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番外編5 出会いイベント〜ミリアナ視点〜下

ちょっと、長めです。

なんなの!?

急に、

「先に、中庭に行っておいてください!」

とか言ってヒロインである私を放っていくなんて!!

やっぱり、セリスティアを手懐けようとアドリブを入れたのが悪かったのかしら。

しくじったわ。これからは慎重にいかないと。



私が中庭に着くと、原作どおりにマリアンヌとその取り巻き令嬢達がゾロゾロと現れた。

「お、お姉様?」

驚いたフリをしながら言うと、

「本当に来るなんて馬鹿すぎるわ。」

マリアンヌが馬鹿にした様子で言った。

ふん、馬鹿はどっちよ!

ヒロインをいじめる奴ってだいたい馬鹿なんだから。

「えっ?どういう事ですか?」

それでも我慢してセリフを口にすると、マリアンヌの取り巻きの一人が、

「あんた、生意気なのよ!」

と言いながら、私をドスンと強く押してきた。

「マリアンヌ様のような高貴な方に馴れ馴れしいわ!」

もう一人も罵声を浴びせてくる。

そして、

「汚らわしいその手で触れないでくれるかしら?」

最後にマリアンヌも不敵な笑みを浮かべながらそう言った。

「えっと、あの、私!お姉さまと仲良くなりたくって…。」

私も即座にセリフを切り返す。

でも…。

このままだとまずい。非常にまずい。

早くセリスティアが帰って来ないと、私が第二王子と仲良くなれない!!

出自の事で私が慰める事になってるんだから!!

早く、早く…!

そんな風に思っていると、

「お、お姉様!」

不意に後ろから声がした。

パッと振り向くと、水の入ったバケツを抱えたセリスティアがいた。

ふっ。

私は思わず笑みをこぼした。

原作にはないけど、その行動はナイスよ!

私にかけてくれれば、後で第二王子が来た時にマリアンヌ達の罪の重さが明らかになるもの!!

馬鹿ながらいい事思いつくじゃない!

だが、

「この水を、あっ、わ!」

セリスティアは急いでこっちに来ようとしたのか知らないけど、バランスを崩した。

そして、あろうことか、

バッシャーン!!

マリアンヌ達にその水をぶちまけたのだ。

は?

えっ、ちょっ!何やって…!!

マリアンヌ達が何やら叫んでいたけど、そんなの頭に入ってこない。

あまりの展開に頭が真っ白になっていた。

そんな時、

「こんな所で、一体何の騒ぎだ!!」

最悪のタイミングで第二王子がやって来た。

そこで私もハッと我に帰る。

とりあえず、何とかしないと!第二王子を攻略しないといけないんだから!!

私が思考を巡らしていると、

「何があったかと聞いている。」

不機嫌そうに第二王子が再度聞いてきた。

ここは!

「な、なんでもないんです!第二王子殿下…!」

囲まれるようにして立っている私があからさまに隠すことによる健気な令嬢アピールでいくわ!!

「何にもないだと?この状況でか?」

第二王子は怒った様子で聞いてくる。

それでも私は、

「はい!」

隠し続けた。

すると取り巻き令嬢の一人が、

「何もないわけないでしょ!?本当に平民の癖に生意気なんだから!!」

と言った。

その瞬間、第二王子の方を見ると、明らかに怒りが増長した様子で、言い放った。

「出自で他人を貶めるなど、自分の心が醜い証拠だ。さっさと、立ち去れ!」

やった!何とか、ゲームの展開に戻せた!!

1人の取り巻き令嬢が原作のセリスティアのセリフに近い事を言ってくれたおかげで、第二王子のセリフを引き出せたのだ。

内心、踊りださんばかりに喜んでいると、マリアンヌ達はそそくさと逃げていく。

ふふん。良い気味だわ!

この私にたてつくのが悪いのよ!!

そう思いながら、逃げていく奴らを見ていると、視界に嫌なものが入った。

セリスティアだ…。

逃げもせず、モジモジしながら立っている。

一度私の邪魔をしておきながら、また邪魔するっていうの!?

本当に厄介すぎる!!

