53ページ目 巣窟
私は今、ディヤガンドの森の道を馬車に乗せてもらって移動しています。
普段は木の根やら草やらで馬車など通れないのですが、エルフの魔法を使うと道が出てくるそうです。
これなら野盗にも捕まらないのでは?と聞くと、街で依頼人ごと吹き飛ばそうとしていたそうです。
ソウデスネー、王族の方ですしねー、大魔法とかヨユーデスヨネー。
邪魔してすいませんでしたー。
「それで、どうして私だけ連れて行っていただけるのでしょうか?」
「他の方は拒否されたので・・・」
それは、まあ、仕方がない事ですよ。
いきなり、王族の方からのご招待ですから、私には拒否権は在りませんでしたけど・・・。
「貴女は、家族にもしっかりと紹介しておこうと思いまして」
へ?紹介?私何もしていませんよ?
「隠さなくても結構ですよ。私には見えていますから」
ダランダ様は何かあるのかと私を注視されています。
意味ありげに言っていただけますが、私としては何も隠していないので反応に困ってしまいます。
そんな私の反応を見て、エレーア様は上機嫌です。
コトコトと森の中を進み、里が見えてきました。
大きな木々が立ち並び、その幹に足場・家が建っていたり幹に穴を開けて洞窟の様な感じの家?建物?になっています。
私が想像していた通りの神秘的な風景が広がっています。
馬車を降りて里へ入ると住民のエルフの方々がエレーア様を出迎えてくれます。
やはりエルフ!美形しかいません。
私は奇異の目で見られますが、大人しくしているのが吉でしょう。
私達はそのまま一番奥の大きな家へ通されました。
その家の一番奥の謁見の間?の様な部屋の奥には1人のエルフの女性が座っていて、左右にも複数のエルフが座っていました。
左右のエルフは民族衣装?を着こんでいます。
「ただいま戻りました」
エレーア様が礼を取られるので、私もそれに習います。
「よく無事で戻ってきました。心配していたのですよ?」
そう、透き通るような声で話される女性。
身長は高めでプロポーションも抜群です。
私の中のエルフのイメージがガラガラと崩壊していきます。
いや、眼福。眼福。
「それで、そちらの方は?」
「この方はクロ。今回、我々を助けるために最も奮闘してくれた人間です」
この場合、私は何か言った方が良いのでしょうか?
私がオロオロしていると、
「おお!エレーア!!帰ったのか。心配したのじゃぞ」
入口から1人の少女が入ってきました。
少し年寄り臭い言葉使いですが、気にすることでもないでしょう。
アニメとかでもよくいるしね。
「ただいま、フェリー。楽しかったよ」
「ふん、襲われて楽しかったはないじゃろう!」
楽しそうに会話をされているエレーア様。
言葉使いがずいぶん砕けていますが、コチラが素でしょうか?
「して、そこの小娘は?」
「私を助けてくれた人ー」
ほほう、と興味津々に私の周りをグルグル回りながら観察されるフェリーと呼ばれている少女。
「コホン、落ち着いてください、お客人が困っています」
「おお、すまない、すまない」
そういってすぐ隣に胡坐をかいて座るフェリー様。
「それでは、簡単に自己紹介でも・・・。私はソニアス・テファニーディアガンドです」
「私はこの間言ったけど、エレーア・ジェローム・ディアガンドね」
「儂はフェリシティ・ハヤットラス・ディアガンドじゃ、よろしくの」
他の方は続いて挨拶されませんでしたので、次は私の番でしょう。
「クロと申します」
「クロ、其方はどのような働きをしたのじゃ?儂は興味津々じゃ!」
グイグイとこられるフェリー様、苦手なタイプです。
「それはねー・・・」
エレーア様が立ち上がって身振り手振りを交えながらの説明に最初は面白そうに聞いておられた皆様ですが、話が終わる頃には皆様、何か疑いを持った目で私を見ておられます。
特に後ろから感じる気配が・・・
「エレーア様。冗談はおやめください。大精霊様が人間を助けるなど・・・」
「私を信用できないのー?」
「話が荒唐無稽すぎます。こんな人間如きが・・・」
ゴン!
