第16話前編 すごろくゲーム
「それでは、しず様、りさ様、こころ様、すず様、ななこ様、るいこ様の順番でサイコロを振ってください。」
私はサイコロを振る。出目は6だ。
6マス進んだ先には命令が書かれていた。
「その場で10回ジャンプしろ…?」
私は10回ジャンプした。こんなことになんの意味が……あ…
ひとつ思い出した。私たちは制服を着ている。ジャンプしたということは……
「いいですねぇしずさん!最高の画角でしたよ!」
「これが…ゆりさんの喜ぶこと……」
そうだ。百合さんは漫画家。ラッキースケベなんて漫画のネタにぴったりじゃないか。
恥ずかしい気持ちを隠しつつ、順番が回ってくるのを待つ。里紗は出目1で腕立て1回、心さんは出目3で何もなし。
鈴がサイコロを振る。出目は6。私の隣まで来た。
「あっそうそう。同じマスに止まった人たちはハグしてくださいね!最近は百合漫画に凝ってたんでグッドタイミングですよ!」
鈴は頬を赤らめながらも私がハグするのを待っている。
「すず、すぐ終わらせるからね。」
「うん…。」
私は鈴にハグをする。小さな身体から心臓の揺れが伝わってくる。鈴は生きている。私が守らないと。
「しずさんに抱きつかれてると…落ち着く……」
「いつでも私を頼っていいからね。」
「いいねえ!!最高だよ2人とも!!もうゴールでいいよ!」
一瞬思考が停止する。今なんて言った?ゴールしていいって言った?
「だって5回戦の進行役は私ですから、好きにやらせていただきますよ!」
私と鈴は百合さんに誘導されてゴールのマスに着いた。
「本当にいいんですか?」
「もちろんですよ!」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわ。」
鈴は勉強を始めた。
「本当に熱心なんだね。」
「もう…過ちは犯したくないからね。勉強しないと…」
鈴も自分を変えようと頑張ってるらしい。それなのに私は…もう1人の自分とちゃんと向き合おうとしていない。私も変わらないと…
私たちがゴールした後もすごろくは続いた。
「こころちゃんがりさちゃんによしよしする!」
「ごめんねりささん。」
「こころパイセンの手、温かいですね。」
「そうかな?」
「そうですよ。立派な姉って感じがします!」
「そう…。ありがとうね。」
「ななこちゃんがるいこちゃんに投げキッスする!」
「僕のハートは届いたかな?」
「今の貴方のハートなんか届きませんよ。」
「悲しいな。」
「るいこちゃんが腕立て10回する!」
「運動不足で…きついです……うう」
「頑張れるいこ!」
「はいぃ…」
「りさちゃんが黒歴史を公開する!」
「実は…小学校3年生までおもらししてました……」
「りさはやっぱり可愛いな。」
「パイセンやめてよ…//」
そして、事態は急に動き出す。
「こころちゃんがななこちゃんの手に切り傷を付ける!」
「そんなこと…できない。」
「えー。私さ、グロ系の漫画にも凝ってるんだよね。困るな〜。」
「大丈夫だよ、こころ君。1回くらいなら。」
「本当にごめんなさい。」
心さんは菜七子さんの腕に切り傷を付けた。
「ごめんなさい。」
「気にしないで!」
「りさちゃんがるいこちゃんにハグをする!」
「ごめんね、るいこっち。ちょっと我慢してね。」
「はい。」
「……るいこっち、なんか冷たいね。」
「すみません。昔から冷えやすい体質で…」
「なるほどね!」
10分後…
里紗がゴールし、心さんもゴールする。残りは菜七子さんと瑠衣子だ。しかしここで、考えたくもない最悪なことが起こる……
「このマスは〜?ななこちゃんがるいこちゃんを拳銃で撃ち抜く!」
「……は?今、なんて言った…」
「ん?しずちゃん聞こえなかったの?拳銃で撃ち抜くって言ったんだよ。」
「そんな……」
「ゆり君、これでるいこ君を撃ち抜けばいいのかい?」
「はい!」
「やめて!ななこさん!」
「ななこパイセンだめだよ!」
「一緒に変わる約束をしたじゃないですか!」
私たちの制止の声も届かず……
パァン
菜七子さんは…瑠衣子を……撃ち抜いた………




