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<54> 要領(ようりょう)

 同じ物事をしても、要領ようりょうの良ししで結果に大きな差が出る。要領を分析すれば、その良し悪しの差は時間差に限ったことではなく、その後の生活に多大な影響を与えることになる。というのも、一つの物事が要領が良いことによって、次の物事をやりやすくするからだ。ただ、要領がいいからといって、結果が必ずしも良くはならないという点だけは留意りゅういしておくべきだろう。要領が良すぎると、あいつは要領のいいヤツだっ! …などと思われることもあるからだ。そんなことはどうでもいいっ! 自分は好きなことをして好きに生きるっ! と言われるお方もあろうが、確かにその考えも一理あり、否定は出来ない。杓子定規しゃくしじょうぎに生きず、好きなことをして愚直ぐちょくに生きる人生には、新しい可能性が芽生めばえる可能性もあるからだ。^^ ただし、危険ととなり合わせということも覚悟しておかねばならないだろう。その危険性をけたいなら、人がなんと言おうと思おうと、同じことを愚直に繰り返して生き続けることが懸命けんめいだということになる。

 とある中学校の美術の時間である。美術室の中では生徒達が粘土の塑像そぞう作りをやっている。モデルは小皿こざらの上に盛られた三本のバナナだ。

「どうだっ! 出来たかっ!!」

 偉そうに生徒達へ声をかけたのは美術教師、秋野あきのである。

「おお、なかなかいい出来じゃないかっ、田野たのっ!!」

 田野は要領のいい生徒で、なかなか上手うまく出来ないものだから、チャッカリと斜め前の生徒、仮庵かりほの塑像を真似まねわずか5分で作ったのである。

「ええ、まあ! 僕はこういうの得意ですからっ!」

 田野は悪びれもせず、したり顔で答えた。

「そうかっ! これなら十分、展覧会へも出せるぞっ!」

「そうですかぁ~?」

 田野は、ますます、したり顔になった。二人の会話を何げなく聞いていた斜め前の仮庵は、『そ、それは僕の真似ですっ!…』とは思ったが、そうとも言えず粘土の手で、ぅぅぅ…と泣けた。

 ━ 秋の田の 仮庵のいほの とまをあらみ わが衣手ころもでは つゆれつつ ━ である。^^

 まあ、そんなことで、でもないが、分析の結果、要領よくやられると、要領の悪い人々は泣けることになるようだ。^^ 


                  完

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