第三十五章 Sランクへの挑戦
グランヴェルのギルド。
俺が到着すると、リリアが笑顔で迎えてくれる。
「レオンさん、お帰りなさい!」
「ただいま」
「天空の塔を攻略されたんですね!」
「ああ」
俺は天空の王の魔石を見せる。
白く輝く巨大な魔石。神級を超える、天級の魔石だ。
ギルド内がざわつく。
「天級の魔石だと!?」
「伝説中の伝説……」
ギルドマスターが奥から飛び出してくる。
「レオン!本当に天空の王を倒したのか!?」
「ああ」
「信じられん……天空の王は千年以上誰も倒せなかったのに……」
ギルドマスターが深々と頭を下げる。
「ありがとう、レオン。お前のおかげで、王国の歴史に新たな一ページが刻まれた」
「礼はいらない」
リリアが報酬を用意する。
「報酬は金貨四千枚です!」
俺は報酬を受け取った。
所持金は四万一千枚を超えた。
「それと、これも」
俺は天空の聖剣を見せる。
白く輝く剣。
「天空の聖剣……伝説の武器ですね。魔王の剣と対をなす存在です」
リリアが感嘆する。
「レオンさんは光と闇、両方の力を持ったんですね」
「そうだな」
ギルドマスターが真剣な表情になる。
「レオン、これでAランクの依頼は全て完了だ」
「ああ」
「そして……いよいよSランクの依頼だ」
ギルドマスターが一枚の依頼書を取り出す。
赤い封印がされた特別な依頼書だ。
「魔神の封印。北の極地にある古代遺跡に、魔神が封印されている」
「その封印が弱まっているんだな」
「ああ。このままでは、一ヶ月以内に封印が破られる。そうなれば、大陸全体が滅びる」
ギルドマスターが深刻な表情をする。
「魔神とは、魔王の上位存在。かつて世界を滅ぼしかけた究極の災厄だ」
「倒せばいいんだな」
「……レオン、無理をするな。魔神は我々の想像を絶する強さだ」
「問題ない。俺は勝つ」
ギルドマスターが俺の目を見る。
そして、頷く。
「分かった。お前を信じる」
ギルドマスターが依頼書を俺に渡す。
「北の極地まで、通常なら一ヶ月かかる。だが、お前の飛行速度なら……」
「三日だ」
「そうか……明日、出発するか?」
「いや、今日出発する」
「今日!?」
「時間がないんだろ?なら、早い方がいい」
リリアが心配そうな表情をする。
「レオンさん……気をつけてください」
「ああ。必ず戻る」
俺はリリアにお守りを見せる。
「これ、ちゃんと持っている」
リリアが涙ぐむ。
「はい……待っています」
俺はギルドを出た。
そして、飛行魔法で空に浮かぶ。
北の極地。
魔神が待つ場所。
最後の、そして最強の敵。
俺は全力で北へ飛ぶ。
天空の聖剣の効果で、飛行速度が倍になっている。
通常なら三日かかるところを、一日半で到着できるだろう。
俺は一日中、ノンストップで飛び続けた。
治癒魔法で疲労を回復しながら。
そして、翌日の夕方。
俺は北の極地に到達した。
一面の雪と氷。
気温はマイナス五十度以下。
だが、俺は魔力で体温を保っている。
そして、遠くに巨大な遺跡が見える。
古代の神殿のような建造物。
だが、周囲には不気味な闇のオーラが漂っている。
魔神の封印場所だ。
俺は遺跡に降り立った。
入口には巨大な扉がある。
扉には複雑な魔法陣が刻まれている。
封印の魔法陣だ。
だが、その魔法陣には亀裂が入っている。
封印が弱まっている証拠だ。
俺は扉を開ける。
中は薄暗い。
だが、透視で内部が見える。
長い通路が続き、その先に巨大な空間がある。
そして、その中央に「それ」がいる。
魔神だ。
巨大な人型の存在。
高さは百メートル以上。
全身が黒い鎧に覆われ、無数の角が生えている。
そして、周囲には圧倒的な魔力が渦巻いている。
これまで戦ってきた全ての敵を遥かに超える魔力。
だが、今はまだ封印されている。
無数の魔法の鎖が魔神を拘束している。
俺は通路を進む。
魔物は現れない。
魔神の魔力が強すぎて、他の魔物が近づけないのだろう。
そして、俺は魔神の前に到達した。
魔神の目が開く。
六つの目が俺を見下ろす。
「……久しぶりだな……人間よ……」
魔神が口を開く。
低く、響く声。
「我は魔神ベルゼブブ……千年前、この世界を滅ぼそうとした者だ……」
「俺はレオン。お前を倒しに来た」
「倒す?……フフフ……面白い……」
魔神が笑う。
「だが、我は今、封印されている……戦うことができぬ……」
「封印を解除する。そして、正面から倒す」
「……何?」
魔神が驚く。
「貴様……自ら我を解放するというのか?……」
「ああ。封印されたままでは、お前の真の力が分からない」
「フフフ……狂っているな……だが、気に入った……」
魔神が嬉しそうに笑う。
「ならば、望み通りにしてやろう……我を解放せよ……そして、全力で戦おう……」
俺は封印の魔法陣を解析する。
複雑な構造だが、俺には理解できる。
そして、解除の手順を実行する。
「封印解除」
無数の魔法の鎖が消えていく。
魔神が自由になる。
そして、立ち上がる。
高さ百メートル以上の巨体が動く。
遺跡全体が揺れる。
「ああ……自由だ……千年ぶりの自由だ……」
魔神が両手を広げる。
その瞬間、周囲の魔力が爆発的に増大する。
遺跡が崩壊し始める。
俺と魔神は空中に浮かぶ。
周囲は雪原。
戦場としては申し分ない。
「さあ、人間よ……貴様の力、見せてもらおう……」
魔神が構える。
最終決戦が始まる。




