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■第43話 高地探索編 静けさの中の守り手たち

古代の謎に挑む小さな探検家たち

見えない脅威と無言の守護者

静寂に包まれた森の中で続く冒険


■謎に満ちた古代文明の扉

 昨日発見した古代遺跡の全貌は、想像をはるかに超える規模だった。朝霧が晴れてくると、石柱や崩れた壁、苔に覆われた祭壇が次々と姿を現す。

「めっちゃでかいな、この遺跡」 「どんだけ昔の文明や」 「何のために作られたんやろ」

 100人のリトルさくやたち全員をもってしても、まだ把握しきれないほどの広さと深さ。朝霧に包まれた遺跡で、今日も新たな発見への期待が高まっていた。


■地中に眠る古代の記録

「ここ、何か埋まってる!」

 発掘班の一人が、湿った赤土の中でかすかな石の突起を発見した。興奮が伝染し、10人ほどが集まって丁寧に土を払い始める。

「慎重にな」 「壊したらあかん」 「ブラシ使おう」

 やがて現れたのは、薄い石板の一部。表面には謎めいた模様が刻まれていた。

「これ、文字やないな」 「地図っぽくない?」 「線がいっぱい彫ってある」

 慎重に引き上げられた石板には、明らかに地形を示す印が浮かび上がっていた。高地の標高を思わせる等高線と、蛇行する河川の形。

「待って…これ、私らが通ってきた道ちゃう?」 「ほんまや!この山の形、見覚えある」 「古代の人も、ここ通ったんかな」

 リトルさくやたちは3つのチームに分かれ、崩れた柱の根元や土に埋もれた通路跡の調査を開始。小さなシャベル、ブラシ、そして素手で泥を払う地道な作業に没頭していく。

「集中や、集中」 「もうちょっとで見えそう」 「あ、また破片見つけた」

 集中した作業の中、会話は次第に少なくなった。聞こえるのは、土を掘る音と、時おり響く発見の歓声だけ。


■見えざる脅威と無言の守護者

 しかし、その平穏な発掘作業のすぐ外側では、全く異なる「戦い」が静かに繰り広げられていた。

 ジャングルの深い茂みの中、体長2メートルを超える巨大なジャガーが息を殺して潜んでいる。鋼のような筋肉を持つ体を太い枝に乗せ、獲物を狙い定めている。

 小さくて無防備な生き物たち。しかも夢中になって作業をしている。絶好の狩りのチャンスだ。

 風一つない。葉一枚動かぬ静寂の中、重い前脚が地面を踏みしめ──

 ド

ゴォ!

 木々が裂けるような衝撃音と共に、ジャガーの巨体が宙を舞い、地面に叩きつけられた。そこに立っていたのは──父ゴリラ。

 無言のまま、まるで影のように木の上から降り立っていたのだ。ジャガーは慌てて立ち上がり、威嚇するように唸り声を上げるが、父ゴリラの圧倒的な存在感の前に、しっぽを巻いて逃げていく。

