8ページ目 ぼくの魔導書
「それでエリザベッタ様、お願いしたいことがあるのですが」
「はい、使い魔お登録ですね」
「それもあるのですが、コイツ、魔導書を持っていない様なので魔導書の作製からお願いしたいんです」
「あら、珍しいですね。普通なら召喚と同時に召喚者の魔導書の中に追加されるのですが・・・・」
「コイツ・・・クロが人だからでしょうか」
「そうですねぇ・・・。私も人種の使い魔は初めて見ますので何とも言えませんが、その可能性はありますね。私の知る使い魔は魔獣型が殆どで自分では魔導書を扱えない種族ばかりでしたので」
「魔獣にも魔導書があるのか」
「はい、ありますよ。使い魔の力を魔導書で十二分に引き出すのも騎士の素養の一つです」
魔獣にも魔導書があるという事は魔獣の戦い方も主人がカスタマイズ出来るという事か。
自分の事を他人が勝手に決めていく。正直あまり気分が良いものではない。戦い方の基本方針等だけでなく
文字通り自分のステータスを勝手に決められてしまうのだ。
「あ、アンタは自分で管理して、自分で決めてもらうわよ」
「何でさ?リーズが自分で決めた方が戦略とか組みやすいだろう?」
自分に決定権が無いものと思っていたところに急に言われたので思わず聞き返してしまう。
「ちゃんと人として扱うって言ったでしょう。確かに私が管理した方が戦略は組みやすいけれど、
戦略の幅が狭くなるわ。アンタの状態を確認してから戦略は組むわ。基本方針は私の補助にしてほしいけどね」
なるほど、言われれば納得できる理由だ。
戦略が一辺倒になれば対処できることも少なくなる。先の事も考えているようだ。
「それではクロさんの魔導書を作製しますね」
「はい、お願いしますエリザベッタさん」
「気軽にエリザでいいですよ。何度か言いにくいという事を聞いたことがありますので。あ、リーズさんも今後エリザでお願いしますね」
「エリザ・・・さんって偉い人だよな?そんな友達みたいな感じで呼んでいいのか、リーズ?」
「本人がそう呼べっていうんだからいいいんじゃないの」
「はい、私は構いませんので」
変に気位が高くない人で良かった、俺は礼儀が良いとは言えないからな
「では、クロさんの魔導書を作製しますね。この本の上に手を置いて、魔力を流してください」
「魔力を流すってどんな感じなんだ、使ったことが無いから分からないんだ」
「手の中から何かを押し出す感じで」
「は、はぁ」
イマイチ分からないが本に何かを押し込む様な感じで手を置いてみる。
しかし魔導書かー。本型なのは雰囲気があって格好いいけれど場所取るよなー。ゲームみたいにステータスウインドウとかなら楽そうなんだけど・・・。
「できました・・・よ?」
「何?その魔導書。魔導書よね?」
「ん?」
見てみるとそこにはタブレットのような物が浮かんでいた。
確かに本は場所を取ると思った。ゲームのステータスウインドウの様に直感で操作できればとも思った。
しかし、これはダメだろう。世界観ぶち壊し。他の皆が魔導書をめくっているのに自分だけタブレットをタップって・・・。
「あの、こんな魔導書は・・・」
「もちろん、初めて見ますね。」
「作り直しとかは?」
「できません。一人1冊というルールはありませんが、結局持ち主が同じになるの中身は変わりません」
「はい・・・。でも、何でこんな形になったんだ?」
「それは、おそらくクロさんに原因がありますね。」
「と、いうと?」
「これはスキルにも関係があることなのですが、この世界では意志の力というものが強い力を持ちます。
熱い炎を強く思えば、より熱い炎を。鋭い風の刃を思えば、より鋭い風の刃を・・・という感じです」
「それじゃあ、仮に魔法の剣と盾があって使用者がどんな物でも斬ることが出来る剣とどんな攻撃も防ぐことのできる盾でぶつかったらどうなりますか?」
矛盾のお話だ。
「意志の強い方が勝ちます。もし同じ場合は対消滅するそうです。滅多にお目にはかかれませんが」
そうだねー。意志の強さとかはっきり分かんないもんねー。
この世界の神様が決めるんだろうねー。
「ですので、魔導書を作製の時にクロさんの要望がこの形にしたものと思われます」
自業自得の様です。
「ちなみに、俺のはこんな形だけど魔導書って燃えたり、破れたり、取られたりしないのか」
「それは大丈夫です。魔導書とは人が干渉できるものではありません、他人の魔導書を見ることが出来ても中身までは知ることはできません。最高位の魔導士が他の人の魔導書ひ魔法を撃ち込もうが、国最強の剣士が切りつけようがすり抜けてしまうので干渉できません。」
どうやら本人以外には見えるけど触れないようだ。




