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ペア

アルって誰だろ?

そう思っていると、

「久しぶりだね。」

後ろから声をかけられた。

咄嗟に振り返ると、アルフレッドの姿があった。

アルってアルフレッドのことだったのねと1人で納得していると、

「団長はお前に任せすぎじゃないか?」

「いつものことだよ。」

ゼンとアルフレッドが仲良さげに話していた。

「えっと、2人は知り合い?」

ゼンは平民だし、アルフレッドと関わりがあるとは思えないんだけど。

そう思って尋ねると、

「俺の母親が公爵家で働いているんだ。」

ゼンが早口で答えた。

なんか、焦っているように見える。

「だから、幼馴染みたいなもんなんだよ。」

アルフレッドもそう付け足した。

少し不自然に思いならも、

「そうなんですか。仲良いんですね。」

私が言うと、

「まあね。あと、敬語は使わなくて良いよ。ここでは団長と副団長以外は皆、先輩後輩関係なく話してるんだ。だから、僕の事もアルって呼んでくれたら嬉しいな。」

アルフレッドは爽やかな笑顔で言った。

「分かりました。いや、分かった。」

敬語を使いそうになって、言い直す。

「それより、他の奴らはいないのか?」

ゼンがアルに聞く。

「いや、今日は第三騎士団に応援にいってるんだよ。王都に魔獣がでたらしくて。」

アルは困ったように言った。

魔獣?その言葉に疑問を持つ。

この世界に魔獣なんていたの?

私が首を傾げていると、

「お前、魔獣を知らないのか?」

ゼンが呆れたように言った。

その様子にイラッとしながらも、

「知らない…。」

と答えた。

すると、

「魔獣っていうのは、文字通り魔法を使う獣のこと。火とか急に出してくるからかなり危険。もし、出現したら即行、騎士団に連絡するよう義務付けられてる。」

意外にもしっかり説明してくれた。

「だから、実力者揃いの第一騎士団が駆り出されたんだよ。獣とかの担当は第三騎士団なんだけどね。」

アルも説明してくれる。

「騎士団によって、役割があるの?」

私がさらに聞くと、

「あるよ。第一騎士団と第二騎士団が城や王都の警備、王族の護衛。第三騎士団が魔獣とか獣とかの駆除。第四騎士団が地方で起きた揉め事の処理とかの担当。戦争に備えての訓練はどこもやってるけどね。」

アルが軽く説明してくれた。

「第一騎士団の詳しい説明は団長にしてもらってね。」

という言葉も付け加えて。

「ということで、今日は団長も副団長もいないし、他のメンバーもいないから説明はここまでかな。一応、3人で自己紹介でもしとく?」

話が尽きたところでアルがそう言った。

そういえば、ゼンの事はあんまり知らない。

アルの事はめっちゃ知ってるけど。

そう思ってチラッとゼンを見た。

すると、ちょうどゼンも私の方を見ていて、目が合う。

「「何?」」

またしても、言葉が被る。

ってか、よくこいつと言葉被るな!!

「じゃあ、一応しとこうか。僕はアルフレッド。18才。一応公爵家出身だけど、ここではそういうの関係ないから気軽に接してね。」

不穏な空気を察したアルがサッと自己紹介をした。

「ほら、ゼン。君も!」

そして、ゼンに自己紹介を促す。

「俺はゼン。今は15で今年16。」

気ののらない様子でゼンも自己紹介をする。

1つ年上か。なんか意外だな。雰囲気が大人っぽいからアルと同じくらいだと思ってた。

「えっと、私はセリス。今は14才だけど、今年で15です。」

私も続いて自己紹介すると、何故かアルとゼンが驚いた様子でこちらを見る。

何かと思っていると、

「えっ、セリスってまだ14才なの?」

あり得ないというふうにアルが聞いてきた。

「えっ、そうだけど。」

私って老けてるのかな。ユラも成人して見えるって言ってたし。

「普通に成人してると思ってた。」

ゼンも言う。

悪口で言ってるわけじゃないのは分かるんだよ?

でも、何となく…傷つく…。

「私って、老けて見えるかな…?」

恐る恐る聞くと、

「いや、別に。雰囲気が大人っぽいだけだろ?」

ゼンがあっけらかんと言った。

「そうそう!老けて見えるわけじゃないよ!」

アルも焦ったように言う。

2人の言葉で安心する。

「良かった…。ていうか、ひどいよ!私はまだまだ若いんだから。」

少し怒り気味に言うと、

「すぐに怒るところは完全に子供だぞ。良かったな。」

ゼンが私の神経を逆撫でするようなことを言ってくる。

「そうやって憎まれ口を叩くところはそっちも子供なんじゃないの!?」

「はいはい。お前はガキだよ。良かったな。」

「な、な、なっ!!」

言い合いに発展しそうになったところを、

「もう、何でこうなるかな。一旦落ち着こう。セリス。」

アルに宥められる。

なんか、私が悪いような感じなのが腹立つけど!!

