~あとがき~
※完結記念のイラストが末筆に記載されております。
拓磨と華葉のイメージ像ですので、不要な方はオフにしてご覧ください。
はじめに。
本あとがきでは、本作のあらすじとなる話は一切語っておりません。
物語の傾向を知りたく先にお読みに来られた方は、下記で詳細に記しておりますので、こちらをご覧の上で是非、第一幕より本作をお楽しみください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2527123/blogkey/3213972/
※小説の概要欄に記載のあるリンクと同じものになります。
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私がこの話の基盤となるものを考えたのは、中学生の時でした。
当初はこのような平安時代モノではなく、現代顔の陰陽師:安倍拓磨(安倍晴明の〝孫の息子の弟の子供〟である血縁関係、というよく分からない設定)が、周りの平安顔の人間に嫌気が差し現代にタイムスリップして高校生活を謳歌する、という一種の異世界転生モノでした。拓磨様、実はチャラ男だったのです。
血迷ってそのまま書き進めなくて本当に良かったです。着地点が全く見えません、完結しなかったと思います。
あの頃の私は学校が大好きで、特に高校では夏休みなどの大型連休が苦痛なくらい、学校で友や先生に会い他愛もない話をして、馬鹿笑いする毎日を楽しんでいました。
高卒で一般企業に就職し、社会の荒波に揉まれるうちに、いつしか大好きだった〝人〟の嫌な部分だけが前面に見えるようになりました。
自分の意見もなく文句ばかりの人、駄目なことを怒れない人、他人任せで何の努力もしない人。私も決して完璧な人間だとは言えませんが、それでもそんな対人に嫌気が差し、私は人を避けるようになりました。
そうです。人嫌いなのは安曇拓磨ではなく、私自身なのです。
これはそんな自分が〝人との関わりはそうではなかった〟と、楽しかったあの日々を思い出すための作品でもあります。
最終的に拓磨は華葉との出会いで、自分を見守る人の存在に気づけたのですが……私はどうなのでしょうね。ただ願望を書き連ねただけのような気もします。
いや、すみません。そんな暗い気持ちばかりで書いたわけではなくて。
当然それよりも大前提、〝桜〟を主として題材にしている本作。
麗らかな春、桜の開花が待ち遠しい良き季節です。
しかしある日気づいたのです。開花の前後はテレビでも大々的に取り扱われる桜ですが、花が散った後それを気にする人は決して多くはありません。
何故でしょう。桜は散った後から、次に咲くことを見据えて準備を始めます。夏も秋も冬も彼らは懸命に生きているのに、あんなに集まった人が閑散としている。
当然これは桜のみに限った話ではありませんが、蕾から満開まであんなに注目を集めるのは、やはり桜が最も上位ではないでしょうか。
そんな桜が懸命に生きる姿に気づいた時、私は感銘を受けました。春を恋い焦がれてじっと冬に耐える桜、これを起点とした物語を書きたい。
そこで元々描きたかったバキバキの呪術を放つ陰陽師と組み合わせ、本作は誕生しました。自分が書きたいものを書くのが一番ですし、書く時も楽しいでしょう。
書き上がったらば70話を超える大作となりました。勿論タイトルの『妖かし桜』とは華葉のことを表します。彼女が妖かしとして目覚め、散っていくまでの話です。
人に対する思いも、桜に対する思いも、狂おしい恋心も、精魂かけて全て詰め込んだ私の自慢の代表作です。
詩がついているのは趣味で書いていた頃からのクセです。どうしてもテーマソングを作りたくなってしまいます。ですので長編には今後もついてくるのではと。
しかし最初は見切り発車で書き始めたので、第二幕の前半ぐらいまでは矛盾点が多いのですよね。それに平安知識もないのに始めたものだから、用語が自由すぎてもう……勉強しよう。
ですので少し精査させていただいて、いつかそれを解消して再度改稿する予定です。そうしたら、何か賞に挑戦してみようかなと思っています。
狙っているもの? 一応ありますが、まだ秘密です。
貴良お得意の〝予定は未定〟で。
今後ですが、実は本作の外伝を書く予定でいます。本編で省略した拓磨の父・尊に焦点を当てた話です。恐らく本作よりダークな内容になる予感がするので、読んでくださる方がいるかは謎ですが……気の済むまで走ってみます。
それから少々中編の作品を書きつつも、しばらく長編は執筆の手を休めて、プライベートを整理したり他の作家様の作品を読んだりしながら、次作のプロットを練りたいと思います。本作で「やっぱプロット大事やなぁ」と改めて痛感したので。
次回長編、テーマカラーは〝ブルー〟です。(本作は当然〝薄紅色〟)
異世界ファンタジーに挑戦します。転生とかそうゆうのではなく、ここではないどこか別の世界の国の冒険ファンタジーです。よろしければ、またそちらでも応援いただけますと、大変ありがたく思います。
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この頁も含めまして、本作をお読みいただき本当にありがとうございました。
感謝の意を込めまして、厚く御礼申し上げます。
この作品が少しでも皆様の心に、春風のような温かな何かを残しますように。
妖かし桜が散るまでに 筆者・貴良一葉




