55ページ目 お土産(プレゼント)
ソニアス様に私室へ連れていかれてからの行為はまさに天国と言えました。
私は、こういった事は初めてだったのですがソニアス様が優しくリードしてくださり、あっと言う間でした。
さすが?エルフ。ソニアス様もエレーア様から教わったのだとおっしゃっていました。
長い時間の中で着々と積み重なっていったスキルなのでしょう。
今までの疲れが全て取れた様にスッキリです。
お肌もツヤツヤ。
「皆さん、おはようございます」
「「「おはよう」」」
広間?に入ると他のエルフの方たちは揃っていました。
「あれ、フェリシティ様の姿が見えませんが・・・」
「お婆様は家の前で埋まっているので、お気になさらずに」
はあ、埋まっているのに気にするなとはコレいかに・・・。
「クロ、そろそろお礼を渡そうと思うのだけど、何か希望ある?」
「直ぐには思いつかないので、里を見学させていただいてもよろしいですか?」
欲しいものなんてパッと出てこないですしね、里を散策してよさそうなものをもらえればそれで・・・
「では!私が案内いたします!!」
ズズイと立候補されるソニアス様。
断る理由もありませんし、勢いに負けてそのままお願いします。
この里の印象は和というか、時が止まっているような感じがします。
建物も真新しい感じで、建物として使われている木材は一切傷んでいる物が見当たらないのです。
建物なのですから、傷が無いのは当然の事なのですが擦り傷も日焼けの跡も見つかりません。
それに、家のすぐ下あたりに魔法陣?か描かれています。
「床下の魔法陣が気になられますか?」
「はい」
「これは『陣』の魔法です」
「陣?」
「はい。今現在使われている魔法は元々全てが陣術だったとされていますが、長い時間をかけて少しずつ変化していったそうです。今では錬金術の錬成陣くらいしか残っていませんね」
何という事でしょう!
つまり、錬金術師は魔法使いの分家クラスという事ですか!?
「この魔法、私にも使えますか?」
「ええ。ちなみに、この里の建物には全て【修繕】の魔法が掛けられています」
「そうなんですかー」
「うわー、大きいですねー」
「この森全ての生き物を支えてくる大河です」
「向こう岸が見えませんが、向う側は何があるのですか?」
「・・・対岸にはダークエルフの集落があります。」
あ、やはりダークエルフもいるのですね。
「交流などは・・・」
「族長同士が少しある程度です。民に至っては皆無と言っていいでしょう」
ソニアス様もあまりよい感情を抱いてない様なので、他の所を案内していただきましょう。
「ここが人間でいう市となります。もっとも私達は貨幣は使わず、物々交換ですが」
「見せていただいても?」
「ご自由にどうぞ」
そう言ってもらって私は市の中を見て回ります。
普通に考えれば族長の代理をされている方に案内をさせて連れまわしながら観光なんてとんでもない事なのですが、見る物全てが珍しくて失念していました。
私を見て怪訝そうにするエルフの方もソニアス様を見たとたんに固まってしまっています。
もちろん、私はそんなことに気が付くはずも無く散策を続けます。
「あ、コレは・・・」
「いらっしゃい、人間のお嬢さん」
壮年のエルフなのですが、元が美形なのでかなり格好いいです。
私もいつかあんな風に・・・・無理ですね。素材が違いすぎます。
「すいません、コレを売っていただけますか?」
「え?これを、買うのかい?」
「はい。駄目でしょうか?」
「いや、ダメではないですが・・・」
困ったような顔で男性はソニアス様を見ます。
「あの、クロ様。コレは家畜のエサになるのですが、向こうで何かお飼いになっているのですか?」
なんと!ここでは食べられていないのですね。
しかし、家畜のエサを自分で食べるというと騒がれてしまいそうですし、
「はい。人でも家畜でも食べ物は優良な方が良いですから」
無事に売ってもらうことが出来ました。
里では余り気味との事だったので安く大量に仕入れることが出来ました。
買ったのは お米 です!
