第21話「リリーの冒険」
【リリー視点】
(リリーすごい!にいににほめてもらいたい)
完璧な作戦と実行力にリリーは自画自賛していた。
心躍る完璧な展開に、前かがみの姿勢から小走り、最後はスキップしてラクスのもとへ向かった。
ラクスがいる大きな木へ行く途中、こちらへ向かってくる人影が見えた。
1人で出歩いちゃいけないと、母親に何度も言われていたので見つかっちゃいけないと隠れた。
しかし、向かってくる人影は
「ん?小さい女の子がこっちに?1人っぽかったけど大丈夫か?……」
と完全に見つかってしまっている。
リリーはビビっていた。
母親が怖い。見つかってしまったら絶対に怒られる。
(どうしよう……そうだ!)
リリーは草むらのなかから、お願いした。
(おみずさんおみずさん、いっぱいながれてーーー)
ザッパーーーン!!!!
何もなかった場所からいきなり大量の水が膝上まで流れ足元をすくっていく。
「うお!なんだこれーーーー」
ガンッ!!
サムは運悪く近くにあった岩に頭をぶつけ、軽く脳震盪を起こした後、しばらく流され茂みに引っ掛かった。
水が引いて、リリーが様子を見に行くと、大きなおにいちゃんがたんこぶを作ってスヤスヤと眠っていた。
「いたいいたいの、なくなれー」
リリーは大きなおにいちゃんのたんこぶを撫でた。たんこぶは引っ込んでいく。
「なおってよかったね!」
良いことをしたとリリーは胸が熱くなった。
しばらく進むと、ピョンピョンを見つけた。いつも捕まえるニョロニョロとはちょっと違うニョロニョロに追いかけられている。追いかけっこして遊んでいるのかなーと思っていると、ニョロニョロがピョンピョンを捕まえて食べようとした。
「だめー!ピョンピョンがかわいそうでしょ!!」
リリーはニョロニョロのしっぽを掴んでグイッと引っ張った。
びっくりしたニョロはピョンを離し、逃げようとしたがしっぽを掴まれているので逃げられない。
ニョロはリリーの腕に嚙みつこうと身を翻して飛びついてきた。
「いやっ!!!」
リリーがそう叫ぶと、分厚い水の壁が突然現れニョロを押しつぶした。
「ニョロニョロがこっちにくるからだよ、もうこないでね」
ニョロは完全に潰れていた。残酷だがリリーにはそれが分からない。
また動いてこちらに来るかもしれないと、よしよしはしなかった。
もうすぐ大きな木のところだと歩いていると、人影が見える。
(またみつかっちゃう)
と茂みに這いつくばって隠れ、人影を見ていた。
人影は何やらブツブツ言いながら手のひらを上にあげていた。
キュイーーーーン!と聞いたことのない音が聞こえる。
その音はギュイーーーーンと、更に聞いたことのない音をさせていた。
人影が何か投げるように手をかえすと、木が何本も倒れて行った。
(あぶないひとだ、ままにへんなひとにはちがづいたらだめといわれたひとだ)
また何かブツブツと言いながら、今度は地面がモコモコ動き始め、穴ができた。
そこに水を入れているようで、(リリーとおなじことしてる)と思って見ていた。
しばらくすると急に服を脱ぎ捨て、穴に入れた水に飛び込んでいる。
「………さいこー」とか聞こえる。
近づいたらいけないのを我慢できず、草むらをほふく前進で近づいてみると、そこにはすっぽんぽんの兄がいた。




