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ディヴァイン・アーカイブ~罪の影を斬り、黎明を呼ぶ者~  作者: するめ


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第1話 白い隊長・銀の怪物

【警告。対象エリアの防衛線、完全崩壊】

【敵対存在の質量、観測不能。予測演算――本小隊の生存確率、0.00%】

【推奨行動:同区画にいる市民十万人の損切り、および戦術爆撃によるエリアの一掃】


無機質なAIの声が、血の匂いが立ち込める廃墟に響き渡る。

俺の鼓膜が、その冷酷な数字を拒絶するように拍動した。

瓦礫の山の中、白い制服を血に染めた隊長が、ひび割れたインカムを叩き壊すのが見えた。


「……黙りなさい、ガラクタ。神の計算が追いつかないなら、私が指揮を執る」


隊長の言葉は、氷のように冷たく、けれどこの絶望の中で唯一の光のように、俺の耳に届いた。


俺の視線の先。ビルをも飲み込む巨大な怪物が、赤黒い炎を撒き散らしながら迫っている。

俺は、瓦礫の影から立ち上がった。


(……もう、人間の形を保つのは限界だ……)


右腕から首筋にかけての皮膚がドロリと溶け落ち、その下から覗くのは、眩いほどに冷たい銀色の流体。


防衛局のデータベースにも存在しない、得体の知れないバケモノの力。俺は、自分が何者なのか、本当はどこから来たのかも知らない。記憶も何もない、ただの空っぽのバケモノかもしれない。


(れい)…私のデバイスじゃ、あの肉塊の再生速度を上回れない。……私に剣を創りなさい」

「……どんなのがいい? 隊長」

「最高硬度、最軽量。私の体格と現在の魔力出力に完全に適合させた、刃渡り百二十センチの超振動刃。一秒で用意しなさい」


無茶苦茶なオーダーだ。

俺は口角を微かに上げ、身体を覆う銀色の流体を爆発的に噴出させた。銀色の流体は瓦礫を這い、隊長の右手へと殺到する。


銀色の流体は、凄まじい熱と圧力を孕みながら、隊長の掌の中で急速に形を成していく。限界を超えた圧縮が冷たい銀色を変質させ、硬化し――隊長の手には光さえも吸い込むほどに禍々しく、悍ましい極薄の赤刃が具現化していた。


「ふん……悪くないわ。私が斬る。お前は残りの全質量で、奴の動きを一瞬止めなさい!!」

「了解」


俺は残った全質量を無数の杭に変え、怪物の足元を穿ち、押し寄せる巨体を力任せに縫い留める。

隊長は具現化した赤刃を固く握り直すと、体全体に強化デバイスの限界を告げる赤い雷光を走らせる。


その場からは一歩も動かず、赤色の刃を大上段に構える。極限まで圧縮された力が弾け、隊長の体がブレた――その直後。


――ザァァァンッッ!!!


音が遅れてやってきた。音速を超える刀の切り込みが空間を切り裂く赤色の斬撃となって進んでいく。


鮮烈な赤の軌跡は、怪物の触手をいとも簡単に切断する。強固な装甲を紙切れのように切り裂き、深部にある核を貫通した。


断末魔を上げる暇もなく、巨大な肉塊が轟音を立てて崩れ落ち、瓦礫の山へと融けていく。


エリートの指揮官と怪物。その連携が、不可能な奇跡を成し遂げた。


隊長は、役割を終えた赤色の光刃を再び流体へと戻し、激しい呼吸を整える。

赤から銀へと色を戻した流体が、瓦礫を伝って俺の身体へ還ってくる。ドロドロになった身体を再び人間の形へと再構成しながら、俺は隊長の後ろ姿を見つめた。


なんでこんなことになったのだろうか。

俺はただ平和な日常を暮らしたかっただけなのに…………


♦♦♦


――すべては、半年前。

これは、行き場を失った銀の怪物が、一人のエリート指揮官と最悪の契約を交わす物語。

初めまして、するめと申します。

最後までお読みいただきありがとうございます。

本作を少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、応援やご感想をいただけると今後の執筆の大きな励みになります。

よろしくお願いします。

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