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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第3章 夏祭りと三つの響き
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夏祭りと三つの響き 第4話

 お祭り当日の夕方、お母さんに教えられたのとネットの情報を参考にどうにか着付けた浴衣姿はやっぱり似合ってる気がしないけど、会場に行って人波に紛れれば目立たなくなると自分に言い聞かせて待っていると『着いたよ』と叉音ちゃんからのメッセージが来たので着替えなんかを詰め込んだカバンを持って玄関を出る。


「よろしくお願いします」


 運転する叉音ちゃんのお母さんに挨拶しながらと後部座席に乗り込むと、紺色で落ち着いたデザインの浴衣を着て、膝の上に巾着を置いた叉音ちゃんが座っていた。


「叉音ちゃん浴衣似合ってていいなぁ」

「響も似合ってるよ」

「そう? これ一昨日急いで買ったんだよね、子供っぽくない?」

「元気な響に似合ってるよ」

「それならいいんだけどね……」


 この浴衣で叉音ちゃんの横に立ったら滑稽に見えるんじゃないかと不安になってきた。




 この先は混んでいるからと駅前よりも遠くに下ろしてもらい、祭り会場を目指して歩いて行くとどんどん人が増え、ここはそれなりに田舎のはずなんだけど似つかわしくない光景だった。


 そろそろ会場の公園が近づいてきたのだけれど、同じ方向に歩いている人々が立ち止まったので何事かと思って様子をうかがうと法被を着た人たちに引っ張られ、四メートル位の高さがある山車が中と上に人を乗せて、お囃子を演奏しながら練り歩いていた。


 想像していたよりも立派で大きかったのに驚いて、写真を撮っていると──


「地域ごとだから他の山車もあるよ」


 と、叉音ちゃんが教えてくれた。

 あんなのが何台もあるんだ……




 人の波に揉まれながらようやく会場の公園に着くと、そこは人と屋台と熱気でごった返していた。


 中央のイベントスペースでは盆踊りをしているようだったけど人混みでよく見えず、公園の中と周りには多くの屋台が建ち並んでいて、鉄板焼きの香ばしい匂いが漂い、行き交う人々の喧騒と発電機の音が鳴り響いていた。


「いやぁ、人すごいね」

「うん、はぐれないようにしないとね」


 その言葉で前を歩く叉音ちゃん右手に手を伸ばしたけど、なんだか恥ずかしくて引っ込めてしまった。


「響は何したい?」

「えーと、最初は型抜きかな」

「型抜きって、割らないように針とかで削るアレ?」

「うん、一回やってみたかったんだよね。あるかな?」

「昔来たときはたしかあったけど、今もあるかな」


 一生懸命型抜き屋を探して前を歩く叉音ちゃんの後をついて行ったけれど、わたしはほっそりした白い首ときれいな襟足を見ながらうなじ美人ってこういう人を言うんだなと勝手に考え、縛らずにそのままいつもと同じ髪型で来てしまった自分の至らなさを痛感していた。


「あれじゃない?」

「本当だ、やってこやってこ!」


 まだ日暮れ前だからか数人の子供がチャレンジしていて、型抜き屋のおじさんに二百円を渡してそこに混ざって腕まくりして挑んだ。


 もらったのは魚の形をした型で、まち針でひっかくもなかなか削れず「もっと強くやったほうがいいのか?」と力を入れた瞬間、尾びれと胴体が泣き別れして瞬殺、叉音ちゃんのウサギは胴体は上手く削り取れたけど首がポッキリと折れて双方ともに失敗に終わった。


「いやぁ…思ってたより難しかったね」

「うん、出来る気しなかったね」

「ああやって無邪気な子供からお金を巻き上げるんだね」


 そういえば昔、貰ったお小遣いを屋台のくじ引きで使い果たして、何も食べられないわ親に怒られるわお兄ちゃんに馬鹿にされるわで泣いて帰ったことがあったなぁ、大人は意地悪だ。

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