風の中
軽い程度のBL要素が含まれます。
苦手な方はご注意ください。
心地よい風の中。目が覚めた。
「ん…………………」
軽く伸びをして目をこする。2時間ほど経っただろうか。
俺、小鳥遊 秋が寝ていたのは木の上で、よく落ちなかったものだと自分でも感心する。
ま、落ちたら落ちたでケガはしないんだけども。
と心の中で毒づいていると歩いてくる人影が見えた。
「なんだ、健介か。」
そう呟いて長年愛用している銃に弾を装填し、躊躇いもなくトリガーを引く。
銃声が鳴り渡り、近くに居たらしい鳥が数羽飛び立つ。
数瞬の沈黙のあと、標的を見てみる。
「ありっ。」
なんと標的はこちらにナイフを向け、佇んでいた。
「ありっ。じゃない。お前そんなとこで何やってんだバカか」
と呆れたようにそう言われ腹が立ったので
「お前こそなんで死んでないんだよクソが」
と言い返してみる。
よく見ると銃弾は真っ二つに割れ、標的……健介の両側の地面に突き刺さっていた。
「お前……弾を切ったのか?」
と聞くと
「そうだ。」
とこれくらい朝飯前だという顔で頷くので無性にイラついた。
「あ~あ~そうですか~すごいですね~」
と嫌味ったらしく言いながら木から飛び降りる。
その瞬間。
シュンッッッッッ
という音が耳元を通っていった。
いや、音じゃない。ナイフだ。
ナイフが俺の左スレスレを通っていったのだ。
左頬からツーと血が流れ落ちる。
「…………………………………チッ」
俺は急に健介に詰め寄り、胸ぐらを掴みそして…
キスをした。
見開かれた健介の目。ざまぁみろ。
数秒後、唇を離す。
どんな反応をするだろう。
すると、
「…………ハァ…」
と健介は大袈裟にため息をついた。
そして胸元を整えながら言う。
「お前さんは何しちゃってくれてるんですか。」
「何って、キス」
「いやそうじゃなくて」
「何がだよ」
「いやそうなんだけど」
何が言いたいんだろう。やはりバカはお前じゃないのか。
そう考えていると、健介が歩き出す。
「あっ、ちょっ、待てよ!!」
小走りで追いついて聞いてみる。
「どうだった」
「何が」
眉間にシワがよっている。
「えっそんな怒んなくても良くない?」
「怒るわ。木の上で寝てるわいきなり発砲してくるわキスしてくるわ行動が滅茶苦茶だろ」
「撃ったのは謝る。だが反省はしていない」
「お前…」
般若みたいだ。
「んで、キスはどうだったよ。」
ニヤニヤしながら聞いてみると
「正直悪い気はしなかった」
とかバカ真面目に答えてくるのでこっちが照れてしまう。
一人で赤面していると
「おま、照れるなら聞くなよ…」
と言ってきた。俺もそう思う。
「んで、今日の晩メシ何だよ。」
と照れ隠しに聞くと、
「ハンバーグ。」
と魅力的なことを言ってくる。
「おっしゃ、やりぃ!」
そう叫ぶと、健介がフッと笑う。
「なんだよ。」
「いや、ガキみてぇだなと思って」
「うっせぇ。好きなんだよ、ハンバーグ」
「知ってる。」と健介は言い………青い顔をする。
何事だよ。と思っていると
「やっべぇ!さっきの衝撃で卵割れてんじゃねぇか!あれハンバーグのタネで繋ぎに使うんだよ!!お前、何してくれんだよ!」
わぁ、大変だ。よく見たら近所のスーパーのレジ袋持ってる。
なんかバツが悪いので
「てめぇこそハンバーグの材料持ってんなら先に言ってくれよな!てか割るのが少し早いだけだろ!!気にすんな!!」
と健介を励ましてみる。
「お前はそれどの立場で言ってるんだよ…」
まったくだ。
心で相槌をうつ。
「それより早く帰ろうぜ。ハンバーグ食いたい。腹減った」
「あぁ……」
諦めたように健介が頷く。
「食器洗いはお前だからな。」
「ハンバーグの油落とすの大変なんだよなぁ…健介やってくれよ。」
「料理はオレ担当、それ以外は秋だろ、ふざけんな」
「チェッ。ケチくせぇ。」
と呟くと
「殺すぞ。」
とナイフを向け脅してくる。
やめろ、お前が言うとシャレになんねぇ。あと顔怖い。
「わかったわかった、落ち着け」
慌ててそう言うと、健介はナイフをしまう。
すると健介がじっと見つめてくるので
「…なんだよ。」
と聞くと、
「…ほっぺた、大丈夫か」
と言ってきた。
……………………これは意外だ。
心配してんのか。健介が。健介なりに。
俺はそんな健介が愛おしかったけど、意地を張った。
「誰かさんに鍛え上げられたおかげで、これくらい屁でもない。」
「あっそうですか、それはそれは。」
健介が応える。
他愛もない話をしながら家へ向かう。
見上げれば空に赤みがかかってきていた。
心地よい風の中。君の隣で歩く。
初の小説となりました!
この二人は実はマフィアの一員です。
今回は二人の関係性を知ってもらいたいと思い普段の日常をお送りしました。
マフィア関連の話や二人の過去はこれから綴っていこうと思います。
名前の読み方は
小鳥遊 秋
清宮 健介
です。
慣れないこともあり、言い回しや改行など、読みにくい部分が多々あると思われますが、大目に見てくださると幸いです。
ではまた。