そう、この世界での主食はパンでありお米が見つからなかったのです。
日本と同じ───とはいかないでしょうが、近い味になるに違いありません。
「ここでは里の外と取引するための装飾品などを作っています」
そう言われて中を覗くとそこにはネックレスや指輪、羽織など色々な種類のアイテムがありました。
弓や、短剣もいくつか見えます。
素材も、木や鉱石など森で採れるものです。
装飾品と言えばドワーフのイメージでしたが、エルフの技術も凄いですね。
よく見ると、ほぼ全ての装飾品にエンチャントが付いています。
「あの、すみません。ソニアス様!図々しいと思うのですが、ココの装飾品もいくつか売っていただけますか?」
「構いませんよ。元々、外に出す為の品ですし」
リーズお嬢様たちへのお土産はコレにしましょう!見た目も綺麗でステータスアップ。
一石二鳥ですね。
他にも、中央の広場やこの里のご神木なんかを見せていただきました。
「戻ったみたいね」
「すみません、色々楽しくてつい・・・」
ここを出たときはまだ朝方だったはずですが、今はもう日が傾いています。
「では、お主に礼を渡すとするかのぅ。何か欲しいものはあったか?」
すみません、見つけて欲しいものは速攻で買ってしまいました。
お礼云々なんて飛んでいました。
「なんじゃ、何もなかったのか?」
「こんな田舎の里だもんねー」
「お前はまたそうやって・・・」
何やら口論を始めるお2人。
日常的に行われているのでしょう。
「あの、出来ればいいのですが・・・」
「お?何々???」
「陣術を教えていただきたいです」
キョトンとされる皆様。
そして深いため息。
まさか、エルフの秘伝とか何かで無理なのでしょうか?
「お主、そんなカビの生えたような魔法を覚えてどうするつもりじゃ?」
「少し試してみたいことがありまして・・・」
「まあ良い。誰か、スキル珠を持ってきてくれ」
「ほれ、コレで陣術は習得できるぞ」
「こんなのが欲しいなんてクロは変わってるね~」
「何に使われるのですか?」
「まだ何にとは決まっていませんが、珍しいので覚えられればと」
陣術、色々試してみましょうかね。
「他には何かない?これではお礼にもならないわ」
詳しく聞けば、族長を救ってもらっておいてこの程度では逆に困るらしいです。
外聞とかその辺の問題でしょうか?
「そうですねー、・・・それでは里へ自由に出入りできるようにしていただいてもいいですか?普通は入れないようですし。」
「それはまた大きく出たわね」
「だめですか?」
「恩人の頼みですからね。ただし、自由に出入りできるのはクロ様お1人だけです」
1人でもありがたいです。
これでお米が無くなった時に補充に来ることが出来ます。
場所も忘れないうちにブックマークしておかないと・・・。
「今日はもう遅いから、もう1晩止まっていきなさい」
「ありがとうございます。お世話なります」
ちなみに私は現在この里に滞在3日めです。
ソニアス様のマッサージから丸一日は寝ていたそうです。
リーズお嬢様、ご飯大丈夫でしょうか・・・・。
作り置きが少しは・・・いえ、しかし3日分もは・・・・
最近、少し稼げていますし何か買って食べておられますよね?
うん。違いない。
夕食はエルフ飯。
わざわざ広場に集まって盛大に催してくださいました。
野菜系がメインだけどどれも美味しいです。
お肉は無いけどお魚あったよ。
エルフの方はお肉ではなく、お魚ばかり食べているから魔法関係に強いのでしょうか???
と、そんなしょうもない事を考えながら食事を取り、エルフの踊りを見て感嘆し、私はエルフの里を満喫していました。
「こんなに良くしていただいて、ありがとうございました」
「良いのですよ、あなたは族長を救ってくれたのですから」
「また来てね!」
里の方々に見送られながら、私は帰路につきました。
さてさて、リーズお嬢様たちはどうしておられるでしょうか。
「ただいま戻りましたー」
「あ、ク、クロ。お帰りなさい」
「お、お帰りクロ・・・」
「ささ、今日はもう疲れたでしょう?早く部屋へ戻って休みなさい」
「ご飯も、今日1日くらいなら大丈夫だから」
リーズお嬢様とカグヤお嬢様の挙動が明らかにおかしいです。
まるで、私を何処かから遠ざけたいような感じです。
「そうですか、ではお言葉に甘えて・・・」
「「ホッ・・・」」
「の前に食料を補充して簡単な物を作っておきますね」
気を抜いたお2人の間を縫って食堂へ入ります。
「あ!」
「ダ、ダメ!」
食堂へ入るとまず、異臭に気が付きました。
急いでキッチンへ入ると・・・
残飯が散乱していました・・・・。
キッチンに居たメイサお嬢様が私に気が付いて「よ、よぉ。おかえり~」とぎこちなく挨拶をされます。
皆さん、必死に後片付けをされています。
これは一体?
