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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第3章 夏祭りと三つの響き
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夏祭りと三つの響き 第1話

 いよいよ待ちに待った夏休みに突入し、そのまま浮かれ気分で謳歌……するはずだったのだけど、その出鼻は初日に根元からへし折られることになった。


 原因は期末試験で赤点を取った事による補習で、それが終わると今度はおじいちゃんの家に泊まって親戚の子達の相手をすることになってしまった。


 それも一週間。


 親戚の子はみんな小学校低学年から中学年、しかも親には「外に遊びにいけ」と言われて、田舎で夏だから鬼ごっこだったりかくれんぼだったり虫取りをやらされ、ほぼ毎日へとへとになっていた。


 小学校時代のわたしもそんな遊びをしていた気がするけど、高一となった今では小学生の体力と運動能力に全くついていけず、昔は触れたはずの虫も駄目になっていて見せられるたびにわたしが悲鳴をあげるものだからそれを面白がられ、さらに見せつけられる完全な悪循環。


 そんなマイナススタートをしたせいで夏休みが半分終わったのに全然休んだ気がせず、その中での救いは親戚たちからそれなりにまとまったお小遣いを貰えたのと、(こま)()ちゃんが使っていたのと同じ日焼け止めを買っておいたおかげで大して日に焼けなかったことくらい、なのでSNSで海だったりカラオケだったりを満喫しているクラスメイトの画像を見ながら地元に帰ったら何をして遊ぼうかと思いを巡らせていた。




 しかし、帰ってみるとそんな楽しげな妄想は無常にも打ち砕かれた。


 というのも、いつも遊びに誘ってくれるメンバーは入れ違いで田舎に帰ったりと出掛けていて誰もおらず、叉音ちゃんにも声はかけたけど親戚が来ていて忙しいと断られてしまった。


 まあクラスメイトの方には「帰ってきて遊ぶ時は誘って」と声をかけておいたからギター練習と動画投稿に勤しんでいた。


 こうして怠惰でそれなりに充実した夏を過ごしていたけれど、親にはそれが『遊んでいる』と見えたようで、宿題はちゃんとやっているのに補習を受けたせいもあって家にいると「勉強しろ」と催促されるから、いつものショッピングモールに逃げ込んだ。


 特に目的は無かったから適当にぶらついて、カフェかどこかで時間を潰そうかと思っていたのに夏のイベントをやっているせいで人が多くてそんな気は失せ、一直線に楽器屋に向かっていた。


 この前貰ったお小遣いで譜面やギターストラップなんかの小物、そういえば新しいギターケースも欲しかったなと考えながら店内を物色していると、見覚えのあるコマッとした後ろ姿が目に入った。


「叉音ちゃん」

「あっ、(ひびく)


 学校で話をするのは昼休みの時くらいだったけど、ほぼ毎日だったから凄く久しぶりに顔を見た気がする。


「久しぶり、もう親戚って帰ったの?」

「ううん、買い物のついでに見に来ただけ、すぐ戻らないと」

「なんだ、そっか……」


 暇なら一緒に遊ぼうと思ってたのに……


「叉音ちゃんと遊びたいなぁ……」

「ごめん、家のこと手伝わないといけないから」


 悲しそうで申し訳なさそう顔をさせてしまって、不貞腐れ気味に言ってしまったのを反省した。


「謝らないで、無理言ったわたしが悪いんだから」

「ええと……お盆が明けたら時間できるから、それまで待って」

「うん待つ、待つよぉ!」


 から元気で答えたけれど叉音ちゃんには見抜かれていたようで、心配そうな顔をしながら店を出て行ってしまった。

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