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第29話 猪突と報酬

どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕南部 王家直轄領 とある町 古森


 僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、ガル叔父上とシルビア叔母上と共に登った木の丈夫な枝に腰掛けて、昼食を始めることにした。

僕は、自分の「無限収納」から朝、お婆様から渡されたお弁当と、ミーナから渡されていた水筒を取り出すと、空中に透明なテーブルを作り出す魔術である「机<テーブル>」を唱えて、テーブルを出現させ、お弁当と水筒を置いた。

叔父上たちも同じ魔術を使い、テーブルを作り出すと、二人がそれぞれ持っている「無限収納」からお弁当と水筒を取り出すと、テーブルの上に置いたのであった。


 僕たちは、準備が整うと揃って神々に祈りを奉げると、手を合わせて「いただきます。」と言ってお弁当を開けた。

開けた僕のお弁当の中身は、パンに野菜とハンバーグを挟んだハンバーガーと蓋付きの別の容器に入れられた具沢山のコンソメスープ、そして細いジャガイモを上げたフライであった。

どうやらお婆様、僕が、昨年〔ノース・ザルド王国〕で食べた料理を聞いて再現した様であった。

 そして一方、叔父上の方はと言うと、こちらは、叔母上の愛妻弁当である。そしもちろん叔母上のお弁当は、叔母上自ら作ったものである。では何故、先王妃や王弟妃が、お弁当を作ることが出来るかと言うと、実は、我がノルド王家の母上たちを含めた成年女性王族は、全員(一人例外が要る)が、家事を一通りこなすことが出来、その中でも料理は、我が国の一般的な家庭のお母さんが作る物と同じものが、作ることが出来るのである。

これは、初代王妃からの方針で、王族であっても非常時に使用人たちに頼り切りなるのは、非常に危険と言う考え方の元、男性も含めた王族全員が、料理など家事をすることが出来る様にしたのが、始まりである。

その為、王族に嫁ぐ者、王族から他家へ降嫁する者、王族から臣籍降下する者は、等しく料理などをする事が出来るのであった。


 僕たちは、それぞれのお弁当を食べ終えると、少しばかり休憩をしていた。僕は、魔法の練習を行い、叔父上は、手帳を取り出すと、何かの確認をし、叔母上は、帯剣している魔剣の確認していた。

すると、突然木が、大きく揺れた。

僕たちは、慌てて枝に掴まると、木から落ちない様にして、何が起こったのかと下を見てみた。

すると木の根元にイノシシが、居て、木に強烈な体当たりをかましていたのであった。そしてよく見てみるとそのイノシシは、金色に輝く体毛に覆われていた。


「ガル叔父上、下で体当たりしているのキングボアだ。」


 と僕が、言うと叔父上は、こう返してきた。


「どうやら、俺たちは、敵認定されたみたいだな。」


 そんな事を言っている間にもキングボアは、木の根元に何回も強烈な体当たりを繰り返しており、このままでは、僕たちが、登ってる木が、倒れてしまいかねない。

その状態を予期したガル叔父上は、僕にこう言って来た。


「エギル、この状態で射れるか?」


 そう言って叔父上は、背中に背負っている矢筒から、青く塗られた矢羽根が付いている矢を取り出すと僕にそれを見せて来た。


「これは、麻酔矢だ。キングボアをこれで大人しくさせる。やれるか?」


 叔父上の問に僕は、こう返答した。


「失敗するかもしれないけど、やってみる。」


 僕は、そう言って叔父上から麻酔矢を受け取ると、背中に背負っていた弓を持ち、麻酔矢を弦に番え、キングボアに狙いを定めた。

そしてキングボアが、木から距離を取り、再度突進をしてくる瞬間を狙って、矢を発射した。

放たれた矢は、猛スピードで地面に向かい、キングボアが、走り始める瞬間に胴体に命中した。

するとキングボアは、「ピギ」と言う鳴き声を上げてゆっくりと歩みを進めると、ドサと言う音と共に地面に倒れたのであった。

 僕たちは、キングボアが倒れたことを確認すると、魔術で木の下に降りると、キングボアから素早く麻酔矢を回収してから、その場所から離れたのであった。


 その後、別の場所にいたキングボアを見つけて仕留めると、ロードホーンディアーの時と同じく木に吊るして、頭を落とし血抜きを行い、毛皮を剥いで、叔父上の「無限収納」に収めたのであった。

そして僕たちは、依頼を完了させて、古森から出て、冒険者レギオンに向かったのであった。


 〔デイ・ノルド王国〕南部 王家直轄領 とある町 冒険者レギオン支部


 僕たちは、冒険者レギオンに到着すると、建物の中に入り、依頼が達成されたことを伝える為、カウンターへと向かった。


「いらっしゃいませ、ようこそ冒険者レギオンへ。」


 そう言ってカウンターに座っていた受付の女の人が立ち上がり、お辞儀をしてきた。ガル叔父上とシルビア叔母上は、懐から冒険者登録証を取り出すと、受付嬢に見せた。すると受付嬢は、登録証を受け取ると、カウンターに置かれた魔導装置に置いた。すると魔導装置が、動き出して緑色の光を出した。

それを見た受付嬢は、こう言った。


「依頼達成でございます。取った獲物は、こちらで依頼主に届けておきます。」


 すると叔父上は、「無限収納」から仕留めた2匹の頭と胴体を出して、受け取りに来たレギオンの職員にそれを渡した。

そして受付嬢から、今回の報酬の内訳が、書かれた紙を貰い、叔父上は、こう言った。


「入金は、王家の口座に頼む。」


 そう言われた受付嬢は、「はい、かしこまりました。」と快諾し、叔父上たちは、カウンターから離れたのであった。

そして僕の所に戻ってくるとこう言って来た。


「じゃあ、帰るか、エギル。」


 僕は、「うん。」と頷いて、叔父上たちと共に歩き出した。そしてレギオンの扉を開けた時、カウンターの方から受付嬢の声が、聞こえて来た。


「またのご利用、お待ちしております。」


 その言葉を聞いて僕たちは、王家の別邸へと帰路についたのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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