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どうやら私は異世界転移してしまったようだ

 夜になっても人が減る様子の見えない繁華街は恵にとって珍しいものでしかなかった。シャーロット時代の街とは文明の差が大いに目立った。シャーロット時代の集落は家々が木像でできており、櫓があちこちに見えた。しかしここはコンクリート製の建物があちこちに建てられており、車が走っている。これらの建物のなかで恵は人混みのなか必死に恵一の後を追った。


 駅構内に入り、数分くらい歩いただろうか。とあるところで恵一は止まった。見るとそこは京王井の頭線の券売機だった。恵一はそこで切符を購入すると、恵に手渡した。


 「いいか、これから電車っていう、電動な客車に乗るんだけど、分かる?」


 恵は即座に首を横に振る。当たり前である。電車の正式名称が電動客車(でんどうきゃくしゃ)だということがわかっただけである。これで伝われば逆にすごいと思わざるを得ないが。


 「うーん。簡単に言うと勝手に動く箱みたいなようなものだ。それを使って人々は遠くの場所も時間をかけずに移動することが出来る。分かるかな?」


 先程の説明よりも遥かに分かりやすい説明を付け足した恵一は自信なさげに聞いた。


 「なるほど、わからん。実際に見た方が早いだろう」


 二人は改札のところまできた。恵一は懐からICカードを取り出してタッチアンドゴーする。それを見習って恵は持っていた切符をタッチしゴーしようとした瞬間、警報音を出しながら改札が急に閉まった。それに気付いた恵一は恵に、


 「そこに切符をいれるところあるだろ?そこにいれてこっちにこーい!」


 と言った。しかし残念なことに恵は切符を入れるところを知らなかった。しかも運の悪いことにおちおち探していた恵に「おい!」というどすの聞いた声をかけられた。見るとそこには強面の男が立っていた。恵一は青ざめた。しかし、展開は恵一の思う結果には至らなかった。


 「いいか?ここに切符を入れるところがあるだろ?そこにいれてみ」


 恵は男に言われたように切符をとある隙間にいれてみた。すると切符は吸い込まれ、同時に改札が開いた。恵は改札を通った。


 「切符取り忘れんなよ!」


 恵はすぐに切符を取り、恵一のもとに走る。恵一は先程の男に顔を下げ、


 「ありがとうございます」


 とお礼を述べた。男は一瞬照れると、


 「困ったときはお互い様だろ」


 と去り際に行って階段を登っていった。恵みも後ろでありがとうと小声で言った。男に聞こえていたのかは知らなかったが気持ちは伝わったのかもしれない、そう恵一は思った。


 階段を登ると既に電車が停車しており、二人は『急行 吉祥寺行』に乗車する。少し経って発車メロディーが鳴りすぐに扉が閉まると電車はゆっくりと動き出した。加速していく電車のなか、恵一が話始めた。


 「異世界転移(いせかいてんい)って知ってるか?」


 恵は首をすぐ横に振った。そして、続きを待った。


 「だよな。なら始めから説明してやる。異世界転移。これは地球ではない異世界で恵は、シャーロットは生きていたんだ。しかし、偶然なにかよくわからないことが起きて恵はここ東京にワープしてしまった。このように別の世界からこの世界に来ることを異世界転移という。ここまではわかった?」


 「偶然なにかよくわからないことってなんだ?」


 「俺が知ってると思うか?よくあるのは召喚っていう技なんだけど、この世界ではそんなファンタジーなことは起きないんだよ」


 ふーん。と恵は言った。同時に電車は下北沢駅に止まった。


 「ちなみに一度死んで生まれ変わったときに別の世界からこの世界に来た場合は異世界転生(いせかいてんせい)なんだけど。一度死んで生まれ変わった?」


 「確かに私は銃殺されて死んでしまったが、私は異世界転生したのか?」


 恵は疑問を口に出す。同時に下北沢駅を出発した。


 「うーん。外見変わってないしなぁ。いや、異世界転生しても外見が変わらないケースもあるのか?でも死ぬ前にワープした可能性もあるしなぁ」


 「じゃあ、異世界転移でいいよ」


 めんどくさそうに恵はそう答えを出す。恵一ももう考えることをやめた。その代わりに、


 「にしても、そんな人と出会うなんて、たぶんこの世界に俺しかいないんじゃね」


 と独り言を吐いた。それは電車が次の駅に到着し、ドアが開くのと同時だった。

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