こんな感じで今日は解散となった。



次の日

「お前ら、2人でペアな。」

第一騎士団の仕事場へとついた瞬間、団長にそう言われた。

はい?突然すぎて何言ってんのか全く分からない。

いや、こいつ何言ってんの?

私が固まっていると、

「団長!ちゃんと説明しないと分かんないでしょうが!少ない知能を使って考えてくださいよ!!」

誰かがものすごい失礼な言葉と共に団長の頭を思いっきり叩いた。

バシンッ!!

「おまっ!何すんだよ!!」

団長は痛そうに頭を抱える。

「ごめんね。うちの団長、頭悪くて。」

そんな団長の抗議を見事にスルーして、私達に笑いかけた。

うわっ、綺麗な女の人。その人の初めの印象がそんな感じ。

流れる紫色の髪に黄色い瞳。女性にしては高い身長。

お姉様って呼びたくなる感じだ。

「本当に私は嬉しいのよ!女の子が入ってきてくれたんだから!!私だけだったのよ!女子は!!」

そう言って抱きしめられた。

「女子っていう歳じゃない…ガガガ!!」

失礼な事を言おうとした団長にその女の人は回し蹴りを喰らわす。

モロに喰らった団長は後ろに倒れていた。

「その人はステラさんだよ。この騎士団の姉御って感じかな。」

ノックアウトしている団長の代わりにアルが説明してくれた。

「よろしくね!えっと、セリスちゃんだったかな?」

やっと離してくれたステラさんが言う。

「はい!よろしくお願いします!!」

「やだなー。敬語なんて使わなくていいんだよ?本当に可愛い!」

また抱きしめられた。



「オホン。全員揃ったところで自己紹介といこうか。」

回復した団長が言う。

「はいはい。私からね!私はステラ・ファーネス。

歳は24です。一応貴族だけど、貧乏すぎて騎士団に入りました!だから、気軽に話しかけてね!」

ステラさんが最初に言う。

「じゃあ次は私が。私はジョニー・ハリス。歳は

28だ。よろしく頼む。」

「次は俺が!俺はクロード・マーティン。歳はちょうど20!よろしくな!」

「僕はもうしたけど、アルフレッド・モンフォールだよ。よろしく。」

その後アルを含めた3人が自己紹介をしてくれたところで、

「俺はゼン。今年で16。よろしく。」

「私はセリスです。今年で15です!」

私達新人組も挨拶を済ませた。

また、私の歳に驚かれたけど、昨日の事で慣れたからそこまで動揺しなかった。

ステラさんは

「えっ?私はそれくらいと思ってたけど。」

って言ってくれたしね!!

自己紹介が終わったところで、さっきの団長の言葉を思い出す。

ペアって何だろ?

団長に尋ねようとすると、

「これで全員じゃないですよね?」

先にゼンが団長に尋ねた。

団長は

「あぁ。他の奴らは違う任務にあたってんだよ。ちなみにさっき言ってたペアってやつも関係しててな。」

と、ゼンの質問に答えながらペアの説明もしてくれた。

「2人でペア作ってペアごとに任務にあたるんだ。今年はちょうど2人入ってきた事だし、お前らがペアってわけだ。」

「ちなみに私のペアはクロード。アルとジョニー、団長と副団長。ってところかな。」

ステラさんが付け加える。

じゃあ、私はゼンと任務にあたるってわけか。

待てよ、これって…。

これって、ラッキーじゃない!?

ペアって事は一緒にいることが多くなるんだよね?

ってことは、あの動きを見極められるかもって事だよね?

それに気付いた私は俄然テンションが上がってきた。

「よろしく!ゼン!!」

目を輝かせながら言葉をかけると、

「何でそんなに嬉しそうなんだ…?」

困惑したようにゼンが聞いてきた。

言い合いばっかりだったから、びっくりしてるんだろう。

そして、私は言い放つ。

「性格はともかく、ゼンの動きはすごいと思ってるから!近くで見られるって事だよね!?」

もっと強くなれるチャンス!!

「ふっ。」

私の言葉に後ろにいたアルが吹き出した。

「セリス、面白い…。ふっ…。」

えっ、私何か面白い事言ったっけ?

私が首を傾げていると、

「お前がそういう奴だってことは分かった。」

ゼンが複雑そうな表情で言う。

「そういう奴って?」

私が聞くと、

「何でもない。よろしく、セリス。」

ゼンは軽く笑う。

誤魔化されたような気はしたけど、笑ったゼンを見て、思った。

結構、仲良くやれそうなんじゃない?

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