急に音がしたので、何が起こったのかと慌てて後ろを見ると、男性が座っていたエルフに頭を床に押し付けられていました。
「な、何を!?」
「黙っていろ」
十分に威圧のある声にそのまま沈黙してしまう男性。
「クロ、証拠を見せてやってくれないか?」
エレーア様にそう言われますが、
「私が命令出来すはずないじゃないですか」
「じゃあ、お願いして!」
エレーア様のお願いに、「ああ、もう出てきていいですよ」とぞんざいに答えます。
実は大精霊の皆様、出てきたくてウズウズしていたようで、私が言うなり彼方此方から実体化されていきます。
その光景に知っているはずのエレーア様とダランダ様様も息を飲みます。
え?貴女達は知っていますよね?
「お、驚きました。まさかこんなにたくさんの大精霊様と一度に相まみえることが出来るとは!」
「おー!クロ。凄い!凄いのじゃ!!!」
抱き着いてこられるフェーリー様を引きはがす感じで
『ママの隣は私。』
『ネエネエに引っ付いちゃダメ。』
シャドウ様とヴォルト様が現れました。
エレーア様や他のエルフの方々も興奮気味に話し合っていて、私は置いてけぼりです。
「落ち着いてください!」
ソニアス様の一声で場が収まります。
さすが、里を収めておられる方です。カリスマ感が凄いですね!
「まったく、興奮するのも分かりますが、少しは落ち着いてください。お母様、お婆様、叔母様方」
そうそう、落ち着てって、え?
お母様?お婆様??叔母様方???
「あ、あのソニアス様。今、お母様と・・・」
「はい。お恥ずかしながら、エレーアは私の母。フェリー、フェリシティは私の祖母。周りの者たちは私の母と祖母の姉妹になります」
そう言われて衣装を解くエルフたち。
体つきは個人差がありますが、身長は皆様〇学生くらいでした。
ファ!?
何?この空間。一気にロリ婆率が一気に上がったのですが・・・。
というか、何故に娘さんが一番大人っぽいのですか?
「エルフは年を取るとロリ化するのですか?」
「すみません、私の一族は身長の低い者が多くて・・・」
おっと声に出てしまっていたようです。
低いと言っても低すぎでしょう!小人族って言っても通るのではないですか!?
この里に来て一番の驚きですよ!!!
私を含め全員、ひとしきり驚いて落ち着いたので、話が進みます。
「私がクロを里に連れてきたのはコレが理由ねー。是非ともお近づきになりたかったの」
「この状態を見れば納得じゃの。里を治める者としては見過ごせん」
「まさか、精霊の巫女様と知り合えるとは・・・」
「あの、私は巫女ではありませんよ?」
『ん。ママはママ。』
「申し訳ありません。私達の間では大精霊様と意思の疎通が出来る者を、精霊の巫女様と呼んでいるのです。私は初めてお会いしました」
「まあ、何処もあまり積極的に関係を持とうとしないからのう、しておるのは【神殿】くらいかのぅ」
なるほど、巫女と呼ばれる理由は分かりましたが、恥ずかしすぎます。
何が嬉しくて男で巫女なんて呼ばれなければいけないのですか。
恥ずかしいのは女装だけで十分です。
いえ、女装もできれば勘弁ですけども・・・・
とにかく、さっさと誤解を解かないと!
この格好は変な目で見られるかもしれませんが、変なオプションが付くよりましです!
「あの、私は巫女ではありませんよ」
「だから、呼び方の話だって」
「いえ、私は男ですから」
「「「・・・?」」」
『『『・・・?』』』
「『嘘~~~!!!??』」
この場にいる皆様も声がハモります。
大精霊様!?貴方たちとは一緒に生活していますよね?
お風呂でも私が男湯に入っているの何度も見ていますよね!?
というか、入ってこないように言っても何度も入ってきますよね!?
「ホントウカ?ホントウニ、オトコナノカ?」
「嘘、だろう・・・」
何で片言になっているんですか?
そんなに衝撃的ですか???
『クロさん。本当に男なのですか?。魔法で男装しているのではないのですか?。』
『ママ。ママじゃないの?。』
『うぅ・・・。』
どうして、ベースが女性なんですか。
っと早く、フォローしないと・・・
「だ、大丈夫ですよ。女の人ではないだけで今までと変わりませんよ?」
『でも・・・ママ。ママじゃないよ?。』
「あわわわわ、私はずっとママですから、泣き止んでください!ね?」
『『うう・・・』』
げんなりとしている私を見て、ウンディーネ様は『あらら、ウフフ』と微笑んでおられます。
ヤロウ・・・。
エルフの方々は集まって何やら密談中です。
「・・・しかし・・・」
「・・・問・・・い」
「が・・・」
そして、私を見て。
「コホン。クロ?」
「はい。何でしょうかエレーア様」
「私と結婚しよう!」
「は?」
意味が分かりません。
一体何をどう掻き混ぜるとその答えに行きつくのでしょう?
