♯「光の中の約束」
今日は瑞月堂はお休みです。
なぜなら、朝から大きな揺れがあって、本棚の本が何冊も落ちてしまったから。
不幸中の幸いは、本棚は倒れないように天井に固定していたことでしょう。
本当に、怖いわね……。
再びの揺れを警戒していた瑞月さんは、カウンターの下からひょこりと頭を出し、今日はおやすみ……にするしかないわね……と、ため息を付きながら、無惨に落ちた本を眺めました。
♪ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━♪━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ♪
「光の中の約束」
https://ncode.syosetu.com/n2384ff/
作:高山 由宇さま
最近地震が増えていますよね。
地震だけではなく、温暖化の影響で災害が大きくなっているそうです。
そして、この高山 由宇さまのお話は、東日本大震災がきっかけで古い友人を訪ねていく女性のお話になります。
1978年に起きた宮城県での地震で身寄りを亡くした少女ふたりナナとユキは「ひまわり」という施設で中学卒業までを過ごします。
ナナは、都内の高校へと進学、ユキは「ひまわり」の職員として働くことを決めました。
そのお別れ記念に、地元で開かれるイルミネーションのお祭りへとふたりで参加し、また一緒に行こうと約束しました。
とても印象的で彼女たちの心に刻まれるように残った記念日です。
だけど、都内での生活は忙しく、ナナはユキを尋ねる時間も取れません。さらには、引っ越し先の住所も教えていないことに気付きました。
時間だけがどんどん過ぎていきます。
その間に就職し、結婚し……もうユキ忘れているだろうなと思っていた時、あの大震災が起きたのです。
震源近くの「ひまわり」
ナナは、心のどこかで引っかかっていた「約束」の地へと向かいました。
結末は是非皆さまの目で見てください。
そして、果たせていない約束はありませんか?
災害はいつやってくるか分かりません。過去に思いを馳せたくなる、そんなふたりのお話です。
♪ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━♪━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ♪
幸い瑞月さんの地域を襲った地震は、その後の余震もなく一度きりの揺れで治まりました。
だけど、大切な本は落ちたまま。
このままにはしておけません。
そっと手に取り、本に傷がないかどうかを確かめながら、丁寧に本棚に本を戻していきます。
そうね、誰かの大切な気持ちだもの。
本棚の本がどうやったら落ちてこないのか、もっと考えなくちゃ。
気持ちを引き締めた瑞月さんは、気合いを入れるために「よしっ」と声をあげました。
瑞月堂通常開店はこれで終わりです。70話という長いお付き合いを本当にありがとうございました。
明日は、特別仕様で完結となります。





