……わ………」
「こころさん!」
何度呼びかけても、心さんから返事が返ってくることはなかった。
「しずさん…」
「…わかってるよ。やろう。あの少女を、倒す。」
私はポケットに入れていた刃物を取り出し戦闘態勢になる。
「すずは、後ろに下がってて。」
「…わかりました。しずさん、頑張ってくださいね。」
「ああ。」
精神を統一し、もう1人の人格を呼び覚ます。もう大丈夫だ。今の私なら、もう1人の自分も制御できる。目の前が真っ暗になり、それが明ける。
「さあ、始めようか。」
「邪魔者は、排除します。」