「いえいえ、結婚ってソニアス様がおられるという事は旦那様がおられるのでしょう?それなのに私と結婚というのはおかしいですよ」
「そうです。お母様!しっかりしてください!!ココはまだ未婚の私が///」
「ソニアス様もしっかりしてください!!」
「そうじゃぞ、ソニアス。お主はまだ族長の研修中じゃ、結婚云々に現を抜かす余裕は無いぞ!エレーアもじゃ、現族長なのじゃからバカを言う出ないわ!!っと、いうわけでココは何のしがらみも無い儂が・・・」
「フェリシティ様もしっかりしてください!!!」
「「「なら私が・・・」」」
「大体一族に人間の血が入って大丈夫なのですか!?」
私のエルフの知識ではハーフエルフはそのほとんどが迫害されています。
血族関係を言い訳に逃げ出さないと!
「お主を一族に取り込めるなら安いモノじゃ!モチロン、子供はしっかりと育てるわ!」
わーい、取りつく島ないわ。
駄目だコイツ等、何とかしないと!!
貞操の危機再び!!!
脱兎の事く逃げ出しましたが、
ガシャン!
く、高速魔法だと!?
ガシャン!!
ガシャン!!!
ガシャン!!!!
ガシャン!!!!!
ふ、複数!?
しかし、舐めないでいただきたい!
こちとら毎日、大精霊様の意味不明な魔法を解除しているのです!
このくらいの高速魔法など・・・・・
ブゥーン・・・
ガキン!!!
魔法が・・・発動しない・・・・。
足元を見ると複雑な呪文の描かれた魔法陣と、ひと際太い鎖が・・・
「おお!大精霊様!!!」
これは、オリジン様とノーム様?
「は、離してください!!!大精霊様!!!」
『あら~。駄目よ~。こんな面白そうなこと~。見逃せないわ~。』
く!さすが大精霊様。拘束が全く緩みません。
「のうのう、クロ?儂にせんか?こんな乳臭い小娘よりもピッチピチじゃぞ?」
「お母さま方は年が行き過ぎなのよ!3000超えてるでしょう!?その点、私はまだ1400!だから私で決まりね!」
「お母様にはお父様がおられるではありませんか!?ここはやはり、300と最も年の近い私が・・・」
エルフすげえ・・・歳の感覚がおかしい・・・。
3000オーバーでその見た目ってどうなってるの?
システムさん、エルフ族の見た目テコ入れしすぎじゃない?
まだ変身の魔法使ってるって言われる方が納得できますよ!?
「ぐぬぬぬ・・・。ではクロ!お主は誰が好みなんじゃ!?」
え、私ですか?皆さん、エルフ族なのでそれはそれは美女・美少女です(見た目)。
そして一瞬ソニアス様の方へ視線が行ってしまいました。
「あら、クロ様は私を選ばれるようですよ?」
違います、選んでません。
年上のお姉さんに甘えてみたいなんてゲフンゲフン・・・・
「フン!ソニアス。男を知らない貴女ではクロを満足させられないでしょう?」
そう言ってニヤリと笑うエレーア様とそれに便乗される年う・・・お母様方。
「ならば、私がクロ様を見事満足させて差し上げましょう!」
そう言って私を別の部屋へ連れ行こうとするソニアス様。
これから待っているであろう夢の様な一時に期待してしまいますが、ココで連れ込まれると二度と出られない!
今の状態はさながら複数のアラクネに巣の上で動けなくされてしまった哀れなエサです。
「嫌だー。私、オウチ帰るーーーーーー!!!」
「大丈夫ですよー。もうすぐここがオウチになりますからねー。」
私の必死の抵抗も空しく、ズリズリと引きずられていきます。
エレーア様達はもうすでに次の順番をどう決めるかについて揉めていました。
こうして私は、誰の助力を得ることもできずにソニアス様の私室に運び込まれていくのでした・・・。
ようこそ、ロリエルフのお家へ!
見た目は子供!頭脳は・・・あ、察し・・・




