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悪党には死を 理不尽な暴力が嫌いな男  作者: 慈架太子


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第十六章 北の鉱山


 半日の飛行の後、俺は北の鉱山に到着した。


 山の斜面に掘られた大きな穴。そこが鉱山の入口だ。


 周囲には粗末な小屋がいくつも建っている。盗賊たちの拠点だろう。


 俺は上空から全体を見渡す。


 見張りが数人。小屋の周辺にも盗賊たちが巡回している。


 だが、すぐに襲撃するのではなく、まずは情報収集だ。


 俺は少し離れた森に降り立ち、超能力を使うことにした。


 クレヤボヤンス――透視。


 俺は目を閉じ、魔力を集中させる。意識を鉱山の方へ向ける。


 視界が変わる。壁を透過して、内部が見える。


 鉱山の中には……労働者たちがいる。


 ボロボロの服を着て、鎖に繋がれ、鉱石を掘らされている。


 男、女、子供……年齢も性別も関係なく、全員が奴隷のように働かされている。


 そして、盗賊たちが鞭を持って監視している。


「許せない……」


 俺の中で怒りが湧き上がる。


 次に、クレアオーディエンス――念聴だ。


 俺は聴覚を研ぎ澄ませ、遠くの音を聞く。


 盗賊たちの会話が聞こえてくる。


「おい、もっと働け!サボってんじゃねぇ!」


 鞭の音と、労働者の悲鳴。


「ひぃっ!す、すみません!」


「こいつら、もう限界だな。死んだら新しいのを捕まえてくればいい」


「へへ、近くの村から拉致してくるか」


 別の場所からも会話が聞こえる。


「ボスはどこだ?」


「奥の部屋で酒飲んでるよ。今日は大量に鉱石が採れたからご機嫌だ」


「よし、じゃあ俺たちも休憩するか」


「おう、労働者どもには休憩なんてやらねぇけどな、ははは!」


 俺は盗賊たちの配置を透視で確認する。


 外の小屋に二十人、入口の見張りが十人。


 鉱山内部、通路に五人、採掘場に二十五人。


 休憩所に十人。


 奥の部屋に二十人。


 そして、最奥の部屋にボスと幹部が十人。


 合計でちょうど百人。


 労働者は五十人ほど。全員が衰弱している。


 俺は情報を整理した。


「まず、外にいる盗賊たちを無力化する。次に鉱山内部に侵入し、労働者を救出しながら盗賊を倒していく。最後にボスを倒す」


 だが、労働者たちを傷つけないように注意しなければならない。


 大規模な魔法は使えない。


 ゴーレムも使うが、制御を慎重にしなければ。


 俺は深呼吸をし、作戦を練った。


 夜を待つ。盗賊たちが油断する時間帯だ。


 そして、俺は一人ずつ確実に無力化していく。


 マスク魔法、念動力、瞬間移動……全ての力を駆使する。


 悪党には容赦しない。


 だが、無実の労働者たちは必ず守る。


 それが俺の正義だ。



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