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第10話 出発と森狩り

遅れてしまい、すみませんでした。


どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕後宮 エギル私室


 僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、リウム先生と共に僕が持っている魔法具の一つ「賢者の書庫」の中でとある勉強をしていた。


「ネスシー、国家総攬を出してくれますか?」


 リウム先生が、書庫の司書の一体であるネスシーに対してこう問いかけた。


「はい、国家総攬ですね。少々お待ちください。」


 そう言って先生の問に答えると、ネスシーは、カウンターの魔石に手を置いて、書庫の中で浮いている本棚を動かしだした。

そして数分後、一つの本棚が僕たちの前に降りて来た。そこには、革の背表紙で製本された分厚に本が何十冊と並べられていたのである。


「お待たせいたしました。こちらが、お探しの国家総攬です。」


 ネスシーは、そう言うと魔石から手を離し、カウンターの中で、何かの作業をしだしました。

それを受けた先生は、立ち上がり国家総攬が納められている本棚の中から2冊を取り出して僕たちが座っている机に置いた。


 ドスン


 相当な重量の本であることが分かる音がなり、先生が席に着くと僕の方に、本の背表紙を向けて、その背表紙に書かれている文字を見せて来た。


『国家総攬 デイ・ノルド王国』 『国家総攬 スカイテール連邦王国』


 僕は、その背表紙を見て、まず我が国の国家総攬を開いた。そこには、機密に属する事柄以外の〔デイ・ノルド王国〕に関することが、詳細に記されており、その一冊でその国の全てを網羅できるようになっていた。そしてもう一つ僕が、驚いたのが、この国家総攬の改定の数であった。

なんと1年に一回は改訂されており、それが100年以上にも亘って継続されている事であった。

僕が、凄く驚いた顔をしているのを感じたのか先生が、こう尋ねて来た。


「どうされました殿下。………あ~あ、改訂の事ですか。多くてビックリされているのですか?」


「はい、こんなに改訂されているなんて思っていなくて。」


 僕が、そう答えると先生は、「ふふん。」と言って得意げな顔をしたのであった。


「それはそうですよ、殿下。そうする様にしたの私ですから。」


「えっ、先生が?」


 僕の疑問に「はい。」と答えた先生は、この国家総攬を作る事に成った300年前の事について語ってくれた。

ぼくは、その話を聞いて改めて我が学問の師であるリウム先生は、凄いと思ったのであった。

その話を聞き終わり、僕は、もう一つの国家総攬を開くと先生と共に〔スカイテール連邦王国〕について勉強を行ったのであった。


 そしてその勉強から1週間たったこの日、僕は、謁見の間へとやって来ていた。


 〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕王城 謁見の間


 僕は、父上に対して膝まづき、とある物を渡されようとしていた。


「エギルよ。其方をこれより〔スカイテール連邦王国〕へ向かう使節の代表者の一人に命ずる。王族の一人として任を全うすることを期待する。」


 そう言うと父上は、侍従が奉げて持っていた台座から剣を取ると僕に差し出した。僕はそれを掴み、顔を上げて父上にこう言ったのであった。


「はっ、任を全うし両国の架け橋を強固なものにしてまいります。」


 そう言って父上から剣を受け取り、謁見の間を後にしたのであった。そして謁見の後の次の日、僕は、お爺様たちとガル叔父上たちと共に馬車に乗り、〔スカイテール連邦王国〕へと旅立ったのであった。






 一方その頃、元〔ドルパース伯爵領〕では。






 〔デイ・ノルド王国〕東部 元〔ドルパース伯爵領〕領都 〔マーリ〕


「こんな事を信じろと言うのかよ。代官の奴は。」


 〔マーリ〕のとある酒場で、とある客がこのような声を上げていた。そしてその客の周りに集まっていた人たちも、「そうだ、そうだ。」と同意の言葉を発していた。

そして声を上げていた男は、自分が座っているテーブルにダンと何かを叩きつけると隣に置いてあったジョッキを取り上げると中に入っていたエールを飲み干し、そしてジョッキもテーブルに叩きつけると、こう言い放った。


「マスター、もう一杯エールくれ。」


 それを受けて酒場のマスターがエールの入ったジョッキを持ってきてテーブルに置き、その男に対してこう言った。


「飲み過ぎだ。これが最後だからな。」


 そう言ってマスターは、再びカウンターへと戻っていた。


 そして男は、再びエールを飲み干すとこう言い始めた。


「あいつの仇を討たなきゃ、すっきりしねぜ。なあ、皆明日一の森で敵討ちをしようぜ。」


 それを聞いた周りの人たちも「そうだな、そうしよう。」と賛同したのであった。そして翌日一の森の入り口に狩人の集団が集まっており、その中心には、酒場で敵討ちを行うと言った男が居り、こう言ったのであった。


「よし、皆あいつの敵討ちを行う。行くぞ。」


 その掛け声に「おぉぉぉー」と鬨の声を上げた狩人の集団は、一の森へと入っていたのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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