エピローグ ― 愛の果てに
嵐のような陰謀と不安を乗り越えた二人は、互いをただ「夫婦」としてではなく、「愛する人」として選び取った。
幾度も揺らぎそうになった絆は、試練を経てこそ強く固まり、やがて一つの命を迎えるまでに至った。
セリーヌにとって、公爵夫人としての未来は最初、重荷でしかなかった。
しかし今は、愛する人の隣に立ち、幼い我が子を胸に抱くその重みを、誇りとして受け止めている。
レオンハルトにとっても、完璧な公爵ではなく「ただの男」として心を預けられるのはセリーヌだけだった。
彼は戦場でも政治の場でも揺るがぬ強さを見せたが、その胸に灯る温もりは妻と子こそが与えてくれるものだった。
――こうして、グレイヴ公爵夫妻の新しい物語は始まった。
その先に待つのは、幾千の喜びと幾ばくかの困難。
けれど二人はもう知っている。
愛する人と共に歩む限り、どんな道も恐れることはないのだと。
作者あとがき
本編では、愛のない政略結婚から始まった物語が、互いの信頼と覚悟によって「真実の夫婦」へと至る過程を描きました。
セリーヌが抱えていた「愛されていないのでは」という不安、レオンハルトの「守りたいがうまく伝えられない」という不器用さ――二人の心のすれ違いは、敵の陰謀さえも利用して試され続けました。
ヴァロア侯爵家との対立は一つの大きな試練でしたが、それは同時に二人の心を試すものであり、結果として「互いに選び合う」強さを生むきっかけとなりました。
外伝では、結婚後の二人の歩みを覗くことで、より身近で温かな日常を描きました。
新婚の戸惑い、初めての喧嘩、誕生日のサプライズ、そして新しい命の誕生。
彼らの物語は、派手な陰謀劇を越えた後、穏やかで確かな幸せへと続いていきます。
本作はここで幕を閉じますが、セリーヌとレオンハルト、そしてアルノーの物語はこれからも紡がれていくでしょう。
――読んでくださった皆様に、心よりの感謝を。




