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第77小節
わたしの3回目の演奏会が終わった。
いまできるうるかぎり、わたしのすべてを総動員した全力の演奏をした。
何も疑うことなく、ありのままの心のままで。
わたしが、想う、彼の曲を。
だけど答えを見つけたばかりで、どこかあやふやな演奏になってしまったような、そんな悔しさもあった。
弾き終えた瞬間、わたしは目をつむった。
お客さんは拍手してくれた。
笑顔で帰ってくれた。
クレアも、控え室にもどってグッジョブといってくれた。
どこか晴れない顔のわたしに、クレアは、練習あるのみ、といった。
世界一になるには世界一練習すればいいだけの話よ、と。
まあそれはそうね、とわたしは答えた。
誰もできないけど、できたらほんとうに世界一なんだからね、とクレアは念を押した。
そうね、とわたしはうなずいた。
クレアはほんとうにそうしているのだと思った。
すごいよ、クレア。
追いつけないよ。
連弾、練習しよ、とクレアはいった。
うん、とわたしは微笑んだ。
それからクレアがスマホでハイヤーを呼んだ。




