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取り立て進捗の無い談話をする回



「随分、仲が宜しいんですね」


「あのー、よもぎさん。なんか怒ってないですか」


「いいえ」


 すっぱり、きっぱり。でも、怖いです。


「よ、蓬ちゃんごめんね」


 刺々しい空気をようやく察したのか、慌ててはなれる貴志。


「そっかー、相変わらず、二人とも仲が良いんだね」


 赤い長身は他人事なのに嬉しそうに言う。


 そこで、蓬さんは我に返って、いつもの礼節の道にのっとった娘さんに戻った。


「あの、蓬です。初めまして」


 俺の後ろから移動して、小さく一礼する。


「うわあああ、ボク忘れられているよ!」


 さっきからうすうす感じてたけれど、やっぱりだー!と頭を抱えてうずくまる貴志。さすが体育会系。リアクションがいちいちでかい。


「ゲームが変わったから当たり前だろう、早く自己紹介しろよ。蓬困っているじゃないか」


 うう、分かったよと悲しげに言った後、蓬の方に向く。


「ボクは、貴志ひな……じゃなくて、『ルート』って言うんだ」


 好きな昔のサッカー選手から取ったそうな。画像検索したら、すっごい馬面でした。馬面なのにカッコいいところが素敵なんだぞー、と本人は言っている。

 戦国の世界観を少しくらいは気にして欲しい所。本名をもじった初心者丸出しの昔の俺とどっこいどっこいという意見は気にしない強い心。


「でも、忘れているわりには、ヨシとは仲よさげだよね?」


「ああ、愛の力で覚えていたんだ」


「なんだよー、言っていて恥ずかしくないのかよー」


 じとーと見てくる。


「は?なにが?」


 何を言っているんだこいつ。


「うわぁ、素で返してきたんだぞ!」


「とにかく新婚なんだ。蓬に誤解されるような行動は慎むように、お前、嫌われるぞ」


 口調や外見に似合わず、こいつは少女趣味なのだが、自分には壊滅的に似合わないので、ちっちゃくて可愛らしい女の子に憧れを抱いている。俺の嫁がド真ん中なわけで。


「う、それは嫌だ。ご、ごめんね、ボクそんなつもりなかったんだ」


 加えて、人に嫌われるのとか、仲間外れにするとか、ひどく苦手としている。


「それよりどうしたのその姿?六花ちゃんみたいじゃないか」


 佐園六花さえんりっか。貴志の好きなアイドル。


「ああ、画像からパラメーター出して、アバター作ったからな、どうだ?」


「すごく良いよ!なんか、見ていると胸がドキドキする。抱きしめてもいい?」


 なんで俺に怒られたか、全く学習してない。馬鹿だからな。


「寄るな、ロリコン」


 蓬を抱えて、二歩下がる。後で半径三メートル以内には近づかない様に言い含めておこう。


「ち、ちがうよ。ボクはロリコンじゃないぞ。巷でも評判の淑女だぞ」


 あわわ、と挙動不審になる。そんな淑女などこの世にいない。


「あのー、そろそろ、お二人はどういったご関係なのか、教えてもらっても宜しいですか?」


 ぎゃあぎゃあ、じゃれあう俺たちに痺れを切らした。蓬が会話に割って入ってくる。

 なんだかんだ、お互いに再会できて安心してしまっていたんだろう。つい、いつものノリになってしまった。


「改めて、関係といわれると、なんだろう?」


「ボクとヨシは、そうだね、姉弟みたいなものじゃないか?」


 実際、超遠縁の親戚だしな。飲み屋の薄割りレベルの血縁の。そういえば、元キャラもイベントで一門同士でしか参加できない設定のがあったから、ゲーム的にも親戚だな。まぁ、どうでもいいが。

 

「そうだな。俺が兄で、こいつが弟かな。こんながさつで泣き虫でメンドクサイの、女の範疇にどうやっても入らないからな。蓬も変な誤解しなくていいからな」


「弟はそっちだぞ。あと、そこまで言う事ないだろ、ボクは初チューだってヨシに捧げたんだぞ」


「は?」


 トンと記憶にない。


「ほら、小さい頃。夕暮れの海岸線で、ロマンティクだったなぁ」


「ああ、お前が調子に乗って溺れたときな」


 はいはい、人工呼吸です。間違いない。というか、なんという化石レベルの昔話だ。


「思い出すたび、胸のあたりがチクっと痛む気がするよ」


「俺の本気の心臓マッサージで、肋骨にヒビ入ったからじゃね?」


「天にも昇る気持だったなぁ」


「実際半分くらい昇っていたしな」


 完全に白眼むいていて、危うく帰って来られなくなるところだったじゃないか。


「もう、うるさいな!人の思い出にいちいちケチをつけるなよ」


「俺には、トラウマだ。都合よく脳内変換してんじゃねえよ。お前が死んじゃうかと思って、こっちは超必死だったんだぞ」


 あの時ほど、真剣に神様に祈った事などなかったぞ。


 何故か赤くなる貴志。


「そ、そっか、ボクのこと大事に思ってくれているんだ」


 照れ出した。馬鹿の思考の展開の仕方は、本当に良く分からない。


「くすくす。なんだか、お二人の事分かりましたよ。ヨシ様の御兄弟でしたら、わたしの兄弟ですね。よろしくおねがいします」


 にこー。


「う、うん。よろしくね」


 耳の裏側まで、真っ赤に染めて返事する。ちっちゃくて可愛い俺の嫁は、こいつのドストライクだから。


「はい、こちらこそ。ルートさま」

 


「うわあぁあ、可愛いいよ、抱きしめたいよぉ」


「おいこら。おちつけ、変態」


 人の嫁に何するつもりだ。


「くすくす。よろしいですよ」


 はい、と手を広げる。


「ええーっ!」


 悲鳴を上げる俺。


「わーい」


 わんわんお、と躊躇なく襲いかかる犬属性の幼なじみ。


 ふふん、とこっちにしてやったりの視線を向けてくる蓬さん。


「これで、私の気持ち分かりましたか」


 ああ、まだ怒ってらしたんですね。


「わ、わかったから、勘弁して下さい」


 デカ犬を引き剥がそうと、貴志の袖を引っ張る。ボンドで接着されたように微動だにしない。くそう。


 と、おもったら。

 ひょいと、赤い奥襟を掴まれて、貴志は空中に浮いていた。


「あれー?ボクいつの間に空飛べるようになったんだろ?」


 釣り上げた主は丸太の様にごっつい腕。


「おいこら、ひとさまの娘に何やっている」


 二日酔いでダウンしていたはずの蓬父。般若と夜叉を足して二で割らない様な顔をしている。

 分厚い山刀を、逆の手で、鼻先につきつけている。


「覚悟はできているんだろうな、クソ侍」


 ギラリと、獰猛な歯と刃が、危険に輝く。


 よし、ナイスお義父様。そいつ、やっちまってください。と下っ端戦闘員みたいな事を思ったり思わなかったり。


やべえ、10話まで、来たのにまだ一回も通常戦闘ないとか。

まあ、ボチボチやっていきます。主人公がスライムより弱いのもあれなので。

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