表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空に描く自由の軌跡 〜翼なき魔法使いの夢〜  作者: kchan
理想は空の彼方に
39/88

第39話「クリストフ教育長官」

自己紹介も終わり、食事しながら今回の視察及び遠征について概要が説明され、各町村から出されていた嘆願の対応を行ってきたとのことだった。ラスクが住んでいた地域は僻地だったため、最後になったらしい。他の町村対応が急を要する内容だったようだ。ハロルドタウン周辺地域に行ける日程が不透明だったため事前連絡ができなかったらしい。

(いや違うだろ。事前連絡したら俺が逃げてしまう可能性を考えてたでしょ。でもまぁ家族もいるし、どちらにしても逃げられなかったと思うけど…)



辺境伯様からの言葉の節々に「ランドアナ王国の侵略」という言葉が出てくる。

ランドアナ王国とは、フランクド王国バルクロイド領と隣接している国で、元々温和な国だったのだが、先王が崩御し現王へ変わった直後から方針が大きく変わる。現王クラウス・ド・ランドアナは臣下を一新。臣下は熱心なローズミール教が占めており、ローズミール教が唱える教えに背くものは改心させないと世界の人々が悪魔や魔物に支配されるとして、教えが浸透していない土地や国に対し、救済措置だと言い宣戦布告をしているそうだ。フランクド王国のミラー教では人々は救えないと理不尽なことで侵略してくるらしい。


(やだやだ、どの世界も宗教戦争は人を救うどころか不幸にする)


こんな重大な話しをラクスの前でやっても良いのかという思いもあったが、周知の事実らしい。僻地には情報が回ってこない。そして特に驚いたのがここからの話しだった。



「皆も既に知っていると思うが、今回の遠征の最後に森の地竜を討伐した。この件の詳細は…まぁ後で話すが、地竜について情報が1つ。十中八九間違いないが、この地竜はランドアナ王国の差し金だ。10数年前になるがランドアナ王国で多くの犠牲を払って地竜を捕獲したとの情報があった。本日捕らえた間者から尋問した結果、ランドアナ王国には魔物を操る何かしらの方法があるとのことだ。間者も詳細な情報までは持たされていないため、これ以上のことは分からんが状況証拠が揃った」


(本日!?仕事早すぎでしょう!?さっき帰ってきたばっかりだぞ。領主様の動向をスパイしてた奴がいたってこと?尋問て……拷問の間違いじゃ?魔物を操るってどうやるんだろう)



「バルクロイド領を攻め切れないとした某国が領都の森に地竜を放ち、領戦力を分断させようとした。ところが地竜が森に入ってから一向に先へ進まない。操作不能となったようで間者はその様子を逐一確認・報告していたようだ。おそらく某国の目的は領都の破壊、それが出来なくなったため物流と情報の遅延。そして僻地ではあるが領土侵略」


(えー!?あの辺一帯を侵略しようとしてたってこと?地竜を使って?)



「ラクス、お前のやったことは故郷を守ったのだ。誇っていい」

「…はい、ありがとうございます」


「ラクスは地竜を1人で討伐した。魔法に関する知識が膨大で、我が領の要人である」

バルクロイド家の方々から痛いほど視線を感じる。


「ただ本人が目立つことを嫌っている。このことは他言無用だ」

「「はい」」「分かりました」


(他言無用なら最初から言わなければ良いのに)




食事が終わり、ラクスは別室へ通された。客室なのだろう。ベッドがある。バルクロイド家の面々はまだその場にいたことから、また別のお話しをしているのだろう。この日はこれで終わりみたいだ。

「移動が疲れたな」と独り言をつぶやき、ベッドに横になる。ここ10日くらいで怒涛の展開になり、息つく暇もなかった。あっという間に瞼が閉じて意識を手放した。









朝になり目が覚めるとフカフカのベッドの上だった。こんな気持ちいいベッドは前世ぶりだ、とか考えていると、執事さんが入って来る。名前はセバスチャンだそうだ。

(なんてこった。もうセバスチャン=執事じゃないか。いや、もしかしたら襲名制なのかもしれない。もしセバスチャンと名前つけられたら執事の道まっしぐらだ)


なんて考えてたら、別の部屋に案内された。そしてここへ来る人物について説明があった。

「朝食後、1時間ほどで教育長官であるクリストフ様がお見えになります。くれぐれも失礼のなきよう」



朝食と紅茶と焼き菓子が出された。モソモソした黒パンとスープ。黒パンはスープと一緒に口に入れないと飲み込めない。だがお菓子は別だった。思わず「シェフを呼んでくれたまえ」と言いそうになったくらい感動に打ちひしがれながら貪った。紅茶も香り高く美味しい。食について文化的な物をあまり感じてこなかったため、領主様との食事やお茶菓子にひどく感心した。





クリストフ様は領主様の弟君とのこと。通常貴族の兄弟は後継者が決まった後、王都の騎士になったり文官になったりするそうだが、辺境伯様が断固拒否。領内で役職を与え、ここに住んでいるらしい。



ガチャリ


ドアが開き、複数の男性が入ってきた。立ち上がって姿勢を正す。

その内の1人が机の対面席に来た。おそらく高官と思われる人たちは対面席の後ろに並び立つ。

「はじめまして、君がラクス君だね?私はバルクロイド領の教育長官をしている、クリストフ・フォン・バルクロイドという。以後お見知りおきを」

「はい、ラクスと申します。ハロルドタウンより参りました。9歳です」

「お!9歳にしては受け答えがハッキリしているね。兄の言う通りだ」


(領主様はムキムキマッチョなのに対してクリストフ様は細マッチョ系。文官向きだな、口調が優しい。ホントこの世界の貴族って皆こんな感じなのかな?嫌な人1人もいない)


「教育長官と言ってもね、慣例に倣った昔ながらの方法からほとんど教育方法を変えていないんだ。魔法については研究が進められているが、大きな発見もなくてね……。だがそこで君の登場だ、聞くところによると魔法・身体強化共に極められている。更に魔法により村の改革を行い町へ発展させた、と。その方法、是非我が領全体でも学び取り入れたい。兄と共にこの領を強くすることが私の使命だ」


(ほへ~、兄弟共になんでこんな傑物に育つんだろう。親の教育のおかげだろうか。この領は数十年は安泰だろう)



「で、だ。実力を疑うわけではないが、君の魔法と身体強化について一度見せてほしいんだ」

後ろの高官も頷いている。実力を見せない限り認めないという感じだ。


「分かりました。研究の成果をお見せしたいと思います」

俺の「転生したら教育長官相談役でした」ライフがスタートする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