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君たちはワルイコです  作者: H.R
3回目の話し合い
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第9話 胸に隠していた想い

「なにか、言いたいことはありますか?」


心さんに聞かれる。言いたいことなんて特にない。どうせもうバレちゃってるし、私は今から殺されるんだ。


「ないよ。それより早く殺したら?」


みんなはそれに合わせて早く殺すように勧める。そう、これでいいんだ。私の死なんか軽いもの。誰からも好かれてない私には、そんな死がお似合いなんだ。なんて思ってたのに、


「なる。話を聞かせてくれないか?」


静ちゃんは簡単に私を殺してくれない。


「しずちゃんは意地悪だよね。昔からさ…」

「…?」

「いいよ、説明してあげるよ。」


私はさっきあった出来事を話す。

……………………………………………………………………


「俺が2人きりで話してくるからみんなはそれぞれの個室に行っててくれ。」

「りょうかい!」


静ちゃんは個室を出て行く。その後、心さんも出て行って私と遠藤妹と瑠衣子が個室に残った。すると峰が、


「少し、3人で話したいことがあるので簡易食堂で軽食しませんか?」

「まあ、いいけど」

「はい。」


私たち3人は峰のお願いを聞き入れ、簡易食堂に向かった。



簡易食堂に着くと峰は語り出した。


「私は、お姉様のことが大好きです。昔からお姉様と沢山殺しをして、楽しく過ごしてました。それなのに…ある日を境にお姉様はしずさんに夢中になってしまっていた。だから私は…」


峰はカバンからナイフを取りだし…


「お姉様としずさんを会わせた貴方が許せないんですよ。なるさん。」

「なるほど…ね。」


峰はナイフを私の胸に突き付ける。


「でも、みねも分かってるでしょ、私も殺人犯だって。」

「分かってますよ。相打ちだって構わないです。私は貴方を頃せればそれで…」


峰が急に倒れた。周りには血が飛び散っている。


「…君も殺人犯だもんね、そこで殺しちゃうか。」


瑠衣子は峰を刺し殺した。


「まあ、計画に邪魔だと思ったので。」

「ふーん。まあいいや、じゃあ追放されてね。」

「それはどうですかね…」

「ん?」


瑠衣子は1つの映像を私に見せつけた。その映像に映っていた静ちゃんは、とても悲しそうで、苦しそうだった。そう、5歳の頃の静ちゃんだ。

静ちゃんから話は聞いたことがあった。5歳の頃に、母親が宗教にハマり、それが嫌だったので殺してしまった…と。


「…。その映像がどうしたってわけ?」

「貴方が死んだら…私が責任をもって、しずさんを幸せにしてあげますよ。実際貴方はもう彼女から信用されてませんしね。」

「なるほどね。君、洗脳されてから随分イキイキしてるね。」

「そうですかね?洗脳される前からのギャップでもあるんじゃないですか?」

「どうせ…私にはもうしずちゃんをどうにかすることは出来ないし、頼んだよ。」

「はい。」


瑠衣子は不気味な笑顔で応える。これでいいんだ。私のこの行動で、静ちゃんが幸せになるなら…。


幸か不幸か、心さんが戻ってきたタイミングで峰は力尽きたらしい。


キンコンカンコン


「死人が現れました。死人が現れました。」

……………………………………………………………………


私は瑠衣子との会話以外を全て話した。殺されるのは瑠衣子じゃなくて、私であるべきだから…。


「これで終わりだよ。分かってくれたかな?しずちゃん。」

「なる…。中学と高校ではあんなに優しかったのに。」

「人間は…いつか変わっちゃうんだよ。」


教室にしばらくの静寂が訪れる。ここにいる人達は、何かしら校則違反をしてるんだから、人の心がある人なんか居ない。だからこそとっとと殺して欲しいのにな…


「ちょっと待ってよ、」


静ちゃんが話し出す。


「ねえりさ。殺人犯ってりさとなるとこころさんじゃなかったの?」

「…」


里紗が質問に答えることはなかった。でも、申し訳なさそうな顔はしていた。


「それより、しずちゃんもう言うことは無い?もう死にたいんだけど。」

「なる…」


私はもう既に1回死んでいる身だ、恐怖も悲しみも何も生まれない。最後の最後に静ちゃんに嫌われることも出来たし、心残りなんか何も…


「では、そろそろ処刑しますね。」


レイナはそう言うと、私の頭に銃を突き付ける。


「みんな、ばいばい。頑張ってね。」


私はそのまま目をつぶり、銃が撃たれ……



ドン



誰かに抱きつかれる。思わず目を開けてしまった。目の前には、震える全身で私を包む静ちゃんがいた。


「なんでよ…。悲しくならないように、必死に嫌われてきたのに…」


目から涙のようなものが流れてくる。泣いたのなんて、赤ちゃんの時以来だ…


「なる!私…普段なるのこと適当にあしらってきたけど、親友として大好きだったよ。」


やめて…


「中学の時も、毎日なると過ごせて楽しかったし!」


やめて…


「高校の修学旅行だって、なると行きたかった……」


やめて…


「無邪気に私に話しかけてくれて…少しめんどくさかったけど、私なんかのために付き合ってくれて…」

「やめてよ!」


心の声が漏れてしまった。でももう、1度出た感情は止めることは出来ない。


「私だって悲しいよ!しずちゃんとの別れが悲しくならないように、嫌われるようにしてきたのに…。これじゃあ…意味ないじゃんか……」


もう自分がなんて言っているかも分からない。それくらい、か細く、でも力強い声で、叫んでいた。


「もう、自分でも知ってると思うけど、もう1人のしずちゃんにも嫌われないように…たくさん頑張ってきて…」


何言ってるんだろう。そんなこと言っても静ちゃんが理解できるわけないのにな…


「もう1人の私がなんて思ってるかなんか知らない…。でも少なくとも、今の私は…なるのこと、大好きだよ…」

「うぅぅぅ」


涙が止まらない。ごめんね静ちゃん。ごめんねもう1人の静ちゃん。ごめんね静ちゃんの妹さん。ごめんね今まで殺してきた人たち。


「しずちゃん。今まで…ありがとうね…」



パァン



銃声が聞こえたと同時に体の力が抜けていく。最後に自分の気持ちを静ちゃんに言えて…本当に……良かっ…た…………な………


「なる!目を開けてよ!なる!」


静ちゃんが……私を…呼んでくれている……


「ありがとう……大好…き…だ……よ………」



……………………………………………………………………


鳴が再び喋ることも、目を開けることもなかった…。

涙でよく見えないが、鳴は笑っていた。


「なる…ごめんね。私がもっと早く、もう1人の自分に気づけていれば…」


周りの音なんか何も聞こえない。私はただ、冷たくなっていく鳴を抱きしめてあげることしか出来なかった…


「今までありがとう…。私がそっちに行くまで、待っててね。」


無責任な事は言えない。私は今まで鳴に冷たく接してきた。でも、これだけは言わせてね



「鳴。大好きだよ。」

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