『♡ Kyoko Love ♡』16
16.
森田が連れて来た岡本奈々に何故か懐かれてしまい、焦る
垣本だった。
普通なら森田に悪いとは思いつつ、これは喜ぶところだろう。
男ならオッサンのこの年にして若い女子から懐かれるなど
垂涎ものだ。
しかし今の自分には嬉しくもなんともないことだった。
何故なら石川恭子との縁を真剣に考えていたから。
当初より垣本は飲み会のメンバーの女性陣を見回した時
もし自分が交際相手に選ぶとしたら恭子しかいないと思って
いたのだ。
しかし周りでは日を置かずにカップルが次々と出来、
そうかと思えば次々の破局。
目まぐるしく変化する周囲の変化に。
とても恭子と個人的に距離を縮められるような状況では
なかった。
そして垣本は何より恭子に対して積極的に出られない
事情を抱えてもいたことで。
学生時代グループ交際していた姫野実彩子とは
社会人になり繁華街でばったり再会したことから個人的に
付き合い出した。
途中一度破局したけれど、実彩子からの連絡で復縁し
復縁した後は結婚を意識してつきあってきた。
『他の人と付き合ってわかった、私には垣本くんしかい
ないって』
それからはどちらかというと実彩子のほうがふたりの
交際に積極的に見えた。
そろそろ結婚を、と考えていた時期に突然実彩子から
結婚は考えられないから交際は続けていけないと断られた
過去。