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第28話 追跡と解体

どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕南部 王家直轄領 とある町 古森


 僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、ガルベル・フォン=マイスト=ノルド叔父上とシルビア・フォン=トリーネ=ノルド叔母上と共に、地元の人たちから古森と呼ばれている森へと入っていた。

 僕を先頭に叔父上、叔母上の順番で歩いて行く、森や山を歩く時は、最も体力の低い者が、先頭を務める事になっている。

しばらく森を進んで行くと、後ろから叔父上が話しかけて来た。


「エギル、止まりなさい。」


 叔父上は、僕の肩に手を置いて僕が歩くのを止めながらそう言って来た。


「えっ、如何したの叔父上。」


 僕は、叔父上に聞き返したが、叔父上は、僕の肩を少し強めに叩いてしゃがむ様に示してきた。

僕は、言われたとおりに歩くのを止め、指示通りにしゃがんだ。

叔父上は、僕がしゃがんだ事を確認するとゆっくりと僕の隣に来て同様にしゃがんだ。そして叔母上も同様にしゃがんだ。

そして叔父上は、またゆっくりと中腰になって何かを確認すると、再びしゃがみ、こう言って来た。


「ドルスペアが、いる。少し待った方がいい。」


 僕は、その言葉を受けて叔父上と同じようにゆっくりと中腰になると叔父上が見ていた方向に視線を向けた。

確かにそこには、巨大なクマが、存在しており、何かをやっている様であった。僕は、これ以上を見るのは、危ないと判断して、再びしゃがむと叔父上に質問した。


「あのドルスペア、何をやっているの?」


 叔父上は、僕の質問に対して、指を指してこう言って来た。


「ほら、エギル。あそこを見て御覧。何かの死体が、転がっているだろう。」


 僕は、叔父上の指差した方を見てみると確かにドルスペアの横に何かの死体が転がっている。

それを良く見てみると巨大な蜂であった。


「アレは、ポットビーと言う魔物だよ。どうやら巣の中の蜂蜜を守ろうとして返り討ちにあったようだね。」


 叔父上が、そう教えてくれた。そしてそれを裏付ける様にドルスペアは、顔を何かに突っ込み夢中で何かを食べていた。

そして顔を上げると口の周りに粘性の高い液体が付いていた。

それからしばらくしてドルスペアは、食事を終えてその場を離れ、古森の奥へと去っていった。

それを確認した僕たちは、再び立ち上がり、森の中へと進もうとした時、叔父上が、再び待ったをかけた。

今度は、何だろうと思い、叔父上の方に振り替えると、叔父上は、叔母上と共に地面を確認していた。

そして「うん。」と頷き、僕にこう言って来た。


「エギル、ここの地面を見なさい。」


 そう言って地面の一点を指し示した。僕は、何かあるのかと思いその場所を確認するとそこには、楕円形の四つのくぼみが、複数残っており、何かがここを通ったと言う事を示していた。

すると叔父上は、こう言って来た。


「こいつは、デッカイな。体長は、三メートルになる大物のロードホーンディアーだ。その大物は、こっちの方向に歩いて行った。」


 そう言って指し示した方向は、先程ドルスペアが、去っていった方向と真逆であった。僕たちは、叔父上の指し示した方向へと進むことを決め、森の中を進んで行った。するとロードホーンディアーの習性が、刻まれた木を発見した。

僕たちは、その痕が、刻まれた木に魔術で飛び上がると、少し高めの枝から、獲物を探した。

すると今いる場所から、30m離れた位置にその大物はいた。その大物のロードホーンディアーは、周囲を警戒しながらではあるが草を食べていた。

すると叔父上は、風向きを確認しながら、僕にこう言って来た。


「エギル、お前が、仕留めろ。」


 僕は、それを受けて、背中に背負っていた弓を取り出すと素早く点検し、矢筒から矢を取り出して弓に番えた。

そして浅く引いた状態で、構えた。

それを確認した叔父上は、風の状態を報告してくれた。


「今は、ロードホーンディアーがいる方向から、微風が吹いている。相手は、僕たちに気付いていない。」


 僕は、その言葉を受けてゆっくりと弦を引き、相手の頭が出る場所に狙いを付けた、そしてロードホーンディアーが、顔を上げた瞬間、最大限まで引き絞っていた弓の弦を離した。


 ヒューン    ドス  ドサ


 矢は、まっすぐ飛んで行き、ロードホーンディアーの頭に命中した。そしてロードホーンディアーは、ゆっくりと地面に倒れたのであった。

僕たちは、成果を確認する為、木を魔術で降りると、獲物が倒れている場所へと向かった。

その場所には、3m超えるロードホーンディアーが、頭に矢が刺さった状態で絶命していた。

叔父上は、死んでいるのを確認すると後ろ足に縄をかけると、近くに生えていた丈夫そうな木の枝に、吊るした。

そして頭を手早く解体用の大型ナイフで、切り取ると、血を抜きを行った。そして僕も手伝い皮を剥ぎ取ると、叔父上が持っている魔道具「無限収納」に斬り落とした頭と毛皮をはいだ胴体を収納したのであった。

そして僕たちは、その場でロードホーンディアーの冥福と狩りの神様に感謝を捧げて、その場を後にして、昼食を食べるため、再び魔術を使い、手頃な木に登ったのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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