7ページ目 魔導書
「さて、いつまでも凹んでないで行くわよ」
結構な時間凹んでいたのかリーズがついに痺れを切らして催促しだした。
「ん？どこかに行くのか？」
「ええ、あんたの魔導書を登録しないと正式に私の使い魔に認定されないのよ。今状態では仮契約ってとこね」
「おお！その本って俺も使えるのか！？」
「コレは私のだから無理。あんた用の魔導書を用意してもらう為にも神殿へ行かないと。
・・・多分、作製してもらえるわよ・・・。」
何か自信なさげなんですけど・・・
「何でそんな自信なさげなんだよ」
「しょうがないじゃない、人間の使い魔なんて聞いたことないもの」
「人型の使い魔を連れてる人いないの？いるならその人たちの使い魔も魔導書を持ってるか見ることができただろ」
「人型の使い魔を連れてる人は知り合いに1人いるけど話すことはできなかったわ」
「じゃあ、俺はレアなのか？」
「レアはレアだけど、今の状態では何とも言えないわ。スキルが何もわからないのだから。」
ああ、結局ココでもスキルが重要視されるのか・・・。
まあ、魔物と戦ったりするんならスキル重要だよね。
ソシャゲでも使えないスキル持ちはＢＯＸの肥やしか強化素材か売却対象だよ。
あれ？もしかして俺も？
「え？もしかして俺って役立たず？スキルなしのバニラ？他の使い魔の強化にすら使えないから2足3文で売却される扱い？こっちに呼び出されるときにステ振りやスキル取得みたいな問答なかったよ？いきなり勝手に呼び出して使えないから売却処理ですか。それはまあ戦力にならないヤツを置いていても場所を圧迫するだけだし、管理するのも面倒にだけどこの扱いはさすがに・・・・。ああ、そうかいままでゲームで無造作にやってきたのってこういう事なのか・・・。実際に自分の番になるとこれは堪らないな・・・。」
今まで自分がゲームでやってきたことをいざ突きつけられるとここまで酷いとは思わなかった。
嗚呼、知り合いも居ない。住む場所も無い。この世界で生きていけるのだろうか。
「勝手に絶望するな！神殿に行って聞いてみるから付いてきて。あそこに行けば何とかなるわよ」
「そうだな。もし、スキル無しでもリーズが面倒見てくれるんだもんな。」
「へ？え、ええ！そうよ！だからウジウジしない！」
あれ？若干返事の声が震えているよ？まさか、捨てるつもりなの？
「それで、その神殿っていうのはどこにあるんだ？」
「学園の中にあるから、すぐそこよ。付いてきて」
部屋の外の廊下は広く、天井も高い。庭もとてもきれいだし、思った通りファンタジー感そのまんまだった。渡り廊下を歩いていると奥の方に白く大きな協会のような建物が見えた。
「あのでっかい建物が神殿？」
「ええ、そうよ。使い魔の契約やスキルの覚醒、魔物の討伐確認、ランク更新なんかは全部神殿で行うの。この世界に居る限りずっとお世話になる所よ」
荘厳な入口をくぐって中に少し進むと1人の人が見えた。
「いらっしゃい、リーズちゃん。使い魔の登録かしら？」
「はい、お願いします。エリザベッタ様」
柔らかな雰囲気の女性で、とても大きかった。
何処がって？当然、胸が。
ゴフ！？
鳩尾にとてもキレイに肘が入った・・・。
これヤバい、息ができない・・・。
抗議の視線を向けると、思い切り侮蔑の眼差しを向けられた。
誤字脱字報告ありがとうございました。