「リーズお嬢様・・・?」
「ハ、ハイ!」
「この状況の説明をお願いできますか・・・?」
「え、え~っと・・・」
「リーズお嬢様が無理なら他の方でも構いませんが・・・・」
結論。
クロが居ないから久しぶりに料理でも作ってみよう!(総意)
案の定、失敗。
今日は料理長から、練習用の料理本借りてきたから大丈夫!(なはず)
安定の失敗。
今日こそ!3度目正直。そろそろクロも帰って来るだろうしちゃんとした料理を出してビックリさせよう!
2度あることは3度ある失敗。
そして現状へ・・・
なお、失敗した素材も私ならうまく料理できるだろうと丁寧に残しておいてくださいました。
そのままね!!!
せめて冷蔵・冷凍庫に入れて下さい!
もう夏先なんですよ?普通に腐りますよ!!
誰か変なにおいがした時点で嫌がって処分してくださいよ!!!
「クロにも調理できない食材があるなんて・・・」
腐っていたらほとんど無理ですよ、普通に考えて・・・
まずは庭先で残飯の焼却処分。
臭いが飛ばないようにシルフ様にお願いして風の壁を作っていただいて、イフリート様の炎で一瞬焼却。
キッチンの掃除を済ませて、食材も補充します。
まさかと思ってお風呂を見に行くと洗濯物の山が・・・
すぐさま全部洗って乾かします。
当然、寮のお掃除もされていません・・・
目につく所だけをさっさとお掃除。
そして、終わる頃には夕食の時間です。
ああ、忙しいですけど自分の居場所に戻ってきた感じがして落ち着きます。
忙しいのに・・・苦労ばっかりなのに・・・
オーク肉がまだあったので、オーク肉の生姜焼き、とご飯です!
「クロ、この白いのは何?」
「はい。これはお米という食べ物です」
「お米???」
「えーと、ライスと言えば分かりますか?」
「え?ちょ、ソレ家畜の食べ物じゃない!?」
皆さんもギョッとして私を見ます。
あ~、やっぱり厳しいでしょうか?
美味しいのですけどね、ご飯と生姜焼き・・・。
私がどう言おうかと悩んでいるとカグヤお嬢様が食べ出してくれました。
「お、おいカグヤ!?無理しなや。人の食うもんちゃうんやし」
モグモグ、モグモグ、モグモグ。
「・・・美味しい」
「「「!?」」」
その瞬間、皆さんも一気に食べ出しました。
「美味しい!」
「これ、いくらでも食べられそう!」
「誰や!ライスを家畜のエサ言うてた奴は!?」
手のひら返すの鮮やか過ぎ且つ早すぎでしょう!?
カグヤお嬢様はもしかして人柱ですか!?
「クロ、どうしてクロはライスが食べ物だって知っていたの?」
「どうしてと言われましても、私の故郷では普通に食べられていましたので・・・」
「そっか、クロの居た世界の料理は全部凄いもんね」
まあ、この世界の料理よりは百年は進んでいると思いますよ・・・。
でも、ご飯が受け入れられてよかったです。
これで気兼ねなく食事に出して食べられます。
「はい、リーズお嬢様。お土産です」
「わーい、ありがとう。クロ!」
「あら?私には無いのね・・・」
「いえいえ、ちゃんとありますよ?コレです」
「ありがとう。あら、指輪ね。フフ」
少し嬉しそうな顔のカグヤお嬢様。
そんなに高価なものではないのですが・・・
「クロ!なんでカグヤにも指輪なのよ!?」
「へ?全員分指輪ですよ?」
「~~~~~~~」
何か顔を赤らめて地団太を踏んでおられますね。
新しい儀式か何かでしょうか?
「ところでコレどこで買ったの?見たことのない意匠だけれど」
「エルフの里で買ってきました。エンチャントも個人用に付けてもらっていますよ?」
「「エル・・・」」
「どうかされました?」
「ちょ・・・」
「ちょ?」
「超高級アイテムじゃないの!?何でそんなにいっぱいある中から適当に選んできましたみたいに言ってるのよ!!!」
「しかも、エンチャントを個人用に付けてもらったのでしょう?普通は付けてもらえないわよ?」
普通にお願いしたら付けてもらえたのですけどねー。
何故でしょうか?
他の方にもお渡しするときに同じ説明をすると、急に大事そうに扱われました。
やめて、アイテムボックスにしまわないで、使わないと買ってきた意味ないから!!!
>゜)))彡 >゜)))彡 >゜)))彡 。 >゜)))彡を食べ~ると~、
頭、頭、頭。頭がよくなる~。
ファンタジー世界だと、アクセサリーにもステータスアップの効果とかあって、お土産でもとっても便利。




