第18話後編 デスゲームの本当の終わり
早速彼女はこちら側に飛びかかってくる。俺はそれをかわして、彼女の脇腹に1発殴りをいれる。
「く゛…」
「なんだ、思った以上に鈍いじゃねーか。」
「それはどうかな。」
彼女が詠唱を唱えたかと思うと、次の瞬間には俺の目下にまで移動してきていた。
「速くなった…のか」
「我が能力の1つ、身体強化。さっきまで余裕そうだったのに、急にトロくなったなぁ」
「くそ…」
間髪いれず彼女はまた詠唱を唱える。すると今度は彼女の武器が増えた。
「短刀に日本刀、拳銃まで…」
「これも我が能力、どんな武器でも容易く出せるのさ。」
彼女は短刀でどんどん間合いを詰めてくる。彼女の攻撃を捌くので手一杯だ。
「くそ…ジリ貧か。」
「いくら大量の殺人をしてきたお前でも、私には勝てないようだな。」
「くっ…」
だんだんと動きが鈍くなってくる。この人格を制御するのが始めてだからだ。手足が重くなってくる。
…1ついい方法が思いついた。
「…そうか。見えたぞ、突破口が。」
「なにを強がってるんだ。このまま体力が尽きて負ける運命なんだよ。」
「…それはどうかな。」
俺は彼女の猛攻を防ぎながら向こうずねに1発蹴りをいれる。
「うっ」
一瞬だけ、彼女の動きが止まった。その隙に俺は間合いを詰めて……唇にキスをした。
「き、貴様…」
「命令だ。お前は今から己の能力を活かし、このゲームの主催者を倒すんだ。俺と一緒にな。」
「……はい、わかりました。」
「あとついでに、人格は前の状態に戻せ。」
しばらくの静寂の後、彼女は喋り始めた。
「パイセン。あーしはなにを…?」
「りさ、色々あってお前は最強の能力を手に入れたんだ。俺と一緒に、るいこを倒してくれないか?」
「よくわかんないけど、りょうかい!」
私も精神を統一して人格を戻す。そして、里紗と共に瑠衣子の方を向く。
「ワルイコの分際で…」
「るいこ。なぜお前はそこまでワルイコを嫌うんだ?」
「…私のクローンが話したことがあっただろ。ハッキングをしたと。その時、SNSで私を誘ってきた人物…それがお前だ、奈瑠川 静。」
「……」
確かに、そんなことをした記憶もある…。
「それは、私も反省している。だからってそんなにもワルイコを殺す必要は無いだろ。」
「もう私には…何も無いんだよ。お父さんも、お母さんも。」
「…そうかもしれない。でもお前も、分かっているだろ。みんな、七音教のせいで親を失ってるんだ。宗教にのめり込んだから殺すのだって普通じゃないし、良くないことだってのはわかってる。でも、無差別に殺すよりはいいはずだ。だから…そんなにワルイコを嫌わなくても……」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!」
瑠衣子は急に怒りに任せて襲いかかってきた。でも、今更瑠衣子が襲いかかって来たところで、私たちには敵わない。
「くそ!くそ!」
「さあるいこ。私たちを解放しろ。」
「私は…もう…」
そして、1年の月日が流れる。




