3息子の職業はボディービルダー
ジョロッチによる、空の旅は快適そのものだった。初めこそ股間が痺れる恐怖を感じたが、ジョロッチの人格を感じさせる様な安定した、落ち着いた飛行能力が高高度の不安を拭い去ってくれた。
それが、間違いだった。安心した俺の視線は、キスまで3cmに迫ったジョロッチの美貌に釘付けになり、体制的に仕方なく押し付けられたその凶乳の甘美さを、身体の側面で感じ取り、抗う術を持たず俺の息子はパンプアップを行い、ボディービルダーと化していた。
「大きいよー!!」「硬いよー!!」
「キレてます!!キレてます!!」
俺の息子対する声援が聞こえてくる(幻聴)。
罠だ。絶対に罠だ。こうなる事を予測してスパッツの様なパンツを履かせた違いない。奴らは俺を辱めて笑いの種にする気だ。クソー、こっちに来てまで蔑まされるとは!!(被害妄想)
快感の苦痛と言う二律背反に苛まれ、俺が苦悶している間に目的地へと辿り着いた。
到着した場所は他の山々に囲まれて、一つだけ突出した富士山の様に(登ったこと無いけど)高い山の頂上付近に空いた横穴だった。
横穴の前に開けた平地があり、ジョロッチはそこへフワリと着地する。
横穴の入り口には左右に二本の大きく、そして見事な彫刻が施された石柱が立ち並び、神殿の様相を呈している。
何故こんな山の頂上付近に、どうやって設置したのかなど疑問を感じるが、俺は現在それどころではない。
ジョロッチの凶器の肉体から解放され、地に降りた俺は当然、前傾姿勢をとる。
「どうされました?ダイシ様。ご気分でも悪いですか?」
優しく気遣ってくれるジョロッチ。しかし、緊急事態の俺は悪感情を抱く。
(カマトト(意味は知らない)ぶってんじゃねーよ!!誰のせいでこうなったと思ってるんだ。責任とって昇天させろや!!)
と口には出せず劣情の視線を向けるに留まる。
「イヤ、大丈夫、平気ダヨ。先ニ進モウカ」
俺は本心とは裏腹に平然を装おうとする。無理だけど。
「そうですか…ではご案内いたします」
情けなく前屈みのまま、ヒョコヒョコとジョロッチの後に続いて歩く。横穴を進むと暫くは岩肌が剥き出しになった洞窟のような通路が続いた。岩肌自体が微かに発光していて薄暗いが歩行に困難は無い。
前を向いて進むジョロッチの後ろで、俺は姿勢を正してみる。すると、ピッタリパンツの生地がマイサンを締め付け、歩く度いい感じに摩擦による攻撃を仕掛けてくる。
堪らず前傾姿勢に戻るが、敵は己の中にありとは良く言ったものだ。今の俺の場合、敵はマイサンだがな。ハハハ…悲しくなる。
親の心子知らずな息子のせいで屈んだのまま奥へ進むと、山の洞窟内とは思えない、きらびやかな建築物へ辿り着いた。もうね、完璧な神殿。美しい神殿。超神殿(語彙力)。ボトルシップ(あの瓶のなかで船の模型つくるやつ)かよってツッコミを入れたくなる。
洞窟の中なのに何故か白く輝く神殿の、重厚で荘厳な扉をジョロッチが押し開き中に入る。もうそろそろ項垂れてくれても良いぞ、息子よ。
神殿内を真っ直ぐ奥へと進み、突き当りの部屋の前に着き、扉の前からジョロッチが透き通る大きな声で中の人に伝える。
「巫女神様、救世主様をお連れしましたー」
「おお、待っておったぞ。中へ入れ」
可愛らしい声で中から返答があった。
扉を開き中へ入ると謁見の間のような広く豪華な室内で、観葉植物に水を与える少女がいた。
少女は水色やピンクと言った色鮮やかな出で立ち。所謂、女児服に包まれた幼さの残る顔に、短めのツインテールをしていた。ロリっ娘だ、ロリっ娘。絵に描いたようなロリっ娘だ。PS俺はロリコン趣味ではない。セーフ。
「よく来たな、ジョロバケット。後ろに居るのが、転生させた救世主か?」
偉そうな口調のロリっ娘。ああ、神様だっけ?
「はい先程、我々呼びかけ応じ、こちら世界へ転生頂いたダイシ様です」
「ん?なんじゃ?ダイシとやら、何故そんな変な格好しておる?しゃんとせんか」
「ダイシ様。まだおかげん悪いですか?簡単で結構ですので、巫女神様にご挨拶下さいませ」
うう~二人して俺の事情を知らず、言ってくれるなぁ。
分かったよ、俺は何も悪くない。姿勢を正してやろう。
俺は開き直り、直立し挨拶をする。
「山田大志です。宜しく!」
白いスパッツパンツが股間の陰影をクッキリさせる。
ロリっ娘とジョロッチの視線を感じ、恥ずかしくて泣きそうだ。
「な、なんじゃお前!!バッキバキじゃないか!!何を考えておるんじゃ、この変態!!」
顔を赤らめ、直球でど真ん中を抉る。
「う、うるせー。しかたねーだろ!!ジョロッチが悪いんだよ!!こんなエロい身体してるからっ」
よもや初対面の少女(神様)と口喧嘩するとは思わなかった。
「なんだとー!?変態が開き直りやがってー。チェンジだ、チェンジ!!ジョロバケット、チェンジしてくれ!!」
「こっちの都合も聞かずに転生召喚しておいて、チェンジとはなんだー!!こちとらデリヘルじゃねーぞー!!」
俺は頭に血が登っていた。ん?頭に血が登ったって事は…
収まった。息子は排泄器官としてのフォームへ形態(重複)を戻していた。はぁ良かった。
「ジョロッチ、戻ったよ」
俺は笑顔で報告する。
ジョロッチは困り果てた顔でロリっ娘の説得を試みる。
「巫女神様、転生の儀は我々、宮廷魔道士の粋を結集しても数年に一度、成功するかどうかの大仕事です。尚且つ、ダイシ様は我々への助力を前向きに捉えて頂いております。故に何卒、大いなる力をお与え下さいますよう、お願い申し上げます」
「うむ、その辺りは承知しておるがのう…」
もうひと押しと言ったところか?良しここは俺が折れて下手に出よう。
「巫女っち、ゴメンな。さっきは怒鳴っちゃって。俺、頑張るからさ、ひとつ宜しく頼むよ」
「なんじゃーお前は!!やっぱりムカつくなー!!ジョロバケット、コイツは無しじゃ。何年でも待つから次だ、次!!」
藪蛇だった。




