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パーティー

途中で視点が切り替わります。

「はぁ。やっと明日が、会合だ…。地獄の書類祭りが終わる!!」

あっという間に2週間がすぎ、会合も明日にまで迫っていた。

「おつかれ〜!セリス!!」

私がひと段落ついていると、急に後ろから抱きつかれた。

びっくりして振り向くと、そこにはステラさんの姿が。

「ス、ステラさん!?」

確か、今日はステラさんは非番だったはず。

何で、ここにいるんだろ。

「びっくりした?」

ステラさんは悪戯っ子のように笑いながら言った。

「びっくりしましたよ。今日、休みですよね?」

私が尋ねると、ステラさんは困ったような表情で、

「明日の会合でエスコートしてくれる人がねー、時間通りに来なさそうだから念を押しにきたのよ。」

と言った。

会合で行われるパーティー会場に女性1人で入る事はできない。

大体は兄弟や婚約者に頼むらしいけど…。

「ステラさんのパートナーって…一体誰なんです?」

ステラさんは婚約者がいないし、お兄さんも結婚してるらしい。

「それはね…団長よ、団長!あの人いい年して未婚だし、ちょうどいいパートナーでしょ?」

ステラさんは少し勿体ぶりながらも笑いながら教えてくれた。

「だ、団長ですか!?確かに未婚ですけど、結構年の差ありますよね?」

ステラさんみたいな超美人の隣に団長…。

全然合わない!!

「セリスは知らないと思うけど、あの人結構美形で若々しいからあんまり年の差感じないと思うわよ?」

私の心の中を見透かしたようにステラさんは言った。

「えー、ひげ伸ばしてるし、年相応に見えるんですけど…。」

思わず本音を漏らすと、

「ふふん。見てて!明日には理解できるから!!」

ステラさんは意味深な笑いをこぼす。

「という事で、私の用はもう終わりだから、帰るわね!!明日頑張って!!」

そして、嵐のようにステラさんは帰っていった。

まあ、明日になれば分かる、のか?



翌日

「お姉様、あの、では行ってきます…。」

私とマリアンヌは侯爵達の見送りを強制的に!させられていた。

あー、めんどくさい。てか、私も早く行かないとアルを待たせちゃうんですけど!

マリアンヌはずっと不機嫌だし。

「面倒だけは起こすな。」

侯爵は侯爵で相変わらずマリアンヌに冷たいし。

(私は論外)

「では、行ってくる。」

侯爵はユノさんとミリアナとエドワードの全員が馬車に乗るとそう言って、扉を閉めた。



やっと、馬車が出発して私は一目散に別館へと戻った。

大事な会合だから騎士服も式典用のものを着用する。

「よし!完璧!!」

鏡で身だしなみをチェックしてすぐさま私は城へと向かった。



「セリス!ここだよ。」

城に到着すると、城門の前にもうアルが立っていた。

正装で。

やっぱり、超イケメン…。流石攻略対象のランキングで王太子に次いで2位だけの事あるわ。

「お、おまたせしました。」

自分の邪心を振り切ってアルに駆け寄る。

「いいよ。僕も今来たところ。で、何で急に敬語なの?」

少し不服そうにアルは言った。

「今から3日間、私は貴方の騎士なので。よろしくお願いします、アルフレッド様。」

そんなアルに私は少し気取って言ってみる。

「セリスに敬語使われるの違和感しかないけど、まあ仕方ないよね。でも、2人の時は本当にそれやめてね?ムズムズするし。」

「了解しました、アルフレッド様。」

私が優雅にお辞儀をすると、

「うっ、なんか鳥肌が…。」

なんだかすごい失礼な事を言ってきた。

「何か言いましたか?」

完璧な笑顔で問いかけると、

「いや、何にも言ってないです!」

すぐに否定してきた。

「と、とにかく、中へ入ろうか?」

そして誤魔化すようにそう促され、私達は城の中へと足を踏み入れた。



「見て!アルフレッド様よ!」

「なんてお美しいのかしら…。」

「はぁ…素敵。」

アルフレッドのせいですごい注目されてる気がするんだけど!!

