第21小節
波音は、深い眠りに、いざなう調べ。
なので、おなかが減る。
ロールパンひとつ取りすぎたのを波のせいにしながらレストランで朝食を食べていたら、支配人がやってきた。
何かを口にしたときにやってくるのは偶然なのかしら。
「食事中ごめんなさいね」
と支配人がいった。
「いえ……」
とわたしはもぐもぐしながらそういってゴクリとパンをのみ込んだ。
「お知らせがあります」
「何でしょうか」
「今日のリハーサルはお休みになります」
「あっはい、えっ?」
「ということです」
「あの」
「はい」
「体調が悪いとか、なんですか?」
「いいえ。取材です」
「演奏会のですか?」
「ええ。この際、ホテルに殺到されてもお客様にご迷惑をおかけしてしまいますので、こちらから出向くかたちをとりました」
「そうですか」
「ホテルでの取材にはいっさい応じないことを厳命いたしますのでご安心下さいね」
「あ、はい」
「では」
「あの」
「はい」
「キャンセル……」
「ああ、お友だちの」
「すみません」
「学園のお友だちでしたね」
「ええ、おなじピアノ科の」
「だったらどうでしょう」
「はい」
「あなたの控えとして、あなたのとなりに席をもうけるというのは」
「ああ、いいですね」
「特等席です。彼にはわたしから話しておきます」
「ありがとうございます。すごくよろこぶと思います」
「何よりです。都合のいい日を知らせて下さいね」
「わかりました。聞いておきます。あ、それから、わたしの部屋に泊まってもかまわないですか?」
「もちろんです」
「よかったです」
「わたしもです。それでは」
「お手数おかけしてしまって」
「とんでもございません。では」
「はい」
わたしはさっそく、彼女にメールした。