 その激しい戦いの音も、リトルさくやたちには届かない。

「あ、ツルハシ取って」 「はーい」 「このかけら、きれいに取れそうや」 「静かやなあ、この森」 「作業に集中できるわ」

 リトルさくやたちは全く気づかず、平和な発掘作業を続けている。彼女たちにとって、この森は驚くほど安全で静かな場所だった。


■母なる守護者の静かなる技

 別の場所では、また違う危険が忍び寄っていた。体長5メートルはある大蛇が、発掘に夢中な小さな背中に向かって首をもたげる。

 毒牙が光り、今にも襲いかかろうとするその瞬間──

 母ゴリラが枝の上から無音で飛び降り、大蛇の頭部に見事な一撃を見舞った。

 大蛇は「シャーッ」と威嚇音を上げながらも、慌てて森の奥深くへと消えていく。

「石板の破片、こっちにもあった」 「ほんまや!パズルのピースみたいやな」 「合わせてみよか」 「なんか今日、やけに平和やな」 「鳥の声もきれいやし」

 その間も、リトルさくやたちの発掘作業は和やかに続いていた。彼女たちは、自分たちがどれほど危険な目に遭いそうになっているかなど、まったく知らない。


■失われた文明の全貌

 午後になって、さらに3枚の石板が発見された。パズルのピースが合わさるように、古代地図の全体像が少しずつ明らかになっていく。

「この線とこの線が繋がるで」 「おお、形が見えてきたな」 「これ、すごい地図やん」

 標高線、岩場、河川の流れ、そしてジャングルの奥には──

「これ…円形のでかい建物ちゃう?」 「コロシアムみたいな形や」 「古代の人、こんなもん作ってたんか」

 5つの石板が繋がった瞬間、100人全員が息をのんで見つめた。古代文明が残した壮大な地図。そこには、まだ見ぬ謎の場所への道筋が示されていた。

「よし!今日の発掘作業はここまでや!」

 リーダーの声に、全員が満足そうにうなずく。

「今日もええ仕事したな」 「しかも、すっごく平和やった」 「危険な動物とかおらんくて良かったわ」 「この森、安全やなあ」

 貴重な道具を丁寧に片付けながら、彼女たちは今日一日の平穏に感謝していた。もちろん、その平穏が誰かによって守られていたことなど、知る由もない。


■夜の森に響く静寂の讃美歌

 夜が訪れた森に、小さな焚き火が5つ、ぽつぽつと温かい光を灯す。リトルさくやたちは焚き火の周りでほっぺを赤く染めながら、丸くなって座っていた。

「疲れたなあ」 「でも、いい疲れや」 「古代の謎、だんだん解けてきたな」 「それに、この森って思ったより安全やな」 「危険な動物の鳴き声とか、全然聞こえへんし」

 石板運搬班の一人は、子ゴリラの隣でスヤスヤと安らかな寝息を立てている。子ゴリラもやがて一緒にくっついて眠りについた。

「子ゴリラちゃんも眠そうやな」 「可愛いなあ」 「明日も一緒に遊ぼな」

 その平和な光景の陰で──

 木の向こうからサルの群れが音もなく近づいてくる。夜陰に紛れて、小さな生き物たちを狙っている。鋭い牙を剥き出しにして。

 ズドン!

 父ゴリラの拳が静寂を破って唸りを上げ、サルの群れは瞬く間に四散した。

「ほんまに今日は大発見やったなぁ…」 「ぐっすり眠れそうや」

 寝言をつぶやくリトルさくやを見て、子ゴリラが愛らしい表情を見せる。まるで「よく頑張ったね」と言っているみたいだった。

 リトルさくやたちは、自分たちがどれほど安全に守られているか、まったく気づいていない。


■新たなる一日、続く冒険

 翌朝の清々しい空気の中、新たな石板のパズルに挑戦する作業が始まった。昨日の続きで、さらに細かい破片を発見し、組み合わせていく。

「今日もええ天気や」 「作業がはかどりそうやな」 「この森、ほんま平和でええわ」

 泥の中から出てきた古い破片が、昨日発見したパーツとぴたりと合わさる瞬間──

「うおぉぉ!完璧に合ったで!」 「すげー!」 「パズル完成や!」

 歓声が森じゅうに響き渡る。

 しかし、その歓喜の陰では今日もまた、見えない戦いが続いていた。奥の草むらに潜むピューマが、発掘作業に夢中な小さな背中を狙って身を低くする。

 ドゴォォ!!

 空中から襲いかかろうとしたその瞬間、母ゴリラの見事なアッパーカットが炸裂した。ピューマは慌てて茂みの奥に消えていく。

「ハンマーどこや?」 「ここやで」 「おおきに」 「なんか風が気持ちええな」 「ほんま平和な一日やわ」

 平和な会話が続く中、守護者たちの静かな戦いもまた続いていく。リトルさくやたちは、今日もまた何事もない平穏な一日を過ごしていると思っている。

 夜の作戦会議。リーダーたちが完成した石板の地図を慎重に広げる。

「ここが次の目的地や」 「この円形の建物、気になるなあ」 「古代のコロシアムかもしれん」 「でも、この森が平和やから、安心して進めるな」

 会議の横では、疲れてうとうとする子に、子ゴリラがそっと小さな毛布をかけてあげる。またひとり、またひとりと、温かな毛布の下で安らかな眠りについていく。

 母ゴリラは優しい眼差しで見守り、父ゴリラは大きな木にもたれて一息ついている。その背後では、牙をむいた夜行性の獣たちが、音もなく宙高く舞い上がっては消えていく。

「明日はどんな発見があるやろな」 「楽しみやな」 「ほんま、この森にいると心配事がないわ」 「平和が一番やな」

 守られていることを全く知らずに、小さな探検家たちは静かな夜に包まれていった。彼女たちにとって、この森はただただ平和で安全な、古代文明の謎を解くのに最適な場所だった。

 守られた静寂の中で、古代文明の謎を解く冒険は、また明日も続くのだった。



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