女性達の視線がすごい…。

そりゃ、そうか。こんなに美形なんだもんね。

すると、

「でも、今年はセリスでよかったよ。」

急にアルが話しかけてきた。

「何でですか?」

どういう意味か分からなくて問いかけると、

「女性から話しかけられることが減りそうだから。」

アルは真顔でそう答えた。

「えっ、絶対たくさんの方に話しかけられると思いますけど…。」

この注目度だし、女性からの誘いがひっきりなしにくるでしょ。

「いやいや、セリスが隣にいたら、8割は諦めて帰ってくれるよ。」

今度はにこにこと笑いながらそう言うもんだから、

「まあ、アルフレッド様がそう思うんだったら、別にいいですけど…。」

よく分からないまま、そう答えておいた。



パーティー会場に着くと、もうかなりの人が中にいた。

「じゃあ、またあとで。」

アルとはすぐに別れて、私は会場の隅まで歩いていった。

原則、騎士達は会場の隅で護衛対象を遠くから守ると決まっている。

だからこそ、私も隅で見守ることにしたのだ。

まあ、滅多に事件なんて起こるもんじゃないけど仕事はちゃんとしないとね!



僕がセリスと離れ、会場の中心まで歩いていくとすぐに女性達に捕まった。

「お久しぶりでございます!アルフレッド様!!」

「去年の会合以来ですね!!」

「少し、お話よろしいですか!?」

もう成人しているというのに、婚約者がいない僕は女性達の格好の餌食となってしまう。

去年も散々な目にあった。

婚約者がいないという点ではゼン、いや王太子も同じなんだけどいつも、巧みに避けてるから…。

結局、その分も僕に回ってくるし…。

「アルフレッド様には懇意にしてらっしゃる御令嬢はいらっしゃいませんの?」

不意に1人の令嬢が聞いてきた。

すぐに笑顔を作って、

「そのような女性はいないのですが…。」

と言うと、周りの令嬢達は目を輝かせ始める。

「じゃあ…!」

それを聞いてしっかりアプローチをしようと思ったのかその令嬢が何かを言おうとした。

ただ、それを僕は遮って、

「でも、普通に仲良くしている女性はいますよ。騎士団の同僚で、今日は僕の護衛をしてくれているのですが。」

悪いけど、セリス。ちょっと君の事を使わせてもらうよ。

僕はそっとセリスの方を指し示した。

僕を囲んでいた令嬢達はセリスの方を向き、即座に固まる。

固まるのも無理はない。

何故なら、セリスは一際目立つ風貌をしているからだ。もちろん、良い意味で。

つまり、ものすごい美人なのだ。

時々、僕に対して美形だと言ってくるけど、そう言う自分はどうなんだっていつも思ってしまう。

「えっと、あの方はどこかの御令嬢とかでしょうか…?」

我に帰ったのか、令嬢達が聞いてきた。

「いや、平民だよ。ただ、気が合うみたいでよく一緒に行動しているんだ。」

その問いに対して笑顔で答える。

すると、令嬢達はたじろぎながら、

「仲の良い方がいらっしゃって何よりですわ…。」

「少し急用がありますので…。」

「し、失礼いたします…。」

などと言いながら、僕の元から離れていった。

高位貴族はよく正妻以外に妾や愛人を作ることがある。僕と結婚したら妾を作られてしまうと感じたのだろう。

どんな令嬢だって愛してくれない夫、惨めな結婚生活は送りたくないと思うのが普通だ。

しかも、あんな美人を愛人にされたらたまったもんじゃないと思ったんじゃないかと思う。

もちろん、僕はセリスをそんな風に見ていないし、結婚したらその人だけを愛するつもりだけど。

女性に囲まれるのは苦手だし、今日だけはそうやってセリスを紹介することにした。

もしバレたら、ただじゃ済まないだろうけど…、そう思いながらセリスの方を見る。

「まあ、セリスはセリスで大変そうだから気づかないだろうしね。」

そう呟きながら僕は肩をすくめた。

次はミリアナも出てきます!!

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