第二十七章 王都アルカディア
王都アルカディア。
上空から見ると、その巨大さが分かる。
城壁に囲まれた巨大都市。人口は百万人を超えるという。
中央には巨大な城がそびえ立つ。
俺は城の前に降り立った。
門番が驚いた表情で俺を見る。
「あ、あなたは……空から……」
「レオンだ。国王に呼ばれた」
「レオン!?深淵の覇者の!?お待ちしておりました!」
門番が慌てて門を開ける。
城の中に入ると、豪華絢爛な内装が広がる。
だが、俺は興味がない。
執事が案内してくれる。
「こちらへどうぞ。陛下がお待ちです」
玉座の間に通される。
そこには、王冠を被った中年の男が座っている。
国王アレクサンダー三世だ。
「よく来てくれた、レオン殿」
国王が立ち上がり、俺に歩み寄る。
「君の活躍は聞いている。深淵の迷宮を完全攻略した英雄だ」
「英雄ではない。ただの冒険者だ」
「謙遜するな。君は歴史に名を残した」
国王が笑う。
「さて、本題に入ろう。封印された魔獣についてだ」
国王が手を振ると、床に魔法陣が浮かび上がる。
地下への入口が開く。
「ついて来てくれ」
俺は国王と共に地下へ降りる。
深い、深い地下。
やがて、巨大な空間に到達した。
そこには、巨大な魔法陣がある。
直径百メートル以上の複雑な魔法陣。
そして、その中央に「それ」がいた。
古代の魔獣――カオスドラゴン。
全長二百メートル以上の超巨大な竜。
全身が黒い鱗で覆われ、六つの目を持つ。
そして、全身に無数の鎖が巻き付いている。
魔法の鎖だ。
「これが……カオスドラゴン」
国王が言う。
「千年前、この魔獣が暴れ、王都の半分が破壊された。当時の英雄たちが総力を結集し、やっと封印できた」
「それが今、封印が弱まっている?」
「そうだ。見てくれ」
国王が指差す。
魔法陣の一部が薄くなっている。
鎖の一部も透明になりかけている。
「あと数ヶ月で封印が完全に破られる。そうなれば……」
「王都が壊滅する」
「その通りだ。レオン殿、君の力を貸してほしい」
俺は魔法陣を透視する。
複雑な魔法の構造。
だが、俺には理解できる。
「修復できる。だが、時間がかかる」
「どれくらいだ?」
「一週間はかかる。そして、俺一人では足りない。魔力が足りない」
「では、宮廷魔術師たちを総動員する」
「それでも足りない。この魔法陣を維持するには、莫大な魔力が必要だ」
国王が考え込む。
「……では、どうすればいい?」
「二つの方法がある」
「聞かせてくれ」
「一つ、封印を強化するのではなく、魔獣を完全に倒す」
「しかし、封印されたままでは……」
「封印を一時的に解除し、俺が倒す」
国王が驚愕する。
「無茶だ!封印を解除すれば、魔獣が暴れ出す!」
「だから倒す。俺なら可能だ」
「だが……」
「もう一つの方法は、封印魔法を根本から作り直すことだ。だが、それには一ヶ月以上かかる」
国王が悩む。
「……分かった。レオン殿を信じよう。封印を解除し、魔獣を倒してくれ」
「了解した」
俺はカオスドラゴンの前に立つ。
深呼吸をする。
そして、魔法陣に手を触れる。
「封印解除」
魔法陣が光り、消えていく。
鎖が外れる。
カオスドラゴンの六つの目が開く。
「グルルルル……」
魔獣が動き出す。
千年ぶりの解放。
そして、咆哮する。
「グオオオオオオオッ!」
その咆哮だけで、地下空間全体が揺れる。
国王が後ろに下がる。
だが、俺は動じない。
「来い、カオスドラゴン。俺が相手だ」
最強の魔獣との戦いが始まる。