そう思って軽く睨み付けていると、

「わ、私はこれで…。」

やっと何処かへ行く気になったのか、そう口に出した。

そうよ。早くどっかに行ってよね。

だが、

「待て。」

第二王子が不意にセリスティアを呼び止めた。

セリスティアはビクッととして、振り向く。

「な、何でしょうか…?」

私は不満だった。

どうして、セリスティアなんかを呼び止めるのよ。私がいるんだからいいじゃない。

でも、様子を伺うために黙っていると、

「あの者達が1人の生徒を貶めるといった行為をしていたのは確かか?」

第二王子はセリスティアを威圧しながら尋ねた。

そんな第二王子が怖くなったのか、セリスティアは少し黙っていたけど、

「す、すいません!」

そう謝りながら、走って逃げていった。

「おい、お前!話はまだ終わっていないぞ!!」

よし!!

これで私のターンだわ!

セリスティアを呼び止めるから、結構焦ったけどそれも私に有利な質問をするだけだったしね。

そして、

「第二王子殿下、私の義姉達による御無礼をお許し下さい。」

私は第二王子の正面に跪いて礼をした。

私はあいつらと違って無作法じゃありませんよアピールはしとかないとね!

「いや、お前が悪いわけではないだろう。だが、お前の義姉達はいつもああなのか?」

第二王子は私に立つよう促しながら、そう聞いてきた。

「いえ、まあ、私の母は平民上がりの後妻なので…。気に食わないみたいです。」

私は困ったような笑みを浮かべて言った。

まあ、セリスティアの母親も平民いや、娼婦で私よりも身分的に低いんだけどね。

私の心の中などつゆしらず、

「お前も大変だな。イーディス侯爵家の血を引いているのは確かだというのに。」

第二王子は少し悲しげに言った。

第二王子のポイントは王妃の息子ではなく、妾の息子である事。

ここでちょっと慰めれば、攻略はちょろいんだよね!!

だから、私は

「第二王子殿下もそのような悩みがあるのですか?」

と、尋ねた。

第二王子は驚いた様子もなく、

「俺は兄上と母親が違うから。」

答え慣れたかのように言った。

よし!

ここで原作にあったヒロインの最高の一言よ!!

「では、私と同じですね。」

そう言って私はそっと笑みを浮かべた。

さっきと表情が打って変わって、驚きの表情を第二王子は浮かべている。

あと、一押しよ!

そしてその表情のまま、

「お前も義姉達と比べられたりするのか。」

と聞いてきた。

ふん。そういえば、優秀な王太子と比べられてたんだっけ。

まあ、第二王子ってかなりのハイスペックだけど、王太子と比べたら無能に近いもんなー。

やっぱり、最終的には王太子を攻略しないとね!!

でも、ここはヒロインのセリフを言っておくか!

「私は一緒に暮らし始めて間もないのであまり比べられたことはありませんが…、頑張りすぎも良くないと思います。自分がしんどいだけなんですから。」

第二王子のずっと張り続けている気を緩めてあげる最高の一言を口にした。

どうよ?

私は第二王子の様子を伺うためにバレないように顔を見ていると、

「そうか。お前の言う通りかもしれない。」

案の定、第二王子の顔が晴れてきた。

そして、私は心の中で叫ぶ。

1人目、攻略完了よ!!



数日後

「殿下!今日は中庭で一緒にお昼を食べませんか?」

思った以上に事は上手く進み、私はお昼を誘えるほど第二王子と仲良くなった。

「ああ、いいだろう。」

ふっふっふっ!!攻略対象、ちょろくない?

簡単に攻略出来ちゃったんですけど!

私が心の中でほくそ笑んでいると、急に嫌な視線を感じ取った。

ハッとそっちを向くと、レアナ・ランブロウの姿があった。

こいつは私が男達に愛嬌を振りまいていた時に注意してきた嫌な奴。

このクラスの令嬢で1番地位が高いのかなんのか知らないけど、私の邪魔をしようものなら容赦はしないわ!!

私は、聖女であり未来の王妃。この物語の主人公なんだから!!

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