始まりの神社
歩いて10分以内の場所に、日向の通う学校、桜山高校があった。
彼、神楽日向は家から近いと言う安易な意味でこの学校に通うことを決めた。
日向はもともと目立った性格ではないため、大抵を1人で過ごすことが多かった。
最近、高校に通い始めた日向の新たな遊び場はこれまた近場の神社だった。
『かぐや神社』人々はその神社をそうよんだ。
昔、平安時代ひいたかぐや姫。もとはかぐや姫がここに住んでいたとされているため、この神社はそう呼ばれるようになったと母から聞いた。
日向はそんな神社で絵を描くのが好きだった。
木や植物、通りかかった参拝客。そんな些細なものを描くのが何よりも楽しかった。
そんなある日、事件は起きた。
いつものごとく、日向は神社て絵を書いていた。が、ここにあるものは大体描いてしまったため、おもしろみがなくなってきたのだ。
そんなとき、ふと日向の目にうつったものがあった。
それは神社の境内の中。
あそこには確か、仏やなんやらが飾ってあると聞いているが、今まで誰かが開けたことはないらしい。
日向はじっと境内を見つめる。
「......誰も、とか言われたら、ねえ?」
日向はそっと地面にキャンバスを置く。
ゆっくりとした足取りで境内に近づく。
そっと手を伸ばし、境内の扉に手をかける。
ちょっと緊張が走ったが、あとに戻るつもりはなかった。
「せー......っの!!」
渾身の力で扉を引く。
その瞬間、日向の回りを目映い光が包み込んだ。
「うわぁぁっ!!」
日向は思わず目を閉じる。
それと同時、すぅっと日向の意識が遠退いて行く。
混乱する暇さえなく、日向の意識は暗い闇へと誘われた。
光を失った境内には----
真っ白なキャンバスが1つ、落ちていた。




